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リアル科学捜査シミュレーション『東京サイコデミック』試遊版レビュー&インタビュー。情報整理する“エビデンスボード”が操作性と捜査性を高め、プレイヤーをゲーム内へ誘う | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 グラビティゲームアライズより、Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、PC(Steam)向けに発売予定の『東京サイコデミック 公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊調査事件簿』(以下、『東京サイコデミック』)。本作は、未解決事件を再捜査するリアル科学捜査シミュレーション。専門的な知識やスキルを持つ仲間と協力して証拠を集め、事件解決を目指す。

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 そんな本作は、2023年7月14日(金)~16日(日)に京都府京都市勧業館みやこめっせで開催される国内最大のインディーゲームイベント“BitSummit Let’s Go!!”(以下、BitSummit)に出展される。
 今回、BitSummitのグラビティゲームアライズブースに出展される試遊版を先行体験する機会を得たので、プレイして感じた魅力をご紹介するとともに、プロデューサーの神崎喜多氏とメインプランナーの石井政仁氏へのインタビューをお届けする。

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『東京サイコデミック 公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊調査事件簿』PlayStation Storeサイト

『東京サイコデミック 公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊調査事件簿』Steamサイト
東京で起きた超常的な事件を解決せよ!
 試遊では、1章の始まりからチュートリアルの終わりまでプレイ可能。本来は豪華声優陣によるボイスありでストーリー展開されるのだが、試遊版には声が入っていないとのこと。BitSummitでプレイ予定の人は出演声優を予想しながら脳内再生するといいかもしれない。

 本作の舞台となるのは現代の東京。2019年に発生した致死率80%にも及ぶ新型感染症が蔓延。内閣総理大臣や官房長官などの主要官僚も感染症に倒れ、日本壊滅の危機に陥ってしまう。
 そんな中、新政府を立ち上げ、内閣総理大臣となった元感染症の専門医がその手腕を発揮したことで事態は収束へと向かった。プレイヤーは、それから3年経った東京で多発している超常的な事件を解決することになる。
 1章で挑むことになるのは、ビルの地下で足しか残らないほどの高温で焼かれた遺体が発見された“人体自然発火現象事件”。捜査は“ドア”を開けて運び屋から届いた資料を受け取り、“エビデンスボード”に貼るところから始まる。

捜査資料は事件現場の写真やビデオ、見取り図などさまざま。

 “エビデンスボード”では、届いた資料や事件の情報などを掲示。資料を貼りつつ、事件の概要を説明してくれるだけでなく、それぞれ関係のあるものには赤い線を引いてくれるため、事件内容や話していることが頭の中に入りやすい。自分で情報をまとめなくてもよいのもポイントだ。

 ひと通り情報をまとめた後は、さまざまな機材が置かれた“デスク”で捜査を開始。ここでは映像や画像をディスプレイに映すことで、それらを細かく確認できる“動画解析”と“画像解析”を行うことができる。
 気になったものがあったら、カーソルを合わせてスクリーンショット撮影。大きなものを撮る場合はそのままでも問題ないが、たばこなどの小さなものを撮るときには拡大をしてからでないと撮影することができない。手がかりになりそうなものが見当たらないときは、拡大してみると見つかるかもしれない。

 手がかりになるものを撮影したら、“ダークピット”のスレッドで専門的な知識やスキルを持つ仲間たちにデータを送ることで、情報が得られる。ただし、スレッドの話題と関係ないものを送ると情報を得られないので注意が必要だ。情報を得たら再び“エビデンスボード”へ。そうすると、直面していた謎が解決し、新たな謎へと発展していく。

医療知識やハッキングなど、仲間によって担当分野は異なる。

彼らは素性がバレないようにコードネームで呼び合っている。裏サイト+コードネーム呼びに厨二心がくすぐられるのは筆者だけではないはず……!

 “エビデンスボード”で情報を整理し、“デスク”と“ダークピット”で仲間と協力しながら情報を集め、再び“エビデンスボード”へ……という動きを何度もくり返していくことで事件の真実へとたどり着ける本作。地道な捜査ではあるものの、進展していく嬉しさと謎が解けたときの達成感は格別。謎解きゲームが好きな人はもちろん、謎解き初心者にもおすすめのタイトルだ。
【インタビュー】演技なしの実写映像でリアリティーを追求
 試遊後には、本作のプロデューサーである神崎喜多氏とメインプランナーの石井政仁氏へインタビューを実施。『東京サイコデミック』の開発経緯や実写映像の撮影などについて伺った。

神崎喜多氏

グラビティゲームアライズ『東京サイコデミック』プロデューサー

石井政仁氏

グラビティゲームアライズ『東京サイコデミック』メインプランナー

ポリティカル・フィクションに挑戦したかった
――まずは『東京サイコデミック』の開発経緯を教えてください。
神崎『東京サイコデミック』は、いままでにないゲームを作れないかというところから始まりました。グラビティゲームアライズの掲げているコンセプトというのが、“レッドオーシャンからブルーオーシャンを見つけ出すこと”で、他社様がやっていないことをやることなんです。その中で自分が得意なジャンルであるポリティカル・フィクション、政治的背景を扱ったフィクションがウケるのではないかと思ったので、パンデミックの世界で起きる不思議な事件をテーマにゲームを作ることになりました。
――ポリティカル・フィクション系が得意なのですか?
神崎得意と言いますか、ジャパンアニメーションや特出したクリエイティブがとても好きなんですよね。たとえば、本作は『攻殻機動隊』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などに影響を受けています。
――本作に登場する魅力的なキャラクターたちが『攻殻機動隊』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などにインスパイアされているのでしょうか?
神崎そうです。『東京サイコデミック』のキャラクター性は“単独でかっこいい”で、どのキャラクターも単独で立たせているだけでかっこいいということを見た目のコンセプトにしています。あとは特殊性というところで、それぞれ専門の能力を持たせています。特別感を持たせつつ、パッと見たときにかっこよく見えるというところに注力しています。
――各キャラクターをかっこよく見せるために声優さんも名のある人を起用しているのですね。
神崎そうですね。演技や芝居などに妥協ができなかったので、演技力のある声優さんにお願いしました。

本作では、個性的なキャラクターが登場。

――神崎さんは、これまで複数のゲームメーカーに在籍して、数多くのタイトルを開発していますが、『東京サイコデミック』はご自身の方向性に見合った初めてのタイトルと言えるのですか?
神崎そうですね。初めてアウトプットしているのではないかと思います。
――粛々と開発が進んでいるかと思われますが、どういった感じでポリティカル・フィクションというものをゲームに落とし込んでいるのでしょうか?
神崎本作をポリティカル・フィクションと言っていいのかわからないので、あえてシミュレーションゲームとしましょうか。既存のシミュレーションゲームには答えがあると思いますが、本作はそうではなく、独自の答えを見つけるゲームとなっています。
 初めはそれでプロット版を開発していて、そこでわかりやすい表現ができるものはないかということで作ったのが“エビデンスボード”や“画像解析”というツールでした。そこから何となくゲームっぽくできているからいいかという感じで開発を進めてきたのですが、ぜんぜん手応えを感じていませんでした。
 では、手応えが生まれたのはいつごろからかと言うと、最初のPVにあるオープニングの冒頭部分であるパンデミックまでの流れを作らせていただいて、それを公開して、制作決定を発表したときの、ユーザーの皆さんの反応に接してからです。「こういうジャンルってウケるんだな」と、ここでようやく自信を持てました。
石井それまでは自信がなかったですよね(笑)。
神崎自分の中では「おもしろい」と思っていましたが、これで合っているのかというのは疑心暗鬼でした。でも、世に出してみると「おもしろそう!」「こういうのが出るんだ!」といった反応がいただけたので、ひと安心しました。実写とアニメーションが融合するような世界でありながらも現実感があったのと、自分自身が都市伝説や超常現象が好きなので、そこがうまくかみ合って皆さんに刺さったのかなと思っています。

※画面はPVをキャプチャーしたものです。

映像の中から自分なりの答えを見つけていくための“エビデンスボード”
――“エビデンスボード”というのはこのゲームのシステムとして生み出されたものなのでしょうか?
神崎そうですね。このゲームで生み出されたものです。
石井刑事ドラマでよくホワイトボードに写真などを貼るシーンがありますよね。あれをやりたかったんです。
神崎“エビデンスボード”は、集めた情報を紐づけていくという一連の流れを作る中で、「どういう表現がいちばんわかりやすいか?」というところから生まれました。
石井このゲームの難しいところは、映像の中から自分なりの答えを見つけていくところです。そこで、情報をまとめておく場所が必要だということになりまして、自分なりの答えを出しやすい“エビデンスボード”を用意することになりました。
――確かに“エビデンスボード”がないと頭の中で情報を整理しきれなくなりそうですよね。
神崎開発するうえでいちばん難しかったのが、“どう表現するか”、“どう操作してもらうか”というところで、“こうやればこういう答えが見つかる”、“ここはこのツールを使えば解ける”といった、操作と捜査を覚えやすくするというのが本当にたいへんなポイントでしたね。
石井そうですね。“エビデンスボード”をまだ実装していない状態でテストプレイをしているときによくあったのが、捜査資料をもらったときに怪しそうなものをメモしても、ぜんぜん情報がまとまらないことです。事件を解くうえで情報を整理してくれる場所は、やはり必要だなと思いました。このゲームで目指しているのは、自分で考えて答えを見つけて進んで行くことなので、ここを形にするのにけっこう時間をかけました。
神崎そこが絶対的なテーマとこだわりのポイントですね。

※画面はPVをキャプチャーしたものです。

――捜査の一連の流れは皆さんで考えたのですか?
神崎作家さんにシナリオを考えていただいたうえで、映像監督に撮影していただいたトリックとの整合性が取れているかという確認を、みんなでしていました。
――整合性を取ったりするのはたいへんそうですね。
神崎そうですね。見落としがないかには、相当気を配りました。
石井あとはストーリー展開で整合性を取らせています。基本的に事件のトリックなどは作る前に決めていて、そこにどう沿わせるかという感じで構築しているので、矛盾点はかなり潰せていると思います。
実写を盛り込むことで現実感を出したかった
――実写の撮影はたいへんだったのですか?
神崎撮影自体は、1章あたりだいたい1日で終わらせていますね。
石井俳優さんに演技をしてもらうと少し長くなるかと思いますが、そういったものは一切ないので、その分早くスピーディーに撮影しています。
神崎いろいろな絡みがあって芝居はなしでと決めていたので、撮影もドキュメンタリーみたいな感じです。演技なしで日常を映す形にしているので、基本的には店員さんにそのまま出演してもらったり、場所を貸し切って撮影をしています。たとえば、二章に進むと死体が降ってくるシーンがあるのですが、それを実際に現場でやると「キャー!」って叫ぶ人もいれば、素通りする人もいると思うんですね。ドキュメンタリーなので、反応する人もいれば反応しない人もいるというのを、そのまま収めているという感じですね。
――リアルな反応をそのまま使っているということですね。
神崎リアルそのままですね。ただ、じつはあまり意図していなくて、たまたま絵に収めたらそうなったというところはあります。死体が落ちていても反応しない人ってけっこういるんですよね。
石井そういったところも含めてリアルさを味わえると思います。
――なぜ実写を取り入れることにしたのでしょうか?
神崎現実感を出したかったというのはあります。現実感を増すことは、実写にすることでできたかなと思っています。たとえば、オープニング映像もCGでやってしまうと現実味がなくなってしまいますが、「ジャイアントパンダの赤ちゃんが~」みたいな入りかたをすると、もう現実じゃないですか。
 「初売りで大賑わいです」とか「インフルエンザが流行り始めました」といった映像とか入れると、現実と何ら変わらないので、冒頭から現実感を出すというところで、実写での表現を使ったのはよかったのかなと思っています。あとは、撮影ができる人たちに巡り会えた運ですね。
――やはりスキルを持った人たちの撮影だと、撮りかたなどに違いが出るのでしょうか?
神崎出ます! 今回お願いしたのは、それまで報道を担当していたチームなので、やはり彼らの撮影だと大きく変わりますね。
――ドラマを撮っている人たちと報道チームはまったく違った撮りかたをしているのですか?
神崎ぜんぜん違いましたね。今回は偶然が重なって彼らと撮影することができているので、「いま作れなかったら今後作ることは不可能なのではないか?」と思うぐらいのできのよさです。
石井本当にリアルなんです。そういう意味では、報道者しか撮れない絵があるのではないかと思います。
神崎監視映像とかを見てもらうとわかりますが、何の変哲もない日常の中にひとつ嘘があるという感じになっています。

※画面はPVをキャプチャーしたものです。

――少し気の早い話ですが、『東京サイコデミック』の続編などは考えているのでしょうか?
神崎続編は考えています。
石井こうしたいといった意見もすでに出ていますよね。
神崎出ているね。手掛けてみたいと思っていたテーマのゲームを作ることができて、満足感はひとしおですが、続編を作ることになったら、もっともっとアウトプットしていけたらいいなと思っています。
――クリエイターらしい貪欲さですね(笑)。では、最後に『東京サイコデミック』を楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いします。
神崎とにかくまずプレイしてみてもらいたいです。何も考えずに触ってもらいたい、それだけです(笑)。
石井『東京サイコデミック』に関しては、けっこうゲーム的表現のギリギリのラインまで攻めていまして、CEROですとZにいっているだろうというぐらいのリアリティーを追求した表現をさせていただいています。焼けた死体の写真や実際にあった事件をモチーフにしたものなど、センシティブな内容を扱ったりもしているので、お客さん次第ではもしかして少し抵抗があるかもしれません。ですが、ゲームの限界に挑戦しているので、ぜひプレイしていただけたらうれしいです。
神崎一応お伝えしておきますが、本作はフィクションですからね(笑)。

...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202307/13309503.html

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