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『タイトー LDゲームコレクション』インタビュー。復刻困難な『宇宙戦艦ヤマト』をいかに令和に蘇らせたのか。特装版には完全新作の『タイムギャル』続編も収録 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 “LDゲーム”というジャンルをご存知だろうか。

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 “LD”とは“レーザーディスク”のことを指し、1970年代に発明され、1980~1990年代に普及した記憶媒体だ。おもに映画やアニメなどを収録して発売され、ビデオテープよりも高品質な映像が楽しめた。
 このレーザーディスクを活用したアーケードゲームが、LDゲームである。
 当時一大ムーブメントの真っ最中だったアーケードゲーム。各社からさまざまなゲームがリリースされたが、グラフィックで表現できることはまだまだ限られていた。
 そこで注目されたのがレーザーディスクの存在だ。高画質・大容量の映像を記録できるという性能を活かし記憶媒体として活用されたLDゲームが1983年に初登場。これまではドット絵がメインだったゲームグラフィックに実写やアニメを取り入れることが可能となった。
 そのLDゲームのうち、タイトーが手掛けたものを現代に復活させたのが、本稿で紹介するNintendo Switch用ソフト『タイトー LDゲームコレクション』だ。現在から画面写真を見ると、「よくあるアニメ絵のゲームじゃん?」と思う方もいるかもしれないが、LDゲームの発売時期はファミリーコンピュータ発売とほぼ同じくらい。ドットがピコピコ動く作品がほとんどだった時代に、アニメや実写の絵がそのまま動くゲームの衝撃はとんでもなく大きかったのだった。

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2023年7月10日、タイトーから『タイトー LDゲームコレクション』の詳細情報が公開された。

 本作はタイトーのLDゲームでとくに知名度の高い3タイトルを収録し、2023年12月14日(木)に発売される。
 その予約開始を記念し、本稿では『タイトー LDゲームコレクション』に深く携わる2名へのインタビューを掲載。開発の経緯、ゲームの特徴、開発秘話などから本作の魅力をお伝えしよう。

タイトーのクラシックゲームを担うおふたり。紹介はのちほど。

目次閉じる開く

『タイトー LDゲームコレクション』ゲーム概要
データ 特装版収録内容

収録作品一覧
タイムギャル HDリマスター 忍者ハヤテ HDリマスター 宇宙戦艦ヤマト HDリマスター

タイトー制作陣へのインタビュー
見えるかい。あれが僕たちのLDゲームだよ
LDゲームか……何もかも皆懐かしい
エネルギー充填120%! 特装版、発射!!
開発元であるゴッチテクノロジーからもメッセージが到着
ヤマトAC版の基板部分に関して 『宇宙戦艦ヤマト アーケードエディション』の移植にあたって

『タイトー LDゲームコレクション』ゲーム概要
 タイトーが1980年代にアーケードでリリースした、

『タイムギャル』
『忍者ハヤテ』
『宇宙戦艦ヤマト』

 の3タイトルをHDリマスター化して同時収録したタイトル。なお『宇宙戦艦ヤマト』は今回が家庭用初移植となっている。
 通常版のほか、同時に発売される特装版では、3作の映像や音楽、設定資料をさらに楽しめる豪華な特典が付属する。さらに、『タイムギャル』の続編にあたるアドベンチャーゲーム『タイムギャル リバース』のゲームがダウンロードできるシリアルコードも同梱されているのが特徴だ。
 また、Amazonプライムデーの期間中に以下のURLから予約すると、『宇宙戦艦ヤマト』のアーケード版の内容を移植した『宇宙戦艦ヤマト アーケードゲームエディション』がダウンロードできるシリアルコードを入手することも可能だ。

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データ

ハード:Nintendo Switch
発売日:2023年12月14日(木)
価格:
パッケージ版:9680円[税込]
特装版(パッケージ版のみ):19580円[税込]
単タイトル版(ダウンロード版のみ):4180円[税込]
対象年齢:審査予定

特装版収録内容

タイトー LDゲームコレクション スペシャルブルーレイディスク:
収録している3タイトルのゲーム内に登場する映像のみを集めたスペシャルブルーレイディスク
タイトー LDゲームコレクション資料集:
開発当時の企画書やカラー資料を集めた資料集
レイカ 復刻ミニスタンディ:
当時ゲームセンターで使われていたレイカのスタンディをミニサイズにして復刻
『タイムギャル』復刻ミニポスター 2種:
『タイムギャル』のポスターをミニポスターにして復刻
『忍者ハヤテ』復刻パンフレット:
『忍者ハヤテ』の復刻パンフレット
タイトーLDゲームコレクション サウンドアプリ(シリアルコード付属):
収録している3タイトルのサウンドモードを楽しむ、Nintendo Switch用アプリ
ゲーム『タイムギャル リバース』(シリアルコード付属):
『タイムギャル』のその後を描く完全新作のゲーム

レイカ 復刻ミニスタンディ(左)、『忍者ハヤテ』復刻パンフレット(右)。

『タイムギャル』復刻ミニポスター 2種

収録作品一覧
タイムギャル HDリマスター
 タイムマシンで過去の世界に逃亡した悪党ルーダを追って、歴史保安警察の“タイムギャル”ことレイカが活躍するアクションゲーム。画面に表示されるコマンドを正確に入力することで危機を回避し、地球におけるさまざまな年代の世界を旅していく。
 コマンド入力をミスしたときにはコミカルな演出のアニメーションを観ることができ、正しく攻略する以外にも豊富な失敗シーンに注目するプレイヤーも多かった。

忍者ハヤテ HDリマスター
 タイトーが手掛けたレーザーディスク・アニメーションゲームの第1弾(LDゲーム第1弾は『レーザーグランプリ』)。さらわれてしまった姫を救うため、ハヤテが悪の忍者軍団の城へと忍び込む。
 画面に表示されるアクションの入力に成功すれば先に進むことができ、さらなるアニメーションが観られるゲームシステムは、LDゲームの主流となった。

宇宙戦艦ヤマト HDリマスター
 『忍者ハヤテ』に続くタイトーのLDアクションゲーム。本作は、今回が初のコンシューマ移植となっている。人類の生き残りをかけた宇宙航海に挑む宇宙戦艦ヤマトとそのクルーたちの活躍を、LDゲームとして再現した内容になっている。
 本作では、原作に登場した4つの星を攻略。画面に現れる敵をショットで攻撃するといったシステムが搭載され、アクション性は『忍者ハヤテ』からさらに増している。LDゲーム用に制作された動画は、原作ファンにとっても貴重なものだろう。

タイトー制作陣へのインタビュー
 タイトーの数々の復刻クラシックゲームはもちろん、本作でも活躍する2名へのインタビュー記事を掲載。『タイトー LDゲームコレクション』の開発の経緯や注目ポイントを中心に、ゲームの魅力を余すところなく紹介しよう。

外山雄一氏(とやま ゆういち)

『タイトー LDゲームコレクション』アシスタントプロデューサー。2023年8月31日発売予定のNintendo Switch用ソフト『タイトーマイルストーン2』の開発も手掛ける。
(文中は外山)

お林幸人氏(おはやし ゆきと)

タイトーのクラシックゲームファンには“お林さん”として知られるタイトーの生き字引。本作にはテストプレイヤー兼監修として参画。
(文中はお林)

『タイムギャル』のマーキー(本物)を手に、思わずニッコリの外山氏とお林氏。

見えるかい。あれが僕たちのLDゲームだよ
――アーケードゲームの復刻が盛んな昨今でも、これまで語られる機会が少なかったLDゲームですが、まさか令和に復活する日が来るとは思いませんでした。
外山私は、「タイトーの過去のクラシックゲームたちをすべて現代に蘇らせたい」という想いでいます。LDゲームは知る人ぞ知るマニアックなタイトルが揃いますが、こちらも、現行機でプレイできるようにしたいなと。
――『タイムギャル』と『忍者ハヤテ』は過去に移植されたことがありますが、まさか『宇宙戦艦ヤマト』が復刻するとは……。
外山じつは、私自身もビックリしています。
――外山さんも(笑)。版権とかも考えても移植のハードルが高そうですが。
外山社内のスタッフたちががんばってくれたので……何とか実現しました。

お林とは言え、『宇宙戦艦ヤマト』の移植は非常に難産だったようです。そもそも、実機がない。
――歴代の名機が多数保管されているタイトーにも基板がないんですか?
お林基板自体もありませんし、LDを再生するプレイヤーや、モニターと基板をつなぐケーブルもない。調べれば調べるほど、「こりゃ無理かもな……」と。
外山今回は我々だけだと荷が重かったので、ゴッチテクノロジーさんに移植をお願いして、がんばっていただきました。
――ゴッチテクノロジー! 『スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション』などを開発されていた会社ですね。
お林ゲームが収録されているROM自体はタイトーにあったんです。でもそれだけしかないので、そもそもゲームが再生できないじゃないですか。そこで、まず『宇宙戦艦ヤマト』の基板の回路図をゴッチテクノロジーさんにお見せしました。そうしたら「これがあれば、擬似的に解析できますよ」って言ってくださって。
――「できらぁ!」と。
外山それは今回は言ってないですね(笑)。

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外山そんな経緯があって、ゴッチテクノロジーさんにROMからゲームを再現していただき、『宇宙戦艦ヤマト アーケードエディション』を作っていただきました。
――ゴッチテクノロジーさんの力技で現代に蘇ったと。
お林あまりにもすごい回路図の再現度だったので、ふつうのPCでは動かせないほどでした。それくらいきちんと作っていただいて、ゲームの挙動やコマンドの判定なども、最初は当時とほぼ同じものを再現していただけました。
外山ですが、やっぱり当時のままのグラフィックだと、現代のモニターで映すとかなり見た目がきびしいことに気がついたんです。『タイムギャル』と『忍者ハヤテ』のほうは当時のオリジナルではなくHDリマスター版なので、足並みも揃わないなと。「じゃあ、合わせるしかないんじゃないの」ということで、ゴッチテクノロジーさん移植の『宇宙戦艦ヤマト アーケードエディション』をベースに、別途HDリマスター版として開発することになったんです。
――ゴッチテクノロジーさん迫真の移植だったわけですね。
外山ゴッチテクノロジーさんは「久々に燃える仕事だ」って言ってましたね。ふだんどんなお仕事されているのかは知らないんですけど(笑)。
――難しいほど燃えるみたいな。
外山移植というか解析というか、まさに「こういう仕事がやりたかった。もっとこういうお仕事ください」というふうにも言っていました。
お林私もゴッチテクノロジーさんは、ナムコに在籍していたころ『ナムコミュージアム』(PSP版)でお世話になったのですが、あのときもノリノリで開発をしてくださいましたね。

外山『スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション』のときは、『スペースサイクロン』の解析と移植がすごく楽しかったそうです。
――まさに移植のプロ集団ですね。
外山おかげさまで、非常に再現度の高い移植版になりました。
LDゲームか……何もかも皆懐かしい
――LDゲームは、1980年代にいろいろなメーカーから出ていましたね。当時行きつけのゲーセンにも何台か置かれていたのを覚えています。
外山確か国内で最初のLDゲームは『アストロンベルト』(セガが開発したLDシューティングゲーム)でしたよね。タイトーのLDゲーム第1弾は『レーザーグランプリ』でした。『レーザーグランプリ』は、最初西角さん(※)の発案で企画がスタートしたそうです。本物のレース場での実写映像が丸々収録されていて、大ロケハン部隊が取材に行ったため、すごいお金がかかったって聞きましたよ。
※西角友宏氏。『スペースインベーダー』の開発者。
――海外では『ドラゴンズレア』(シネマトロニクス社のLDアクションアドベンチャーゲーム)がヒットしましたね。
お林『ドラゴンズレア』は衝撃的でしたね。地元のゲームセンターには入ってこなかったので、高校の時に上京してプレイした記憶があります。そこのゲームセンターに『ドラゴンズレア』とか『クリフハンガー』(スターンエレクトロニクス社による『ルパン三世』が原作のLDゲーム)をワンコインクリアーする人がいて、「すげー!」って思いながら見ていましたよ。
――自分も当時、うまい人のプレイを後ろから見ていたクチです。当時のゲームのグラフィックからは想像もつかないほどの高クオリティー映像が楽しめたのが、LDゲームの最大の特徴ですよね。
外山あのインパクトは絶大でした。『ドラゴンズレア』を見て、当時の日本のゲームクリエイターたちは「LDゲームいけるんじゃない?」と思って、各社一斉にパイオニア(当時レーザーディスクのプレイヤーを開発していた音響メーカー)に駆け込んでいったと聞いています。
お林実写やアニメの映像をそのままゲームとして採用するというのが画期的でしたね。そのころから、タイトーはアニメのグラフィックに目をつけたと。
――その後、『忍者ハヤテ』、『宇宙戦艦ヤマト』、『タイムギャル』がリリースされることに……。

外山『忍者ハヤテ』のスタッフの方が、その後『宇宙戦艦ヤマト』の開発を手掛けたと聞きました。アニメ版『宇宙戦艦ヤマト』を手掛けた西崎義展さんは「当時の『ヤマト』をメディアミックス展開をしていきたい」という構想があったようです。
 そういった経緯があることと、『宇宙戦艦ヤマト』の映像をふんだんに使ってファンにアピールできる点を気に入っていただけたようです。それで当時としては異例のライセンスアウトが可能となり、社内外から「よく許諾が下りたね」と言われていたみたいです。
――なるほど。話は変わりますが、1980年代の映像作品を現代に蘇らせる際、表現的にアウトな映像などはなかったのですか? 移植にあたって改変せざるを得ないような表現とか。
外山そこはご安心ください。『忍者ハヤテ』も『タイムギャル』もセリフがそれほど入っているわけでもないし、『宇宙戦艦ヤマト』も原作があるSF作品なので、「このシーンやこの表現はカットしないと発売できない」という場面はありませんでした。『タイムギャル』はタイムスリップで過去の時代を冒険するのですが、一部で戦時中の時代が登場します。もしかしたら不謹慎と言う人もいるかもしれないですが、我々としては当時のゲーム内容を再現することを目指し、社内協議を重ねながら進めました。

お林いずれのゲームも原作を忠実に再現しているので、ファンの人には納得のクオリティーになっていると思いますよ。
――これらの3作がHDリマスターされるというのは、当時のLDゲームファンにとってはかなりの朗報ですね。
お林3作とも文字や映像も非常にキレイになったので、ぜひ観ていただきたいです。
――個人的には、リマスターされる前のガビガビな映像も興味ありますが……。
外山『宇宙戦艦ヤマト アーケードエディション』は『タイトー LDゲームコレクション』の、プライムデー特典付きの商品を予約すると付いてきますので、HDリマスター版と比較していただくのもおもしろそうですね。
お林私としては、ぜひ両方遊んでほしいです。
外山『タイトー LDゲームコレクション』に収録されるのはHDリマスター版で、そちらにはゴッチテクノロジー様は直接関わっていません。でも、『アーケードエディション』を世に出さないのはもったいないなと思いました。そのままお蔵入りさせるくらいなら、Amazonプライムデーの限定特典にできればと。
――現代の高画質に慣れると、HDリマスター版をプレイしても「こんなもんだったよな」くらいの感想で終わりそうですが、本当は相当キレイになっているんですよね。
お林当時の基板側の映像なんて、256×224ドットしかありませんからね。いまの何分の一だっていう。思い出で補正されていますけど、当時のものは文字も映像も相当ガビガビだったはず。
エネルギー充填120%! 特装版、発射!!
――タイトーのクラシックゲームといえばファン垂涎の特装版にも注目したいですね。
外山スペシャルブルーレイディスクには、3作のゲーム中に収録されているアニメーションを映像として観ることができる内容になっています。
――映像だけ観たいという人にはうれしい特典ですね。
お林プレイヤーによってはクリアーするのが難しいという方もいるでしょうし、そこにニーズに沿う形かなと。『タイムギャル』のコマンドミスしたときの映像もバッチリ観られますよ。

――まずはそこを観たいという人も多そうです。かく言う自分もそうですが。
外山(笑)。そのほか、当時の企画書や設定資料、ポスターやパンフレットも同梱されています。ポスターはオリジナルのものはかなり巨大なサイズだったのですが、それを再現するとポスターに折り目をつけることになるので、今回は折り目がつかないギリギリのサイズで収めました。
お林『タイムギャル』のレイカのスタンディ(立て看板)は、当時ゲームセンターで観たことがある人もいるのではないでしょうか。
――これって『タイムギャル』稼動当時のスタンディじゃないですよね。
お林『トップランディング』(※)の販促品でした。
※タイトーから1988年にリリースされたアーケード版フライトシミュレーター。
――それであのコスチュームなんですね。特装版の内容でいちばん気になるのは『タイムギャル リバース』なんですが、もしかして完全新作ですか?
外山これは『タイムギャル』のその後を描く完全新作ゲームです。
――おお! どんな内容なのでしょうか。
外山それについては、こちらの記事をご確認ください。

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2023年7月10日、タイトーから『タイトー LDゲームコレクション』の詳細情報が公開された。

――なるほど。続報を楽しみにさせていただきます。とりあえずAmazonプライムデー中にポチらないと……。最後にひと言ずつお願いします。
お林LDゲームって、1983年くらいに登場して、勢いそのままに1986年くらいにはスーッっと消えていった歴史の短いゲームなのですが、クラシックゲームファンにはぜひ知っておいていただきたいと考えています。ゲームシステムは、いまの“クイックタイムイベント”の走りとも言えますし。ぜひプレイしていただきたいです。
外山エネルギー充填120%の勢いで開発しています。人類滅亡……ではなく発売まであと156日……ということで、楽しみにお待ちください!

開発元であるゴッチテクノロジーからもメッセージが到着
 最後に、『宇宙戦艦ヤマト アーケードエディション』の開発元であるゴッチテクノロジーよりコメントをいただいた。やや専門的な内容も含まれているが、過去作品の移植に懸ける思いを感じてもらうためそのまま掲載している。ぜひ読んでほしい。
ヤマトAC版の基板部分に関して
 最初にお話を承ったとき、宇宙戦艦ヤマト の基板の実物や動作環境がないという懸念点がありました。ゴッチテクノロジーではアーケードゲームの移植業務を行う際は、原作基板を動作する状態を作り、原作基板をハードウェア的に調査し、複雑な原作挙動については実際に原作を操作し、様々な確認を積み重ねて作業を進めていきますが、今回はその方法が使えません。しかしながら、タイトー様からのゲーム内容と基板に関する資料を精査するうちに、大体の概要が見えてきました。
 まずは3つのCPUについてです。68000 (メイン処理)、6809 (フレームバッファ処理)、Z80 (サウンド処理)と、3種3様に搭載されています。いずれのCPUも、1985年時のゲーム基板で主力CPUとして使用されています。それぞれの処理に相性の良いCPUをそれぞれ搭載するという、贅沢な設計思想をうかがい知ることができます。こういったことから、本基板は他のLDゲームと共通のシステム基板であることが予想されます。
 画面表示は BG(スクロール面)、OBJ、フレームバッファ(グラフィック面)、LD画面との半透明合成機能 があります。BGは主にスコアやのステータス表示等に使用されています。面数は1枚で同時期の他の基板に比べて少ないのですが、ゲーム中はLD画面を主に見せるため、背景を基板の絵で埋める必要がないためです。
 そして、ドット単位に256色を表示可能なグラフィック面と、大きなサイズを拡縮表示可能なOBJハードウェアで、表現力豊かな仕様となっています。LD画面へ基板グラフィックスを半透明合成する機能も搭載されていますが、宇宙戦艦ヤマトでは未使用です。
 サウンド部分も豪華仕様です。基本的な音源はYM2203×2とアナログ音声コントロール(PC010SA)多数の組み合わせで、3画面筐体で有名なダライアスの音源からADPCMと低音増強機能を抜いた構成に近いと言えます。PC010SAは、タイトー基板で以前からよく使用されているハイブリッドICで、2系統の音声のミキシングバランス、音量、低音、高音をそれぞれアナログコントロール可能な優れものです。他には、DA(8bit PCM)も回路としては搭載されていますが、宇宙戦艦ヤマトでは未使用です。
 また、LD音声を基板とミキシングする回路と、音声の一部にリバーブ効果をかける回路もついており、本作でも活用されています。このミキシング回路はリバーブ回路と合わせて、プログラムによるコントロールが可能になっています。
 LVP(LDプレイヤー)と協調動作する機能は、本作基板の大きな特徴です。LVPの型番は資料に明記されており、型番情報をもとに様々な情報を引き出すことができました。接続仕様については、同種システムとしてよく知られているMSXやメガドライブ等を使用したものに近いのではと想像していたのですが、詳しく調査してみると、本作はより古い世代のものでした。
 インターフェースにはパラレルI/Oを使用し、リモコン信号のようなコマンドを送る形で操作する仕組みとなっています。LDゲームの進行に必要不可欠な、“現在の再生フレーム番号”をLVPから読む機能はないので、ゲームプログラムが独自に管理しています。
(ゴッチテクノロジー)
『宇宙戦艦ヤマト アーケードエディション』の移植にあたって
 本作はLDゲームという特殊性もあり、多くの方は長らく遊ぶ機会がなかったことと思います。特殊ハードウェアのゲームは保存が難しいのが実情です。現在において、実機を遊ぶためには基板以外に、対応LVP(機種は限定されています)、読み取りエラーが出ない LD板 (経年劣化問題があります) を用意する等、不可能と思われるような機材の入手が必要です。
 今回、タイトー様にて原作基板の資料がしっかりと保存されていたことで、資料から読み取れる部分を可能な限り再現することができました。
 当時の3画面筐体ゲームにも匹敵するような、ゴージャスなテクノロジーが詰まった、本作の遊びかたですが……アニメ『宇宙戦艦ヤマト』へ思いを馳せて遊ぶもよし、LDゲームのゲーム性をかみしめながらノスタルジックに遊ぶもよし、新しく改良されたHD版と遊び比べるのもよし、令和に蘇った ヤマト を存分に遊び尽くしてください。
 最後に、宇宙戦艦ヤマト という偉大な作品をルーツとする本作に関わることができてたいへん光栄に思います。(ゴッチテクノロジー)

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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202307/11308435.html

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