2023年9月14日(木)23時から配信された任天堂の新作情報番組“Nintendo Direct 2023.9.14”で突如として発表され、アトラス×ヴァニラウェア作品とシミュレーションRPGのファンを驚かせた新作ゲーム『ユニコーンオーバーロード』。
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対応ハードはNintendo Switch、プレイステーション4、プレイステーション5、Xbox Series X|S。発売日は2024年3月8日を予定している。
本記事では、アトラスとヴァニラウェア開発スタッフへのインタビューをお届け。本作の世界観作りや細かいゲームシステムなどについてたっぷりとお聞きしたので、じっくりと読んでみてほしい。
※本稿は2023年9月22日に掲載したインタビューのノーカット版です。
野間崇史 氏(のま たかふみ)
ヴァニラウェア所属。本作ではディレクターのほか、キャラクターデザインやプログラム、スクリプトなども担当している。(文中は野間)
中西 渉 氏(なかにし わたる)
ヴァニラウェア所属。本作のメインプランナー。(文中は中西)
山本晃康 氏(やまもと あきやす)
アトラス所属。本作のプロデューサー。(文中は山本)
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90年代を彷彿とさせる新生シミュレーションRPG
――まずは本作の開発経緯についてお聞かせください。『十三機兵防衛圏 プロローグ』では、『ユニコーンオーバーロード』の映像がティザーとして収録されていましたよね。そのときはタイトルも明かされていませんでしたが。となると、『十三機兵防衛圏』の開発中には、すでに開発が始まっていたことが推測できます。本作の開発が始まったのはいつごろでしょうか?
野間企画立案のお話は、2014年ごろまで遡ります。当時の企画書を見返してみたのですが、2014年3月7日と書かれていました。本作は2024年3月8日発売予定ですから、本当にちょうど約10年後に発売することになりますね(笑)。
ただ、10年間ずっと本作を作り続けていた、というわけではありません。そのあいだにPS Vita移植版の『朧村正』ですとか、『オーディンスフィア レイヴスラシル』など、さまざまなタイトルを開発していましたから。『オーディンスフィア レイヴスラシル』が完成した2016年ごろから、『ユニコーンオーバーロード』の開発が本格始動しました。
中西一部のイラスト回りは、その時点ですでにほぼ完成していました。たとえば、タイトル画面に使用しているイラストは、企画書にほぼ同じイラストが使われています。このイラストのおかげで企画書が通ったところもあります。
野間たしか2015年ごろには描いていましたね。かなり前のものなので、自分で見て「絵柄が変わっちゃったな」と思っています(苦笑)。このイラストは一般兵をフィーチャーしたものになっていますが、じつはもともとは主要キャラクターも並んでいました。ですが、のちに一般兵に焦点を当てることにしました。
中西タイトル画面にラスボスすら並んでいましたね(笑)。
タイトル画面に使用されているイラスト。
――ラスボスまで!(笑) 本作は王道ファンタジーなシミュレーションRPGとのことですが、作ろうと思った経緯やアイデアの発端を教えてください。
野間以前からシミュレーションRPGに興味がありまして、『ドラゴンズクラウン』の開発が終わったあとに、神谷さん(ヴァニラウェア社長、神谷盛治氏)に声を掛けられて、プロジェクト立ち上げの機会を与えていただきました。
初めのうちは神谷さんからの助言や、僕が好きだったファンタジー作品を参考にしつつ、いろいろと考えながらアイデアをまとめていきました。
中西自分はそれを企画書にまとめる感じで、その際に好き勝手言っていただけですね(笑)。
――その企画書の段階から、すでにアトラスから発売されることは決まっていたのですか?
野間いえ、最初は中西と雑談レベルの妄想をくり広げていたレベルで、ゲームとして作り始めてもいなくて。企画書をお出しして、アトラスさんから発売されることが決まってから、ようやく開発が動き始めました。
中西神谷さんから「明後日アトラスさんに行くから企画書を書いておいて」と、いきなり言われたのを覚えてます(苦笑)。
野間もう急ぎで、企画書映えしそうなイラストを描きましたね(笑)。
――突然の無茶ぶりから企画書を書きあげてしまうのもすごいですね。山本さんは最初にその企画書を見て、どう思われましたか?
山本アトラスが関わるようになったのは野間さんのお話の通り、2016年ごろからでした。
シミュレーションRPGというジャンルは1990年代には百花繚乱のようにさまざまなタイトルが誕生して、僕たちもそれらをむさぼるようにプレイして楽しみました。そしていま現在、このジャンルを支えているのは当時生まれて洗練されて進化して確固としたIPとして確立されているタイトル群だと思います。
『ユニコーンオーバーロード』は、いまなお支持されているタイトル群とは別の、あの当時、神の視点で人間の営みをシミュレートするスケール感やそれを支えるシステムをもったゲームに僕たちは心が惹かれていたので特定のタイトルではなく、その雰囲気の具現化に挑戦したタイトルです。
90年代のシミュレーションRPGだけでなくシミュレーションゲームやもちろんRPGも大好きでしたので、その狙いはとてもわくわくしましたし、僕自身もプレイしたいと感じました。
――たしかに、スーパーファミコンやメガドライブなどの時代は、意欲的なシミュレーションRPGも多かったイメージがあります。
山本2020年代に新しいシミュレーションRPGを提案するにあたり「いま僕たちがそのジャンルに取り組む理由ってなんだろう」と話していたときに出た仮説が16-bit時代は2Dで描画する制限があったからこそ人間を俯瞰する神の視点で世界を描写し、その視点ゆえに壮大なスケール感やそれを支えるシステムで構成されたのではないか、というものでした。
3Dグラフィックスでリアルに描画する方向に90年代半ばから現在未来にいたるまでゲームの進化は歩みを進め、それは変わりそうにない。となると、指をくわえて待っていても僕たちが遊びたいと思うシミュレーションRPGは発売されないかもしれない。
そう考えたときに、2Dグラフィックスに特化したヴァニラウェアさんと、いま風のゲームでありながらも当時の雰囲気を持った作品を作るというのは、むしろ僕たちにしかできないことなのではと使命感を持って取り組んでいるタイトルでもあります。
――世界観は『ドラゴンズクラウン』的なファンタジーというよりも、王道なハイファンタジーな世界観に見えます。どのような構想で世界観を構築したのでしょうか?
野間“ファンタジー”な世界観と言っても、テイストはいろいろありますよね。たとえば『ドラゴンズクラウン』も王道ファンタジーと言えると思いますが、全体的な雰囲気は少しダークと言いますか、海外ファンタジーRPG的な色が強く、大人の雰囲気が漂う作品かと思います。もちろんそれも好きなのですが、僕は小さいころから日本のファンタジー作品がすごく好きで。
本作の世界観は具体的に言うと、ファンタジーの要素が濃すぎるのではなく、ファンタジー色と現実感のある中間くらいの世界観です。欧州の中世をベースに、そこに日本のファンタジー作品の要素が混じったような、自分の好きな落としどころの世界観にしました。
基本的には14世紀ごろの世界観をベースにしていますが、紀元前の存在である“グラディエーター”がいたりと、ファンタジーらしくある程度のウソを入れ込んで構築しています。ただ、銃は登場しません。
中西銃は、初期案のころにはありましたよね。マスケット銃的なものを使う兵士もいましたが、実際に制作を始める段階で廃止になりました。
野間世界観にどうしても合わないな、と感じたので登場させませんでした。それよりも、魔法の要素を押すことにしました。
廃止となったマスケッターのイラスト。
――なるほど。『ユニコーンオーバーロード』は9月14日に配信されたニンテンドーダイレクトで発表となりました。ユーザーからの反響はどう届いていますか?
野間正直、メチャクチャドキドキしていました。メインのグラフィックは僕が描いているわけですが、これまで基本的にはメインで描いていた神谷さんの絵とは、当然違うわけで。僕の絵がヴァニラウェアのタイトルとして受け入れてもらえるのかが、いちばん不安で。
「いい方向で見てもらえるとうれしいな」くらいに思っていたのですが、予想していた「神谷さんじゃないからダメ」という意見も少なく、ヴァニラウェアのタイトルだと見てもらえていたようで、ちょっと安心しました。僕が神谷さんのファンなので、自分がそう思っているのかもしれないのですが(笑)。
――ユーザーの方々は「このタイトルなんだろう?」、「どこのメーカー?」と不思議がって見ているなかで、料理シーンが現れた瞬間に「ヴァニラウェアの新作だ!!」となっているのが個人的におもしろかったです(笑)。
野間そこで分かっていただけたのは、うれしくもありおもしろかったです(笑)。
『ユニコーンオーバーロード』初報映像
――本作のコンセプトは“90年代のシミュレーションRPGのフィーチャー・継承”とのことですが、どういった部分をフィーチャーしているのでしょうか。
野間特定のタイトルの特定の部分だけを取り入れたのではなく、僕が好きなものをたくさん盛り込んで、いまの形に落ち着きました。それはシミュレーションRPGに限らず、当時のRPGなども含まれます。
本作ではすべてが繋がったひとつの広大なフィールドとなっていまして、次にどこへ行くのか決めるのも、基本的にはプレイヤーの自由となっています。そうした理由というのが、「ココに来た理由はこうで、次にコレがあるからどこどこに移動する」といった説明をなるべく省きたかったからでもあります。
それよりは、プレイヤーが主体性を持って行きたいところへ行くほうが、道順に対する理由付けがプレイヤーの中で完結しますよね。このあたりも往年のRPGを参考にしたポイントでもあります。
――そこが理由で、順番がバラバラでも物語が語れる自由度の高いシステムにしたと。
野間ただ、全世界がひとつのマップでつながっている、超広大なフィールドとなったことにより“嘘”が付けなくなってしまいました。
“嘘”というのは、たとえば地図だけ見せて「この草原に10万人の兵士がいるから避けよう」と言うだけであれば、実際ゲーム中に兵士が存在しなくても、シーンとしては成立しますよね。ところが、フィールドがすべて見えている状態なので、本当にそこに行ったら「10万人も兵士いないじゃん!」とバレてしまうわけです(笑)。なのでそういった表現を使わずにお話を作る必要があったので、そこは苦労しましたね。
――それでもフィールドを繋げて好きな順番で攻略できる自由なシステムに至ったのはなぜですか?
野間僕自身、自由度の高いRPGが好きだからです。本作におけるプレイヤーの移動は、プレイヤー自身が作る物語でもあります。「まずは南に行って、そこから北上しながら攻めよう」とプレイヤーが考えたとしたら、それはその人だけの体験になります。 。
だとしたら、そこで起きる事象や、キャラクターの掘り下げだけが起きるようにしたほうが、物語も作りやすいですし自然なシステムになるのではと思い、好きな順番で攻略できるようになりました。もちろん、ある程度「ここはまだ入れませんよ」みたいな要素はあります。「ここは難しいけど本当に行くのか?」と、判断を問われることもあるでしょう。
ワールドマップ。実際に実機も見せていただいたが、本当にこの巨大なフィールドが、すべて地続きとなっていた。
王道的なテイストで進んでいく物語
――解放軍を率いることになった亡国コルニアの王子アレインが主人公とのことですが、現時点でお話できる反映で構いませんので、どのようなストーリーが展開されるのか教えてください。
野間物語は主人公アレインの祖国であるコルニア王国が、将軍ヴァルモアの謀反により滅ぼされることから始まります。その後、落ち延びた先でともに育った仲間たちといっしょに、世界を解放すべく立ち上がります。
という感じで、基本的に僕はシンプルな話しか書けません。内容としては、いわゆる貴種流離譚(※)ですね。行って帰ってくる物語というか、奪われたから取り戻す、ですとか。いきなり最終決戦に挑むこともできるのですが、そのまま挑むと難しいので、各地を回ってトラブルを解決しながら仲間を集めていくことになります。
※貴種流離譚(きしゅりゅうりたん):特別な身分の主人公(貴種)が、一度その立場から離れてさまざまな試練のを乗り越え(流離)て結末へと至る物語。
――いきなり最終決戦ですか!? タイムアタックもできそうですね……。たとえば、10年開発したゲームを数分でクリアーする猛者が現れたら……。
中西たぶんいきなりは無理だと思うのですが、それくらいの自由度を出せるように作っています。ただ、きっとそのクリアー動画を見たら「もう終わっちゃった……」とここにいる全員が泣くんでしょうね(笑)。
――“一角獣の指輪”というものがキーアイテムになるかと思いますが、どのような指輪なのでしょうか?
野間詳しくはゲーム本編のお楽しみとさせていただきますが、この“一角獣の指輪”がゲームを通して大きな役割を担っているのは間違いありません。ちなみに、ゲームのロゴを見ていただくと指輪はふたつありますよね。もうひとつの重要な指輪があることは、明言しておきます。
本作のロゴ。たしかに指輪がふたつ描かれている。
――ヴァニラウェア作品は複数人の主人公視点で進むことが多いイメージですが、本作はアレインの視点で物語を見ていくことになるのでしょうか。
中西はい。基本的にはアレインの視点で物語が進みます。シーンによってはアレインがいない場面も描いていますが、主人公はひとりです。
――アレインは超王道正統派主人公という印象です。勇者的な主人公って、王道すぎてじつはなかなか居なかったりしますよね。
野間とにかく王道がやりたかったので、開き直って思い切り王道にしました。
山本アレインは演じるのがすこし難しいキャラクターなんです。島で育てられたのですが、ある程度のカリスマがないと「なんでこんな若造についていかなければならないんだ」となってしまいます。幼さを残しつつもしっかりリーダーシップを発揮していくという難しい役どころだったのですが、浦和希さんが見事に表現してくださいました。
アレイン
――物語では、横スクロール的なシーンでイベントが進んでいるように見えましたが、サイドビューでの移動シーンはありますか?
中西これは期待されるところかもしれませんが、本作では基本的にフィールドでのみ移動できます。サイドビューなのは戦闘とイベントシーンのみですね。
野間じつは横スクロールで街を探索する要素も考えていましたが、それを盛り込むとやりたいことがさらに増えてしまって収拾がつかなくなるので、あえなく断念しました。
――過去作ではキャラクター間の繊細な恋愛ドラマも魅力のひとつだったと思いますが、本作にも用意されているのでしょうか。
中西非常に多くのキャラクターが登場しますので、いまはご想像にお任せします。またいずれそのあたりについてはご紹介することがあるかもしれません。
――期待しています! また、2Dのキャラクターが豊富なポーズで演技をしていくのはヴァニラウェア作品らしい要素かと思います。そこは踏襲されているのでしょうか?
野間そうなります。グラフィックの枚数は、過去最大規模の量となっています。人によってはまったく見ないようなポーズや表情もあるのですが、こだわって全員で作りました。まだまだ明かせないのですが、物語の後半になると「この作業量をスタッフたちはどうしたんだ!?」と思うほどのシーンもあります。正直、入れることを決めたことに少し後悔したくらいです(苦笑)。ぜひお楽しみにお待ちください。
――地上を歩く人たちはそのままドラマ、バトルとグラフィックが使えそうですが、馬に騎乗している兵士などは、馬に乗っているバージョンと地上に立っているシーンと、もう2倍くらいの労力が掛かっているように見えます……。
野間まさに、それくらい労力が掛かっています(笑)。しかもイベントによっては馬から降りないといけないシチュエーションもあったりして、そうなるともう実質3倍の労力になります。ですが、室内シーンなのに馬に乗っていたらヘンですし、殿下の横で部下が馬に乗っているのもおかしいので……恐る恐るデザイナさんに相談して、立っているバージョン、馬に乗っているバージョンをすべて描いていただきました……(笑)。
60人以上の仲間と冒険できる多彩なシステム
――ここからは細かいシステムなどについてお聞きできればと思います。自由に冒険できるとのことでサイドクエストもたくさん用意されていると思うのですが、ゲームのボリュームはどのくらいになるのでしょうか。
中西メインクエストを追っていくだけであれば50時間程度、サブクエストなどゲーム全体をくまなく遊ぶと100時間以上のボリュームになっています。社内でテストプレイを行った際には軒並み100時間以上かかっていて、ひとりだけ初見プレイでも40時間でクリアーした人がいました。
野間ボリュームが多いからといって必ずしも喜ばれる時代でもないとは思いますが、「遊び足りない」と思うことはないと自信を持って言えます。
――仲間になるキャラクターは60以上とのことですが、すべて自軍としてゲーム中に運用できるのでしょうか。
中西はい、仲間になったキャラクターはすべて自軍として運用できます。仲間になる条件はさまざまあり、時には道を違えることもあります。プレイヤーがあえて仲間にしない選択をした場合には、何らかの別のメリットがあったりもします。
――仲間キャラクターが戦闘で敗北した場合、ロストするなどのデメリットはありますか?
中西キャラクターロストは存在しませんが、ユニットが撃破されるとそのステージでは出撃できなくなるといったペナルティがあるので、慎重に進軍させる必要はあります。ロストするのかどうか、という議論は重ねていましたが、しない方向性で進めました。
――60人以上登場する仲間キャラクターですが、特定の人物が自軍にいると仲間にならないという要素はありますか?
野間それはありません。一発で集めきれないというのは個人的にも苦手なので、1周目のプレイで全員仲間にできます。じつは当初は「こっちを仲間にしたから、こっちが仲間にできない」的な要素も考えていたのですが、中西から「できるだけ1周だけですべてを完結できるようにしたほうがいい」と助言されまして。コンプリートしたい人に無理やり周回プレイを強いるのではなく、1回で集めきれるようにしました。
中西ボリュームのすごいゲームですから、周回前提にはしないほうがいいと思いました。明らかに選択肢を間違えたり、取返しのつかないことをした場合は集めきれません。たとえば、仲間になりそうなキャラクターを処刑してしまったら、それは当然仲間にならないですよね。もちろん、その選択は正解でも間違いでもないので、自由に選んでいただければと思います。
――条件が裏技レベルで、超難しく隠されている仲間とかはいますか?
野間それもないですね。「あの人を仲間にしていないから、この人が仲間にならない」などという場合はありますが、ものすごく隠されているほど難しい条件はありません。
――なるほど。フィールド探索はどのようなイメージなのでしょうか。普通のRPGのようにフィールドを移動しながら目的を決める感じでしょうか。敵とのエンカウントの有無も教えてください。
中西ある程度進行状況に応じた制限はありますが、基本的にフィールドはオープンな作りになっており、見つけたステージを攻略するもよし後回しにするもよし、自由に探索して回ることができます。
フィールド上に敵がいる場合があり、触れるとバトルが始まるシンボルエンカウントがあります。ここはシミュレーション要素はなく、RPG的な戦闘だけが始まります。倒すと手に入るものがあるのですが、その地域のステージクリアー時に報酬として手に入ります。
野間敵は無視してもいいですし、倒してもしまってもかまいません。強い地域に行くと強い敵とエンカウントしますが、倒されてしまった場合、直前に立ち寄った施設に巻き戻しさせられるので、進めないといった具合です。
このフィールドでの戦闘は特殊なシステムで、シミュレーションRPGパートでの1回の戦闘を切り出したようなものです。その1回の戦闘で相手を倒し切らないと、敵シンボルを消すことができません。いわゆるワンターンキルが求められます。優勢の場合は、シンボルは消えませんがそのまま探索続行も可能です。
中西1回の戦闘後、倒されていなければ両者ともに全回復するので、本当にワンターンキルが必要です。ですので、その地域に自分の部隊が勝てるかどうかを計る目安にもなっています。もちろん、敵が強いからといって、必ず勝てないというわけではないのであくまで目安ですね。
――トレイラーでは鉱石掘りのようなミニゲームがありましたが、あれはフィールドで遊べるものですか? ほかにミニゲームはありますか?
中西はい、フィールドで遊べる採掘のミニゲームです。フィールドの特定の場所でプレイできます。ほかにもお遊び要素は存在しますが、必ずプレイしなくてはならないわけではなく、あくまでオマケ要素です。
――つぎの目的地やステージ攻略の順番や方法は自由とのことですが、攻略の順番や仕方によってストーリーに影響が出ることはありますか?
野間キャラクターの有無や進行状況などに応じて少なからず差異はありますが、それによってシナリオの大筋が変化するといった極端な変化はありません。逆にいえばそういった極端な差はないため、安心して自由に進めて頂ければと思います。
中西攻略順番や選択によって展開がほんの少し変わる部分はありますが、本当に重要な場面だけです。
――フィールドでは昼と夜のシーンがありますが、時間の概念があるのでしょうか? 時間経過でクエスト消滅、などの時間制限はありますか?
中西時間によって昼夜が切り替わっていき、昼夜それぞれにしか発生しない、ちょっとしたイベントがあります。フィールドの探索に時間制限はありませんので、自分のペースで遊べるようになっています。
――シミュレーションバトルパートは、リアルタイムでユニットが進行していくシステムということで、『十三機兵防衛』の“崩壊編”にも近いですよね。開発で培ったノウハウなども生かされているのでしょうか?
野間じつは『十三機兵防衛圏』と『ユニコーンオーバーロード』は、ほぼ同時進行で開発が進んでいたので、互いに少なからず影響はありました。というか、『十三機兵防衛圏』の“崩壊編”のプログラムは、僕も参加していまして……。
中西自分は“崩壊編”の基本システムの設計を担当していました(笑)。ゲーム性も違いますし、どちらも作っていたからこそ差別化できたと思っています。
野間もしかしたら何か近しいと感じるシステムもあるかもしれません。たとえば、トレイラーで騎兵が突撃する範囲攻撃がありましたが「あれ? これ機兵の攻撃で見たことあるかも?」と思われた人もいるのではないでしょうか(笑)。
野間崇史氏。
――トレイラーでは“ブレイブ”というポイントを消費して放っていたシーンですよね。
中西はい。“ブレイブ”は、本作のシミュレーションバトルにおける大きな特徴のひとつですが、本作では敵を撃破したり砦を制圧したりすると“ブレイブ”という値が溜まっていき、それを消費すると“ブレイブスキル”を発動できます。トレイラーで映っていた“ワイルドラッシュ”はその中のひとつです。
より詳しい戦闘システムは今後お伝えできればと思いますが、公開されたPVにいろいろなヒントが散りばめられていますので、想像しながら続報をお待ちいただければと思います。
――また、トレイラーでは“名声”という要素もありました。どこに影響する要素でしょうか?
中西アレイン率いる解放軍の名声なのですが、溜め続けることで部隊の運用に関わるような、いいことがあります。こちらも詳細は追って公開予定です。
――本作はオンライン対戦も可能とのことですが、勝利すると何か恩恵があるのでしょうか。
中西はい、詳細はまたのちの機会でご紹介することになると思いますが、勝利することで得られる報酬があります。
現段階の開発進捗は95%
――トレイラーでファンたちにヴァニラウェア作品だと気づかせた、料理の要素も見えました。なぜ取り入れようと考えたのでしょうか?
野間ファンに期待されている面もありますが、食事という概念があるだけで世界観がしっかりするからです。ただ、最初のイメージでは戦記物っぽく、戦闘糧食として“粥だけをひたすら食べる”みたいなすごく質素な食事で(苦笑)。あまりにも地味だったので、これはないなと。ファンタジーなんだからいいじゃん! と開き直って、美味しそうな料理を弊社のシガタケさんにたくさん作っていただくことになりました。
中西ただ、あれだけ豪勢な料理を独り占めするわけにはいきませんよね。だったら、何人かと食卓を囲むことになるでしょう。どういった影響があるのかは、続報をお待ちください。
食事シーンの実機も見させていただいたが、ボタンを押すたびに食べていき、料理がちゃんと食べ進められていることがわかる、『朧村正』のような作り込みも健在。
――ヴァニラウェア作品と言えば、先ほどもお話に登場した神谷盛治氏の存在が大きいと思います。本作には関わっているのでしょうか。
野間本作はヴァニラウェアの中でもダントツに開発期間の長いタイトルになってしまいましたが、それを暖かく見守ってくださっています(笑)。あと、制作を進める上で難しい局面があったときに助言をいただいたり、実際に手伝っていただいたこともあります。
――では、『十三機兵防衛圏』の開発で会社全体がピンチレベルだったときも……?
野間そのときだけは見守っている場合ではないので、神谷さんから「手伝って!」と言われて、中西とともに『十三機兵防衛圏』の開発に合流しました(笑)。開発が終わってから、また『ユニコーンオーバーロード』の開発に戻りましたね。
中西ちなみにほかにも、『ドラゴンズクラウン・プロ』を野間さんとふたりで作ったりしていましたね。神谷さんが「ふたりで移植できるよね?」って言うので……(苦笑)。
――それもまた無茶ぶりですね(笑)。ヴァニラウェア作品は神谷氏の趣味趣向が溢れ出てると思うんですよ。女性キャラクターのデザインですとか。本作は野間さんの趣味が……?
野間全開です。僕、強い女性キャラクターが大好きでして。強い女性たちがたくさん出てきます(笑)。
山本僕、野間さんが描いた獣人も好きですね。
野間よかったです。「ちゃんと男女問わず獣人になっててうれしい!」という、ファンの声もいただけてありがたかったです。
――野間さんはプログラマーでありながら、本作のグラフィックを担当され、ディレクターを担当し、物語を考えていて……。もうスタッフロールが野間さんだらけになるのでは……。
中西スタッフロールの制作を自分の方で担当したのですが、本当に野間さんだらけです(笑)。ただ、役職を当て振ると本当に多すぎるので、むしろ表示数を消したくらいです。
――消したくらいに活躍されていると! 限定版にはカードゲームまで付属しています。なぜ制作することにしたのでしょうか。
中西限定版を制作するにあたり、さまざまな特典候補が挙がったのですが、そうした中で、ボードゲーム好きな背景デザイナーの前田さん(前田幸綱氏)がゲーム本編をモチーフにしたカードゲームの提案があったのが発端です。デッキ構築型のボードゲームなのですが、ゲーム本編がデッキビルディングのような側面もあったので非常にマッチしていると思います。
――それはアトラス側からの提案ですか?
山本アトラス側からのオーダーとしては紙製のアイテムでなにか、というご相談でした。それが背景デザイナーの前田さんがカードゲームのデザインをされると聞いて、『ドラゴンズクラウン・プロ』のデジタルゲームブック『悪霊島の秘宝』を作られた背景デザイナー西村さん(西村芳雄氏)のときと同様に驚かされました。
そして今回、前田さんの情熱に応えられるよう多くのアナログゲームを手がけられているホビージャパンさんの製造協力を仰いでクオリティの高い同梱物を作ることができました。
――2024年3月8日発売と、遠いようでかなり発売日近いかと思います。現在の完成度や進捗はどれくらいのものでしょうか。
山本95%くらいですね。
野間本当に最後の調整やデバッグなどを進めている段階で、あとはもうブラッシュアップするだけです。
――完成を楽しみにしています! 最後に本作が気になっているファンの方々へ、ぜひアピールをお願いします。
中西開発者たちが自分たちでやっても楽しめたゲームですから、プレイヤーの皆さんもきっと楽しんでもらえるはずです!
野間自分自身が遊びたくて作ったゲームです。発売したら自分で何回も遊ぼうと思っています! まずはぜひ、予約をお願いいたします。
山本“1990年代・16-bit”、“シミュレーションRPG”、“デッキビルディング”これらのキーワードのいずれかにフックされた方には気に入っていただける作品になっていると思います。完全新規IPタイトルですので皆さまのご声援・ご支援が頼りです。野間さん・中西さんの想いに共感された方はご予約いただけますとうれしく思います。
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202309/25318154.html