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『Sea of Stars』レビュー。とてつもない情熱が詰め込まれた、ド直球に1990年代テイストなドット絵RPG | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 カナダのSabotage Studios開発によるドット絵RPG『Sea of Stars』。2023年8月29日より順次配信開始となる本作のレビュー版を遊んだので、その内容をご紹介しよう。

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 本作の対応プラットフォームはプレイステーション4・5、Xbox Series X|S・Xbox One、Nintendo Switch、PC。架け橋ゲームズのローカライズにより日本語にテキスト対応している。またXbox/PCのGame PassやPS Plus(エクストラ以上)にも対応する。

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ド直球の1990年代風ファンタジーRPG
『The Messenger』の開発がSFC世代のドット絵RPGに挑む レベリングや資金稼ぎの必要がなく、ストレートに冒険に没頭できる絶妙なデザイン 細かい部分にもこめられたキャラ愛がハンパじゃない 逆に盛り込み過ぎじゃないかというほどのボリューム

ド直球の1990年代風ファンタジーRPG
 『Sea of Stars』の舞台は、邪悪な錬金術師“フレッシュマンサー”が生み出す怪物によって甚大な被害を受けてきた世界。その支配に対抗する唯一の希望となるのが、月と太陽という対となるふたつの力を秘めた“至点の戦士”だ。
 本作では、至点の戦士となることを運命づけられて育てられてきたヴァレアとゼイルを主人公に、彼らとその仲間たちの大冒険が描かれる。

右上にいる3人目は、ふたりといっしょに育ってきた幼なじみの“ガール”。至点の能力は持たないものの、得意の料理でふたりをバックアップしてくれるお料理戦士だ。(※英語版での表記は“GARL”なので女の子の意味ではない)

 ゲームシステムとしては、移動だけを行うワールドマップとダンジョンの探索や戦闘を行うエリアマップの二段構成で、エリアマップではシンボルエンカウント方式でターンベースの戦闘が発生するという形式。
 各エリアマップはさまざまなルートが入り組んだ立体的な構造になっていて、仕掛けられたマップギミックやパズル要素なども多数。探索報酬としてのアイテムなども各所に配置されており、「あそこはどうやって行くんだ?」とルートを探すのも楽しい。
 グラフィックはスーパーファミコンあたりをイメージしつつも今どきの解像度に合わせて描き込まれたドット絵にモダンなライティングを組み合わせたスタイルで、非常に美しい。光田康典氏がゲストコンポーザーとして参加しているサウンド面(※)も同様に、往年のゲームをイメージさせつつ現代の音源としてアップデートされたもので、懐かしくもフレッシュなものとなっている。
(※光田氏の参加についてよく触れられるが、メインコンポーザーはエリック・W・ブラウン氏。ちなみに公式サイトのサウンドページがめちゃくちゃ充実しているので、ぜひチェックしてみて欲しい)

『The Messenger』の開発がSFC世代のドット絵RPGに挑む
 本作の開発Sabotage Studiosは、レトロテイストのアクションゲーム『The Messenger』を世に送り出したカナダのインディースタジオ。
 同作で往年のアクションゲームへのオマージュをたっぷり込めて世界的に高い評価を受けた開発が、今度は心機一転、スーパーファミコン世代のドット絵スタイルのターンベースRPGに全力で取り組んだのが本作となる。
 ちなみに、『Sea of Stars』は設定上は一応『The Messenger』の世界のはるか昔の前日譚となっているが、同作を遊んだことがなくても単体のゲームとしてまったく問題なく遊べる。

 というわけでそのテイストは、「1990年代の旧スクウェアやエニックスからスーパーファミコンあたりで出ていたゲームに、いまどきのエフェクト等のオーバーテクノロジーが加わったら……」という感じ。より直接的な影響元としては『スーパーマリオRPG』、『ガイア幻想紀』、『クロノ・トリガー』といった作品が挙げられている(タイトルは『スターオーシャン』っぽいがじつはそこまで影響は深くない)。
 まぁ見ての通り、開発の「こういうのが好き!」という気持ちが漏れまくっている90年代風のRPGなのだが、「単なる雰囲気だけのオマージュなのでは?」とか「『The Messenger』みたいにヒネりのギミック優先なの?」と邪推する諸兄もいるだろう。しかし本作においてそれは杞憂だ。
 『Sea of Stars』はゲームデザイン的工夫によってプレイしやすく、そしてめちゃくちゃしっかりと作られているド直球のRPG作品であり、発表時点から追ってきた記者でも実際プレイしてみたら心底驚かされたほどボリュームのある大作だ(一応のクリアーまでは20~30時間レベル)。実際どんなゲームなのか掘り下げていこう。
レベリングや資金稼ぎの必要がなく、ストレートに冒険に没頭できる絶妙なデザイン
 本作はレベル上げや資金稼ぎなどを意識してやらなくていいバランスを志向していて、アクションゲームのようにストーリーに沿って各エリアマップを踏破していけば自然と適切なレベルとなり、装備もある程度探索を通じて手に入るようになっている(敵からのドロップはないので残りは商店で買うのだが、その資金は探索で手に入る売却用アイテムで大体まかなえる)。
 しかし難度がやさしいわけではなく、中盤からは各システムを把握して的確な判断をしないと全滅ということもしばしば。このシステム設計でのバランスの取り方がうまく、カジュアルなプレイヤーへの対応とやりごたえを絶妙に両立させている。

「ここを抜けるのにレベルが足りないのでは……」といった不安があまりないので、マップの踏破と各所に置かれた宝箱などの探索に没頭できる。

レベルアップ時は通常のステータスアップ以外に追加ボーナスを選択できる。「ここでマナ増やしとくと回復切れなさそうでいいな」とか「こいつは紙装甲なのはもう仕方ないから魔法攻撃上げとこう」とか判断するとよろしい。ちなみにレベル上がる時は戦闘に参加していないメンバーも含めて全員上がります。

 具体的には、戦闘関連のシステムにプレイヤーの介入できる部分や、何か失敗したときの次善の策がたくさん用意されているのがポイントだ。
 たとえば相手が強力そうなスキルを準備し始めた時、指定された属性でカウンターできる仲間に入れ替えてキャンセルを狙うことができるし、完全キャンセルに至らなくても弱体化ができたり、仮にフルで発動されてしまってもなお“強ブロック”狙いで被害を減らせる。それすら失敗して気絶状態になってしまってもまだ、そのキャラが数ターン後に自動復活するまで残りのメンバーが耐えられれば立て直しのチャンスはある。

敵のスキルの詠唱中はロック(属性パネル)が表示され、対応する属性の攻撃を当てることで妨害できる。この場合、女忍者セライの“錯乱”がドンピシャなので一発キャンセル。確実に対応できるとは限らないが、このように下手に通常攻撃を撃ってきてくれるより潰せるスキルの方がありがたいことも。

 上で説明した例に関連する、戦闘や回復関連の重要なシステム設計をいくつか紹介すると以下の通り。これらのシステムを理解して適切に判断することで、なんとなく戦ったらちょいキツめの敵も相手できるようなバランスになっているのだ。

自分や敵の攻撃のヒットに合わせてボタンを目押しすることで、攻撃力上昇・ダメージ軽減の強アタック・強ブロックになる
ゲーム中ヘルプでは必須ではないとされているがかなり重要で、目押しが苦手な場合は後述の秘宝アイテムを使うべき
目押しにミスったり押さなくても攻撃自体は必中する(ただし目押しに成功すれば通常攻撃のヒット数が増えたりする)
新しいエリアの敵やボスの連続攻撃やタイミングずらしに対応できるかも本作の楽しい部分

敵のスキル詠唱中に表示されている属性で攻撃することにより、敵スキルのキャンセル(全部破壊した場合)や弱体化(一部のみ破壊の場合)を行える
通常攻撃でスキルに使うMPが回復する。また通常攻撃は攻撃強化に使える“生マナ”を生み出すへたにスキルを使うよりも次のターンに確実に備えられる強行動になっている

ゲージが溜まると発動できるコンボ技や後半に登場する究極技は消費コストなしで発動できる
パーティに3人以上いる場合、自キャラターンではキャラクターの入れ替えを自由にできる
HPがなくなっても数ターン気絶後に体力半分で復活する(ただし全滅すると終了)
エリアマップ中にはセーブポイントと焚き火(全回復&回復用の料理アイテム作成可能)が定期的に置かれているワールドマップでは敵が出現しないし、いつでもキャンプでセーブポイントと焚き火を使える

各種補助効果を得られる“秘宝”アイテムを任意に有効化することで難度を調節できる

焚き火は全回復できるし料理作れるしマジ大事。

秘宝アイテムはオン・オフが可能。最初はその恩恵を受けて、慣れてきたらオフるといった使いかたもできる。

細かい部分にもこめられたキャラ愛がハンパじゃない
 システムの解説部分が長くなってしまったので話を戻すと、こうしたしっかりした作りの上で本作のキャラクターたちの織りなす物語を満喫できるというのが一番惹き込まれた部分だ。
 大いなる役割を運命づけられた少年少女がさまざまな人々と出会い、そして別れながら真の英雄へと成長していく……という骨子自体はオーソドックスであまり目新しいものではないが、細かいNPCのセリフに至るまで愛情を込めて書かれ(また訳されて)いるのがしっかり伝わってくる。

この海賊団、全員変人だけど筋の通った熱い連中で大好き。ちなみにキーナサンさんが両目眼帯なのは「そうすると魔法能力が発揮できるのに気がついたから」だそうです。

う、うんそうだね……。

 そういった丁寧な扱いは、起動時のメニュー画面に映っているキャラや、ロード画面でのキャラのシルエットなどにも見て取れる。ゲームを進めてパーティに参加しているキャラが入れ替わったりすると、それらのマイナーなグラフィックやテキストにもちゃんと反映されるのだ。

ガールが離脱した時などはヴァレアとゼイルが頑張って料理します。

逆に盛り込み過ぎじゃないかというほどのボリューム
 というわけで本作、「これぐらいでいいだろう」というオトナな判断を感じさせない、ド直球に情熱が詰め込まれた作品となっている。
 っていうか時間のかかるレベル上げとか資金稼ぎなし、ほぼ毎回新しいエリアマップを冒険して20~30時間ぐらいのボリュームというのは常軌を逸していて、むしろやり過ぎなんじゃないかというレベルだ。
 終盤にプレイ可能になるサイドコンテンツは「当初はもっといろんなパズル要素多めで考えていたんだろうなぁ」と感じさせるものがあったし、過去のプレスイベント時に見たあるパズル要素などは丸々カットされていたので、恐らく方向性を整えるために多少削ったぐらいなのだろう。
 メインストーリーもそこまでダレるというほどではないのだが、締め切りが迫る中「まだこの先があるの?」とちょっと焦ったことを正直に告白しておく。それでも、新作ラッシュが続くこの8月の中でこの旅をしたことに一切の後悔はない。最新技術によって生み出された超大作とはちょっと違う、しっかりと時間をかけて細かい部分まで楽しんでもらいたい作品だ。

チークスがキャンプで話してくれる昔話がその後の展開に繋がってきたりするのでつい聞いちゃう。

各所の宿のバーなどで遊べるミニゲームや、各所の池での釣りなども旅を楽しむには欠かせない要素。

...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202308/28314705.html

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