ファミ通.comの編集者&ライターがおすすめゲームを語る企画。今回紹介するゲームは、スパイク・チュンソフトのアドベンチャーゲーム『AI: ソムニウム ファイル』です。
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【こういう人におすすめ】
ミステリーやサスペンスを楽しみたい人
刑事やバディものに魅かれる人
ギャグや小ネタが好きな人
テラムラ和哉のおすすめゲーム
AI: ソムニウム ファイル
プラットフォーム:プレイステーション4、Nintendo Switch、PC
メーカー:スパイク・チュンソフト
発売日:2019年9月19日発売
価格:4400円[税込]
ジャンル:アドベンチャー
対象年齢:CERO 18歳以上のみ対象
公式サイト
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夢と現実で謎を追う、ひとりの捜査官とひとつの目玉
本作は『ZERO ESCAPE(極限脱出)』シリーズや『Ever17』など、数々の快作アドベンチャーゲームを手掛けた打越鋼太郎さんがシナリオ・ディレクターを担当しているSFミステリー。その手腕を最大限に感じられる作品です。
――雨が降りしきる、とある金曜日の夜。ひとりの女性が遺体で発見された。廃墟と化した遊園地で見つかった彼女の左の眼窩からは、なぜか目玉がくり抜かれている。
この奇妙な事件を追う主人公・伊達鍵(だてかなめ。通称、伊達さん)は、不可解な謎につぎつぎと直面しながら、解決を目指していく……というのが、本作のあらすじです。
あらすじだけでも、これからどんな謎が待ち受けているのか、ワクワクしてきませんか?
伊達さんは、容疑者や重要参考人の夢“ソムニウム世界”に潜って捜査を行うという、特別な捜査官。現実とソムニウム、ふたつの世界で証拠を探していきます。
基本的には女性好きかつ下ネタ好きの調子のいい性格ですが、いざという場面ではクールにキメる。つい憧れちゃう刑事さんという感じですね。
真剣な表情に、思わずキュンとさせられます。余談ですが、伊達という名字からなぜか刑事っぽさを感じるのは筆者だけでしょうか。
専用銃・Evolver(エヴォルバー)を使用したアクションシーンも。ちなみに、伊達さんはとある条件下で反応速度が3.6倍になるという、謎の特殊能力も持っています。
彼の捜査を助ける相棒は、高度なAIを搭載した義眼・AI-Ball(通称、アイボゥ)。
ふだんは伊達さんの左目として通信やハッキングなどによりサポートを行うほか、眼窩から飛び出して独立した状態で移動します。夢の世界では人型の姿ですが、現実世界でもたびたび人型のビジョンとして登場します。
かわいいAIといっしょに事件を捜査するなんて、誰もが一度は憧れるシチュエーションですよね……。
人型ながらも、人ならざるものであることがわかるデザインが本当に秀逸で、すばらしいです。
あらすじを読む限りでは、シリアスかつハードボイルドなミステリーゲームのようですが、それだけでは終わらないのが『AI: ソムニウム ファイル』。本作ならではの魅力がまだまだ詰まっていますよ。
世界観とリアリティの線引きを活かした、SFだからこその謎
筆者が本作に唸らされた点。それは“世界観を活かした謎の提示方法”です。
たとえば“密室での殺人事件”があって、そのトリックが“壁をすり抜ける超能力”だったとします。これが正解として成り立つかどうかは、作品の世界観によりますよね。
超能力が存在すると事前に示唆されていれば納得できますが、リアル思考の作品で唐突にその結論が出てきた場合は、ちょっと戸惑ってしまいます。
『AI: ソムニウム ファイル』は世界観の“程度”の調整が巧みなんです。蛇口の捻り方がとても上手い。この感覚こそ、筆者が本作に魅力を感じた最大のポイントです。
ここまで紹介した通り、夢に潜って証拠を探せたり義眼と話したりできる世界なので、かなり科学が発達していることがわかります。
しかし“どの程度まで”可能で、“どこまで”現実的なのかがわからない。そんな中で「本来不可能だけど、この世界観であればありえるのか?」と思えるような答えが提示されます。
例を挙げるとすると、「この人は別の世界線から移動してきた人間だ!」とか「世界を裏から操る謎の秘密結社こそが黒幕なのだ!」という結論。ふつうの推理ものだったら、そんなはずはないと度外視されるような内容ですよね。
しかし、本作には、こういう考えも正しいと思える状況がたびたびあるんです。プレイヤーが俯瞰した視点から物語を見たとき、その答えでおかしくないと思えてしまう……。「自身の常識は本作の世界観には通用しないのでは?」という考えに思い至った瞬間、一気に引き込まれました。
そんな疑問に対する“正解”が提示された際のカタルシスは尋常ではありません。すべての謎と伏線が一気に線でつながる瞬間、頭の中で暴れる奇妙な感覚の本流。プレイした人だけが味わえる特別な体験と言えるでしょう。
筆者は物語中「あーそういうことか……!」と何度呟いたのかわかりません。とても気持ちよくなれます。
探すのは証拠とギャグ。シリアスとコミカルの狭間で
本作は、大きく分けて“捜査パート”と“ソムニウムパート”のふたつによって進行していきます。
捜査パートでは捜査の進捗に合わせた場所に赴き、聞き込みやカーソル操作で気になるところを調べたりして手がかりを探索。3Dグラフィックのキャラクターたちによるフルボイスで進行していくため、没入感はマシマシです。
調べたい場所を選んで聞き込みや調査を開始。会話のバリエーションも多彩です。
アイボゥに頼めば、X線やサーモグラフィーで物を見たりできます。
捜査中は証拠以外にも、つい探したくなってしまうものがあります。それは“下ネタと親父ギャグ”。このゲーム、そこら中に小ネタが転がっているのです。
……お気づきでしょうか。本作は、シリアスとギャグの振れ幅が尋常ではありません。ゲームを進めていれば何かしらのネタがわんさか出てきますし、なぜか熱海に行きたくもなります。
提灯、怖い。ちょうちんこわい。この単語に秘められた恐るべき下ネ……じゃなかった、謎とはいったい。
雰囲気が重くなりがちな殺人事件の捜査でありながら、暗くなりすぎないようにするバランス感覚が絶妙。もちろん本筋はしっかりとしたミステリーもので、事件を解決していく流れも非常に練られています。
また、最初は「これはどんな意味で差し込まれたシーンなんだ……?」と思った場面も、気づけば大切な伏線になっていたりするので、どの状況も見逃せません。この温度差の塩梅が、本作の醍醐味です。
やたら存在感溢れるモブたちも印象深いです。筆者はこの人の名前を今後忘れないでしょう。……えーと、あれ、誰でしたっけ?
キャラクターの心境や関係性もストーリーに大きくかかわり、同時にプレイヤーの心を揺さぶってきます。例としてあげるとするなら、筆者の好みは伊達さんとアイボゥの関係性です。
ふたりはゲームスタート時以前からの長い付き合いなので、会話の空気感が最初からかなり完成されているんですよね。
そのお互いを信頼している感じも心地よいのですが、精神的にまいってしまった伊達さんをアイボゥが支えてあげたり、逆にアイボゥを心配して伊達さんが行動したり。より強固になっていく絆が見て取れるわけです。
そして、その信頼関係の集大成となるシーンが用意されています。これまでの経緯をずっと見てきたこちらからすると、涙なしには見られません。
正直、登場人物のなかでアイボゥがいちばん乙女なんじゃないかと思っています。
怪しい人物の“夢”に潜って秘密を暴け
容疑者や重要参考人を見つけたら、隠している情報を引き出すために、夢の世界“ソムニウム”にて捜査を行います。
伊達さんは特殊な装置を使って、対象者のソムニウム世界に侵入。制限時間が経過する前にソムニウム内を探索し、事件の証拠となる情報を探します。
夢の中に入るというと映画『インセプション』を彷彿とさせられますが、本作ではゲームならではの形で夢を描いているのがユニークです。
しかし、ソムニウムの対象者は秘密を隠そうとするため、これ以上先に進めないようにと複数のロックがかけられます。この“心の鍵”をどうにかして解除し、重要な情報を見つけるのがソムニウムパートです。
ソムニウムの中でプレイヤーが操作するのはアイボゥ。彼女が動いている間のみ、時間が経過していきます。
気になるところをアイボゥといっしょにチェック。調べる箇所によっていろいろな行動がとれるようになっており、これがロックの解除につながります。「事件解決のためだから!」といって、アイボゥに無茶ぶりさせるのがクセになりますね。
特定の行動を起こすと、“TIMIE”という消費時間を減らすアイテムが手に入ることも。これをうまく使うのも、ソムニウム攻略のカギです。
人によってソムニウムの構造がまったく異なるのもおもしろいポイント。その人の趣味が全開に出ていたり、忘れられない重要な出来事がそのまま現出したりと、十人十色のソムニウムが存在します。
そんなさまざまな人間のソムニウムを捜索して、事件の真相に迫っていくのです。
謎が謎を呼ぶ事件の真相、そんな事件を起こした犯人の正体、そして忘れちゃいけない小ネタの数々……。伊達さんとアイボゥの掛け合いによって、ふたりといっしょにこの世界に没入したくなる作品なので、いますぐにでもプレイしましょう。
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スパイク・チュンソフトより2019年9月19日に発売された、サスペンスアドベンチャー『AI: ソムニウムファイル』(以下『AI』)。気になる疑問点に開発陣が答えます!
また、本作の続編である『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』も発売中。こちらも併せてチェックすると、さらに『AI: ソムニウム ファイル』の世界観を堪能できること間違いなしです。
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202308/27313030.html