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『Arcade Paradise』 “ライフ・イズ・ア・ビデオゲーム”自分好みのゲームセンターを作り上げる【とっておきインディー】 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 古今東西のインディーゲームを紹介するコーナー。週刊ファミ通での連載もこの回が400回目。今回紹介するのは、レトロなアーケードゲームが揃ったゲームセンターを経営するアドベンチャーゲーム『Arcade Paradise』。お届けするのは“ライターというゲームをプレイ中のライター”だという戸塚伎一。

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テレビゲームで遊んでいる、という状態はいったいどこからどこまでのことをさすのだろうか?

 アーケード筐体から離れ、ゲームセンターを後にする。どれもこれも低解像度グラフィックで操作性が悪くてルールが単純なゲームばかりだったな……そう思いながら、再びゴロツキたちとの殴り合いに没頭し始める。
 そろそろかなとPDA(ひと昔前の携帯情報端末の呼びかた)操作モードに切り換える。ベルトスクロール格闘アクション“『Knuckles and Knees』を10分以上プレイする”のデイリーミッションが達成されているし、時刻は午前0時を回っている。少し早いけど、今日はもう店じまいにしよう。
 『Knuckles and Knees』のアーケード筐体から離れ、自分の店“King Wash”を後にする。通り向かいの停留所からバスに乗り込んだところで、私はNintendo Switch本体を机に置いた。振動していたスマートフォンに目をやると、「『Arcade Paradise』のレビュー原稿、いつごろになりそうですか」といった趣旨の、編集者からのメールを伝える通知。
 そろそろまとめに入らないといけないなと思いつつまずは気分転換だ。ふたたびSwitch本体を手に取り、『Arcade Paradise』を終了した後、『テトリス99』を起動するのだった。

プレイ中ほとんどの場面で呼び出せるPDA 操作画面。本体のバックライトの有無も設定できる凝りようだ。

 テレビゲームで遊んでいる、という状態はいったいどこからどこまでのことをさすのだろうか? そんな、ふだん意識しないことに思考を巡らせるきっかけとなるのが、今回紹介する『Arcade Paradise』です。
 主人公は、ビジネスで成功した父親から、年季の入ったコインランドリー“King Wash”のオーナーを任された19歳の女の子。渋々日々の雑務をこなすかたわら、デキがよい姉のそそのかし、もといアドバイスにしたがって、店舗の使われていないフロアの“アーケードゲームコーナー化”を秘密裏に進めます。
 アーケードゲーム筐体は、コインランドリーで得た収益を資金源に、ネット通販を介して1台また1台と増やしていきます。各筐体の設定――難易度であったり1プレイの料金であったりは、ゲーム内アイテムのPDAの操作により、常時変更可能。“ 難度を上げればプレイヤーの回転が早くなる”、“イマイチなタイトルも、人気台の横に配置すると、つられてプレイヤーが増える”といった、一見経営シミュレーションゲーム的な要素も、あるにはあります。ただ、本作の大筋は一本道仕様なので、そこまで神経質になることはありません。

 むしろ重要なのは、本作に登場する30種類以上のレトロアーケードゲームを、“一部オフラインマルチプレイ対応のゲーム内ゲーム”として自由にプレイできる点です。本稿冒頭の『Knuckles and Knees』も、まさにそのひとつ。往年のベルトスクロール格闘アクションの定番ロケーションのひとつ“ゲームセンター”に設置されているすべてのアーケード筐体で別々の内容のミニゲームをプレイできるという、収録タイトルの中でも屈指の“メタ要素全開ゲー”です。
 また、ゲーム内ゲームの中には、ただなんとなく遊べるよというだけでなく、ゲームの進行度や、自キャラの基本性能のパワーアップが、次回以降のプレイに継承されるものもあります。始めたばかりのときはすぐに撃ち負けていたけれど、何度もプレイするうちにスイスイ進めるように……という作りは、“コインを注ぎ込んでやり込み上達”という、かつてのゲーマーの追体験のようでもあり。本作をじっくりプレイすることで、制作者のアーケードゲーム愛をそこかしこに感じられるはずです。

ごみ捨てからトイレ詰まり直しといった労働行為にも、ちょっとしたゲーム的演出が施されていたりと、人生の“テレビゲームっぷり”が随所で強調されている。アーケードゲームのプレイ中に別のタスクが発生したときには、腕時計をつけた自分の手が、画面のけっこうな範囲を覆って……それもまたゲーム性。

 こんな風にまとめると「なるほど、ちょっと変わったレトロミニゲームの詰め合わせか」と合点するかもしれません。しかし、『Arcade Paradise』でのもっとも素晴らしい体験は、そんな次元を超えたところにあります。
 本作がつねに“家族コンプレックスを持つ19歳少女の一人称視点”で進行していること、そこに深い関係があります。ビデオゲームをプレイしているときも、ゲーム画面がゲーム内ゲームの画面(ややこしい)のみになることはありません。
 筐体のフレームが描かれ、右スティックで視点を動かせば、筐体周辺の店内の様子さえ見ることができます。アーケードゲームで遊んでいるときも、ランドリーの客の衣類を乾燥機に投げ込むときも、椅子につけられたガムを引きはがすときも、等しく彼女の一人称視点で観測された出来事。その一部始終を当然のように一人称視点で眺めながら“ゲーム”として楽しんでいる自分自身ってなんだろう……というゲーマー究極の疑問が、目の前にたちはだかるのです。

設置できるアーケードゲームは、1980~1990年代のタイトルを想起させるものが中心。思いのほかサウンド面の再現性が高く、店内を歩いているだけでも楽しい。

Arcade Paradise

対応プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One
メーカー:Wired Productions
開発:Nosebleed Interactive
発売日:2022年8月11日配信
価格:2750円[税込]
ジャンル:アドベンチャー
CERO:12歳以上対象
備考:ダウンロード専売 Nintendo Switch版はSOFT SOURCEより2022年10月27日配信、Xbox Series X|S、Xbox One版は2350円[税込]、PC版は2050円[税込]

『Arcade Paradise』ニンテンドーeショップサイト

『Arcade Paradise』PlayStation Storeサイト

『Arcade Paradise』Microsoft Storeサイト

『Arcade Paradise』Steamサイト

とっておきインディーバックナンバー

...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202303/27297392.html

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