ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、2023年5月に“Project Q”として発表したプレイステーション5(PS5)用リモートプレイ専用端末の正式名称が“PlayStation Portal リモートプレーヤー”(以下、“PlayStation Portal”)に決定したことを発表。2023年内に発売予定で価格は29980円[税込]。
広告
左から、開発中の“PULSE Explore ワイヤレスイヤホン”、“PlayStation Portal リモートプレーヤー”、“PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット”、対応レシーバー。
この発表に先駆けて、メディア向けに開発中の“PlayStation Portal”サンプル機を披露する場が設けられており、会場では実際に本製品の試遊が可能だった。同じく開発中のPlayStationブランド周辺機器“PULSE Explore ワイヤレスイヤホン”(以下、“PULSE Explore”)、およびワイヤレスヘッドセット“PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット”(以下、“PULSE Elite”)を組み合わせてプレイできたため、いち早く製品群を触ってみてのインプレッションや、個人的に気になった点などを紹介しよう。
関連記事
PS5リモート専用端末の正式名称が“PlayStation Portal リモートプレーヤー”に決定。価格は29980円[税込]で年内発売予定。新たに“PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット”も発表
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、2023年5月に“Project Q”として発表した、プレイステーション5(PS5)のリモート専用端末の正式名称が“PlayStation Portal リモートプレーヤー”に決定したことを明らかにした。また、価格が29980円[税込]であることも発表。
PlayStation初のリモートプレイ専用機「PlayStation Portal リモートプレーヤー」登場!!
安定したネットワーク環境ではまさに“持ち運べるPS5”。高クオリティーなゲーム体験が可能
はじめに、これまでの一般的な携帯ゲーム機とは大きく異なる性質を持つ“PlayStation Portal”について、誤解がないように基本的な情報を整理しておこう。
メディア向けに公開された“PlayStation Portal”のサンプル機。余談だが、名称をそのまま略すと“PSP”になってしまう点は少々気になる。“PSPortal”あるいはシンプルに“Portal”と呼ばれることになるのだろうか。
“PlayStation Portal”のもっとも大きな特徴として、“PS5とネットワーク接続しての利用”を前提に開発されたリモートプレイ専用端末であることが挙げられる。
本製品はあくまで、PS5本体にインストールされたゲームを、Wi-Fiネットワークの通信経由でストリーミングしてプレイ可能なデバイスであり、PS5との相互接続が確立されていない状態や、そもそもPS5を所持していない場合にはゲーム用端末として機能しない。
リモートプレイ機能を利用するという条件つきで、高品質なゲームタイトルの携帯プレイを実現しているわけである。
8インチディスプレイに“DualSense ワイヤレスコントローラー”がそのままくっついたような外観がユニーク。コントローラー部分の取り外しなどは不可能で、起動時にはグリップ付近のLEDが淡いブルーに発光する。
明確な制限がある反面、本製品がもたらすゲーム体験はかなり強烈だ。本体には8インチサイズの液晶ディスプレイを搭載しており、画面解像度はフルHD(1920×1080ドット)、フレームレートは最大60fps。
リモートプレイを利用する都合上、ゲーム内の高負荷な映像処理などはPS5側が実行してくれるため、“PlayStation Portal”にストリーミングされるグラフィックスの美麗さ、なめらかさは、同クラスの一般的な携帯ゲーム機では到底再現できない破格のクオリティーになる。
コントローラーは“DualSense ワイヤレスコントローラー”の機能をほぼ完全再現。設計の都合上、PSボタンなどの配置は変更されており、タッチパッド/タッチパッドボタンは液晶ディスプレイのタッチスクリーンでエミュレートしている。
加えて、ディスプレイ部分の左右には“DualSense ワイヤレスコントローラー”と同等の機能を備えるコントローラーグリップを用意しており、アダプティブトリガー、ハプティックフィードバックといった独自機能を再現。DualSenseコントローラー中央部にあるタッチパッド/タッチパッドボタンは液晶ディスプレイのタッチスクリーンでエミュレートしており、すべての機能を利用できる。
本製品のコンセプトは“持ち運べるPS5のゲーム体験”とのことだが、安定したネットワーク環境さえ確保できるなら、まさにPS5がそのまま携帯ゲーム機になったかのような使用感を味わえる。高負荷なAAA級タイトルがひしめくPS5のソフトを、携帯端末からフルHD・60fps環境で快適にプレイできる点が、“PlayStation Portal”の最大の魅力と言えるだろう。
ディスプレイの左右に分割されたコントローラーの右グリップ部分。画面の近くにあるのはマイクミュートボタンだ。
こちらは左グリップ。PSボタンの位置は独特だが、ゲーム中、頻繁に押すわけでもないためあまり気にならないだろう。
ここからは実際に“PlayStation Portal”のサンプル機を使い、いくつかのゲームをプレイした印象を書いていく。ちなみに体験中の通信環境は一般的なホームネットワークを想定し、同一のWi-Fiネットワーク上に“PlayStation Portal”とPS5を接続していた。
ディスプレイ部分の上部にはボリューム調整ボタンと、後述する“PlayStation Link”対応のペアリングボタン、電源ボタンを配置。前側に彫られた2箇所のスリットからはスピーカーが覗いている。
いざ"PlayStation Portal"を両手で持ってみて、真っ先に好印象を受けたのは画面サイズの大きさだ。先に述べた通り、本製品の液晶ディスプレイは8インチで、昨今の代表的な携帯ゲーム機、あるいはポータブルゲーミングPCが軒並み7インチ前後のディスプレイを採用していることを考えればやや大きめと言える。
画面の大きさはそのまま映像の迫力にも繋がるし、座ったまま本体を膝の上あたりで支えるような姿勢でも(=ある程度目から距離を離しても)見づらさはほとんど感じなかった。何より、せっかく高いクオリティーでストリーミングされているPS5の映像を、ある程度しっかりとしたサイズで見られることへの満足度は高い。
リモート端末はスタンドアローンのゲーム機に比べ本体性能が求められにくいため、ディスプレイ部分は比較的スリムにまとまっている。写真には写っていないが、本体下部にはオーディオ機器接続用の3.5mm端子が用意されていた。
本体サイズに関しては、液晶部分のベゼル幅が狭いためか、画面の大きさの割にやたらと収まりがいいように思える。正確に計測していないので確証はないが、横幅はおそらく“Steam Deck”のような現行のポータブルゲーミングPCとそう変わらないだろう。肉厚のグリップ部をのぞき、ディスプレイ部分などはこの手の端末としては非常に薄くデザインされており、重量も腕にズシリと来る感じはない。
“PlayStation Portal”でゲームをする場合、本体上部にある電源ボタンを押すとスクリーンロックが解除され、自動的に機器登録済みのPS5と接続してリモートプレイが開始される(当然だが、初回起動時はPSNへのサインインなどが必要とのこと)。ゲームプレイに入るまでが非常にスムーズなあたりは、本当に携帯ゲーム機のようだ。
安定したWi-Fiネットワーク環境下であれば、享受できる体験は携帯ゲーム機そのもの。あくまでストリーミングとは言え、映像の綺麗さ・なめらかさは一見の価値がある。
操作感については、コントローラーグリップが“DualSense ワイヤレスコントローラー”を忠実に再現していることもあって、慣れている人ならほとんど違和感なく扱えるだろう。今回の試遊タイトルだった『Returnal』や『Horizon Forbidden West』のように、アダプティブトリガーやハプティックフィードバックによる触覚表現を多用するゲームでは特にしっかりと没入感を高めてくれるので、携帯端末とは思えないプレイの充実感がある。
PS5によるゲーム体験の魅力のうち、少なくない部分を担うコントローラーの挙動をしっかりと体感できる点は大いに評価したい。ただし、タッチパッド/タッチパッドボタンは左右スティックの横あたりに配置されたディスプレイのタッチスクリーンを使うため、実際のコントローラーとは少々使用感が異なる。
体験中は上で挙げた2タイトルに加え『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』などもプレイしているが、PS5らしい精緻な映像を違和感なく携帯端末で楽しめてしまうことには、理屈がわかっていても多少の驚きと新鮮さがあった。単なるリモートプレイだろうと言われれば確かにそうなのだが、やはりディスプレイとコントローラーが一体になった携帯端末でプレイする体験は独特のものだ。
フレームレートに関しては基本的にカクつきなく描画されている印象で、とくにグラフィックスの負荷がかかるような場面でわずかなひっかかりを感じる場面こそあるものの、ストリーミングの不安定さに由来するような映像の乱れ、フィードバックのズレといった現象はまったく確認できなかった。
遅延については当然ながらゼロではないだろうが、今回のようにホームネットワーク上にPS5と本製品が接続されているような状況ではほぼ意識せずにプレイできるように思う。もうひとつ、リモート端末であるがゆえに、本体の発熱や駆動音といったストレスを感じにくかった点も魅力として挙げておきたい。このあたりはさすがに一般的な携帯ゲーム機では難しいので、本製品ならではのメリットと言えるかもしれない。
懸念点があるとしたら、やはり屋外などの遠隔地からリモートプレイを利用した場合のパフォーマンスがどれほどのものかは気になるところ。現状、安定したホームネットワークのような環境であれば携帯ゲーム機とそん色なく扱えそうに感じるが、結局のところスタンドアローンで動作しない不便さはある。少なくとも、たとえば「自宅のテレビが取り合いになるストレスから解消されたい」、「リビングのテレビにPS5を接続しているが、寝室でもプレイしたい」といった動機から購入するなら文句なしにオススメできそうだ。
ちなみに詳細なカタログスペックについては「後日あらためて発表する」とのこと。バッテリー駆動時間は調整中だが、現地スタッフの話ではおおむね4時間前後になる見込みだそうだ。近年の携帯ゲーム機として考えれば、駆動時間はしっかり確保されている。
価格は29980円[税込]で、販売開始は2023年内を予定している。あらかじめPS5を所持している必要はあるものの、正直もっと高価になることを予想していたので、享受できるメリットを考えれば個人的には手頃な金額に収まっていると感じる。
いずれにせよ、PS5の利便性を高めるデバイスとしてはほかに代えがたいものがあることは間違いない。どこでどのように使うのか、用途は要検討だが、十分な魅力を備えた端末と言えそうだ。
“PlayStation Portal”と合わせて便利に使えるオーディオ機器も開発中
ワイヤレスイヤホン“PULSE Explore”。2023年5月の“Project Q”初出時に同時発表されていたもので、新たな接続方式であるPlayStation Linkに対応している。
そんな“PlayStation Portal”といっしょに用意されていたのが、開発中のワイヤレスイヤホン“PULSE Explore”およびワイヤレスヘッドセット“PULSE Elite”。いずれも新たな接続方式である“PlayStation Link ワイヤレスオーディオ技術”(以下、PlayStation Link)に対応しており、“PlayStation Portal”はもちろん、専用のUSBアダプターを挿入したPS5など複数のデバイス間で簡単にペアリングを切り替えられるのが特徴となっている。
“PULSE Explore”に関しては“Project Q”初出時に同時発表されていたため、気になっていた人も多いだろう。
装着イメージ。形状に若干のクセがあり、そのまま耳に入れるだけでは脱落しやすい。一旦横にしてから回し入れ、最適なポジションを探すようにするのがいいようだ。
“PULSE Explore”は、プレイステーションブランド初となる公式ワイヤレスイヤホン。PS5関連機器との親和性を感じさせる丸みを帯びたデザインと白いカラーを採用しており、外装部分にプレイステーションロゴがプリントされているのが目を引く。独特の形状もあって最初は装着に少し手間取ったが、一度イヤホンを横にしてから耳に回し入れるコツを掴めば脱落なども起こらないようだ。
※編集部注:編集担当者はふだんからソニーのワイヤレスイヤホン“WF-1000XM4”を使用しているが、装着方法は同製品と同じような感覚だった。
イヤホンには充電用の本体ケースが付属する。ケース自体にもPlayStation Linkのペアリングボタンが用意されており、収納したままでの機器のペアリングが可能とのこと。
本体にはボリュームボタンのほか、先に述べたPlayStation Linkのペアリング用ボタンを用意。こちらも詳細スペックは後日公開となる見込みだが、ドライバーには高コストながら音の歪みが少ない平面磁気ドライバーを採用するとのこと。加えてデュアルマイクを内蔵しており、背景音を自動的にフィルターしてくれるAIノイズリダクション機能を搭載する。また、充電に使う付属の専用ケースにもペアリングボタンが付いており、ケース内に“PULSE Explore”を収納したままペアリング操作が可能だ。
今回は“PlayStation Portal”と組み合わせてゲーム内音声を試聴したが、音質に関しては非常に素直な味付けで、クセがなく使いやすそうな印象を受けた。“PlayStation Portal”本体内蔵のスピーカーも、少し音を聴いた印象では特にチープさなどは感じられなかったものの、より強い臨場感を楽しみたいのであればこちらに軍配が上がるだろう。
マイクのノイズリダクション機能についてはデモを実施してもらい、実際に背景音が低減することを確認している。Bluetooth接続にも対応しているため、スマートフォンと接続して通話などに利用するのもよさそうだ。
価格は29980円[税込]で年内発売予定。致し方ないとは思うが、“PlayStation Portal”と同額なのは少し気になるところ。
ワイヤレスヘッドセット“PULSE Elite”。現行製品“PULSE 3D”をPlayStation Linkに対応させつつ、マイクを格納式にするなどブラッシュアップを実施した製品だそう。
“PULSE Elite”は、2020年から販売されている“PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット”(以下、“PULSE 3D”)の後継プロダクトで、PlayStation Linkを使ったペアリングに対応する新製品。“PULSE 3D”との大きな違いとしては、上述のように接続がPlayStation Link準拠となったほか、マイクが本体内蔵から格納式ブームマイクに変更されている点、充電と収納に使えるチャージングハンガーが付属する点が挙げられる。
左イヤーカップの先にあるスティック状の部分にマイクが格納されており、引き出して使える。ボリューム調整ボタンなどはカップ側に用意。
ブームマイクは通常時は左イヤーカップの側面に格納されており、口もとに引き出して使用する。格納型となったことで音質が向上しているほか、マイクミュート時に先端部のLEDが点灯するなど、視覚的にミュートのON/OFFがわかりやすいよう配慮されている。
写真でバンド部分を引っかけているのが付属のチャージングハンガー。バンドに充電用のポートが用意されているので、このままの状態で充電にも収納にも使えるのは便利。
チャージングハンガーは、“PULSE 3D”のバンド部分に用意された充電ポートに装着することで、USBケーブルを介して本体充電が可能となる専用アクセサリー。ハンガーそのものには支えがないため、根本部分に3Dプリンターで自作した取り付け用パーツを接続したり、別途マグネットなどを用意することで、あらゆる場所にハンガーを装着する使いかたが想定されているとのことだった。
イヤーパッドの柔らかさやゆるく沈み込むバンド部分に由来する装着感のよさは“PULSE 3D”譲り。“PULSE Explore”と同じく平面磁気ドライバーを採用し、音もクセがないので、多くのゲームで違和感なく使えそうだ。
“PULSE Explore”と“PULSE Elite”に付属するPlayStation Link対応のUSBアダプター。アダプターへのタッチ操作などで素早くペアリングを切り替えられる。なお、対応するのはあくまでPlayStation Linkをサポートする製品のみで、従来製品に付属するUSBアダプターとは互換性がないとのこと。
価格は18980円[税込]で、発売時期は未発表。なお、“PULSE Explore”および“PULSE Elite”にはPlayStation Link対応のUSBアダプターがそれぞれひとつずつ同梱されるが、PCなどより多くの機器でペアリングを手早く切り替えられるよう、USBアダプターの単品販売も実施する見込みだ。
近日中にプレオーダー開始
今回の発表に合わせ、“PlayStation Portal”のプレオーダーが近日中に開始となる。すでに述べている通り、PS5の利便性を大きく高めてくれることから、PS5ユーザーは要注目だろう。
...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202308/23314221.html