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『ピクミン4』インタビュー。ディレクター陣が語る『ピクミン4』のおもしろさや“ダンドリ”の楽しさ | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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ディレクター陣が語る『ピクミン4』のおもしろさや“ダンドリ”の楽しさ
 2023年7月21日に発売された『ピクミン4』。植物のようでもあり、動物のようでもある不思議なピクミンたちと協力して、未知の惑星を探索していく作品だ。シリーズ特有の雰囲気や、順序立てて効率よく物事を進めていく“ダンドリ”遊びが魅力となっている。そこで、本作の魅力にさらに迫るべく、ディレクター陣にインタビューを行った。

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※本記事はネタバレを含みます。未クリアーで気になる方はゲームクリアー後にお読みください。

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神門有史氏(写真右)(かんど ゆうじ)

『ピクミン4』チーフディレクター兼プログラミングディレクター。『ピクミン』第1作から参加し、『ピクミン4』ではゲームシステムの設計とピクミン・原生生物などのキャラクターのベースプログラムなどを担当。

平向雄高氏(写真左)(ひらむき ゆたか)

『ピクミン4』プランニングディレクター兼スクリプトリード。レベルデザイン全般、原生生物の仕様の作成に加え、シナリオやゲーム内のメッセージを担当。『ピクミン』第1作から参加。

ひとりでもふたりでも、初めての人でも楽しめるように
ーーまずは発売おめでとうございます。「初めて『ピクミン』を遊んだけれど、おもしろかった」という声も聞きますが、おふたりは反響は耳にされましたか?
神門多くの方に楽しんでいただけているようで良かったなと。ふだんゲームの話をしない親戚から連絡があったり、娘の小学校の友だち数人から買って遊んでくれたという話を聞いたりしたので、うれしい限りです。
ーープレイした感想などは聞いたりしましたか?
神門「おもしろい」や「いまもプレイしているよ」という話は聞きました。途中でやめないでプレイしてくれていて、よかったです。

平向うちの子どもは「ピクミン英才教育」中です。『ピクミン3』はいっしょに遊んだのですが、『ピクミン4』はひとりで遊ばせてみたんです。すると、自主的に時間を巻き戻す機能を使ってノーミスクリアーに挑戦していました。最終的には、ピクミンが3匹ほど死んでいたんですが、がんばっていましたね。
ーーすごい! まさに英才教育ですね。巻き戻し機能といったシステムにより、遊びやすさが増したと思いますが、反響はありましたか?
神門これまでのシリーズで、ピクミンが死んでしまって悲しいという声をいただいていて、「ちょっとだけやり直したい」というニーズにこたえるために、巻き戻し機能を入れました。もちろんシリーズに慣れていたりこだわりがある方は使わないで遊ぶこともできます。プレイヤーに自由に選んでいただけるので、巻き戻しは入れてよかったと思っています。
ーー原生生物にピクミンがやられてしまって巻き戻しをしている人が多いのでしょうか?
平向原生生物は第1作の『ピクミン』のころから“初見殺し”のような部分がありました。今回、巻き戻し機能があるからこそ、そういった原生生物が登場しても、受け入れてもらい易くなったかなと思います。
神門今回はそれほどではないですが、『ピクミン2』のころは、ちょっとやり過ぎだったかもしれません。
ーー『ピクミン4』はふたりで遊ぶこともできて、エンゴ射撃が強いので慣れない人でも強い原生生物を倒せたりできますし、単純にふたりで遊ぶのもおもしろいですよね。なぜ採用しようと決めたのでしょうか?
神門『ピクミン3』のときは参加するふたりともがそれなりに上手じゃないと楽しめないところがあり、本作では『ピクミン3』とは違う形のサポート機能を入れたいというのが発端でした。
 たとえば、親子で遊ぶと考えたときに、お子さんがすごく上手で、親御さんが操作に慣れていないパターン。逆に、親御さんが上手だけれどお子さんが慣れていない場合もあります。どちらでも楽しく遊べるようにしたかったので、操作はできるだけ簡単にして、狙ってボタンを押すだけでできるサポートを考えました。そこでコミュニケーションが生まれたらいいなと思っています。家族がリビングで遊んでいるイメージですね。
ーーなるほど。エンゴ射撃が強いので、サポートしている側も楽しいですよね。
神門エンゴ射撃側もしっかり手ごたえが出るように調整しています。ひとりで両方操作した場合でも、エンゴ射撃を使ったかどうかがわかるようになっていますので、ガチで最速クリアを狙っている方も安心していただけると思います。

ピクミン4の進化

ーー『ピクミン4』は、ボリュームもすごいと感じました。最初から計画されていたのでしょうか?
神門「『ピクミン3』はおもしろいけど、あっという間に終わってしまった」といった感想があったことが気になっていました。しかし、単純にボリュームを増やせばいいという訳ではなく、遊びに変化がありつつずっと遊んでもらえるもの、クリアしたら終わりにならないようにといった点を配慮しながらボリュームを増やす方法を検討しました。
ーーオリマーの登場がうれしかったのですが、最初から登場する予定だったのですか?
平向はい。最初から登場することは決めていました。
神門オリマーが登場することが決まったと同時に、オリマーの遭難している間を追体験できるものを入れることにしました。本編がダンドリを推しつつも押しつけがましくない形にしていくなかで、どっぷりとダンドリを要求される『ピクミン』第1作のような遊びを入れたかったからです。
ーープレイしていて、オッチンが出てきたときにすごく進化を感じたのですが、最初から犬が登場する予定だったのですか?
神門『ピクミン4』ならではの売りを模索するなかで“原生生物を操る”というアイデアがあって、その落としどころを探していました。そのときに「原生生物がプレイヤーキャラクターになったらどうなるか?」と考えて、本作ではシンプルにプレイヤーと犬を切り替えるダンドリ遊びにすることにしました。
 さらに、『ピクミン4』では初めてプレイする方にも遊んでいただきたかったので、切り替えをしなくても“犬の背中に乗って遊ぶ”というのが、うまくハマりそうだと思いました。迷ったら遭難者をニオイで探すこともできますし。
平向オッチンは相棒であり、強く成長させられるピクミンみたいな存在でもあるので、本当に頼りになりますね。

シリーズ作品が初めてでも『ピクミン4』から触れてみてほしい
ーーいろいろなプレイスタイルで遊べますが、他人がプレイしているところをご覧になることは多かったですか?
神門開発期間とコロナ禍が重なっていて、在宅で仕事をすることが多く、日ごろ誰かのプレイを見る機会はあまりなかったんです。そういったこともあり、開発の終盤には、しっかりとテスターの方が遊んでいるのを見る機会を設けました。
平向リアルタイムで他人のプレイを見る機会は少なかったのですが、プレイデータを集計してみんながどういった順番で遊んでいるのかを把握するようにしていました。
ーー体験版でも「すべてやれば青ピクミンが取れる」というのを聞いて、やってみたら本当に取れたみたいなのは、とてもおもしろいですよね。
平向ダンドリよくプレイすれば、3日目で「ひだまりの庭」をコンプリートすることもできますね。
神門体験版でそういった「いろいろな攻略がある」というのを、実際に遊んだ方や遊んでいるのを見た方々のあいだで意見交換されて広まったというのがありました。それによって製品版を手に取っていただく機会が増えたのではないかと感じています。

ーー確かに、プレイ後に製品版も遊びたいと思える体験版になっていると感じました。
神門『ピクミン』シリーズは、見た目と内容のギャップがあるとよく言われます。どんなゲームなのか、すぐに理解していただけない部分があるんですよね。そういったこともあって、『ピクミン3』のときのように発売後ではなく、『ピクミン4』では発売前に体験版を出すことにしました。
ーー本作の体験版で初めて遊ぶという人も多かったですよね。『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにオリマーが登場しますし、スマホアプリの『Pikmin Bloom』(配信元:Niantic)によって、それまで触れたことがなかった人にも『ピクミン』の土壌が広がっている感じがします。
神門『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズには、昔から登場しているので、知ってくださっている方もいらっしゃいます。ほかにも、最初の『ピクミン』と『ピクミン2』の歌を、いまだに耳にする機会もあったりします。そういうこともあって、いまのお子様も『ピクミン』を知っていたりするんですよね。対して、『Pikmin Bloom』は、お子様よりもおとなの方に遊んでいただいているようです。
 キャラクターとして人気もあると感じていたので、ゲームの本編では失敗できないという思いはありました。
ーープレッシャーもあったかと思いますが、完成品を遊ばれたときの感想をぜひ聞かせてください。
神門スタッフロールが流れてエンディングを見たときは、ようやくすべてがつながったな、という実感はありましたね。楽しみながら最後まで遊んでいただけるといいな、と。

ーー気になる世界観についてもお聞きしたいのですが、本作では主人公が特定のキャラクターではなく、「あなた」になっていて衝撃でした。ここにはどんな意図があったのでしょうか?
神門まず、シリーズのキャラクターにしなかった理由としては、『ピクミン4』というナンバリングタイトルではあるものの、初めて触れる方にもここから始めてほしいという思いが強かったからです。主人公をオリマーにしてしまうと、過去作のバックグラウンドを背負った状態でスタートしなければいけなくなりますし。

平向ピクミンの世界の登場人物は宇宙人ばかりですが、今回は主人公を自分自身の分身として遊ぶことで、よりピクミンの世界を実感していただきたかったんです。
――遊んでいると、ピクミンの日常というか、身近に感じてしまうこともありました。
神門主人公が自分自身になったのもありますが、いろいろ指示を出してダンドリよくピクミンに仕事をしてもらっているときに、指示したことを忘れてて反対側からピクミンがやってきてすれ違ったときとかが、結構うれしいんですよね。「お前もまだ仕事していたんだな」と(笑)。それをカメラで見ていると「すごいぞ! 偉いぞ!」みたいな感じで、意外と臨場感があって大好きです。
――現場監督のような?
神門そんな感じです。すごく没入するというか、リアリティを感じる部分ですね。

ピクミンの伝統と子どもの知性
――ゲーム中に登場するテキストに関しても、人間視点ではないのでシニカルに感じる部分も多く見られる印象です。過去作からの伝統ではありますが、『ピクミン4』にどのようにアウトプットされたのですか?
平向とくにシニカルさを意識しているというわけではなくて、『ピクミン』第1作のときから「子どもに媚びない」というコンセプトでやってきたからかもしれません。
 宮本(宮本茂氏。任天堂株式会社 代表取締役フェロー。『ピクミン』シリーズの生みの親)が過去のインタビューで「子どもは物を知らないだけで、知性はある」「子どもを馬鹿にしてはいけない」と話されていて、「子どもだからこれはわからないだろう」とは考えずに、なるべく「どう伝えたら子どもでもわかるようになるか」という意識で書いています。それでもわからない部分があれば、お父さんやお母さんといっしょに遊んで聞いてもらえるとうれしいですね。
――なるほど。それが理由で遭難者たちは、詩的なキャラクターが多いんですね。
神門シリーズを通して、こういうものがピクミンらしいテキストだという共通認識はありますね。テキストの担当者は、その辺りをうまく汲んでくれているのかなと思います。「子どもを馬鹿にしない=おとなでも楽しめる」ということなので、私から見てもおもしろいと感じるものにはなっていると思います。
平向こんな人、周りにいるなあと思っていただけたらうれしいです。
――ピクミンのかわいらしさが目立ちますけども、登場人物たちもステキな部分が多いですよね。
平向遭難者が増えて、あの世界のおかしさがより際立った感じがしますね。レスキュー隊員だけでなく、一般人たちも結構おかしいなと。
神門確かに(笑)。

――登場人物以外に、オタカラの名前にもシリーズの伝統を感じます。ネタ会議のようなものが行われて決定されるのでしょうか?
平向テキスト担当者3人でネタをどんどん出していき、「これおもしろそう!」となったものから順にやっていく感じでした。熟考したものよりも、意外と深夜テンションで出したもののほうがおもしろいんですよね(笑)。たとえば、「エビのお寿司に"ABCフード"(編注:おそらく”エビ+シーフード”)」 と名付けたんですけど、大喜利みたいなものですよね。『ピクミン3』でもいっしょにやっていたスタッフですので、どういう風に書いたらおもしろいかという肝の部分は、わかってきている感じです。
神門大喜利という言いかたはピッタリですね。
――数も多いですし、シリーズを重ねると人物ごとの解説をかき分けるのも大変なイメージがあります。
平向書く内容が似てしまわないように、あらかじめ方向性を決めています。それぞれに違った見かたがあって、宇宙人目線でちょっとズレたことを言ってみたり、意外と本質をついていたりするとおもしろいと思うんですよね。
――それぞれ分担して担当した部分を書かれているんですか?
平向オタカラのテキストは、基本的に私以外のふたりにまとめてもらって、それに対して私がツッコミを入れる感じで進めていきました。
――すごい時間がかかりそうですね。
神門かなり大変でしたね。
平向オタカラに関しては、2ヵ月ぐらい集中してやっていました。
――オタカラ期間があったんですね(笑)。神門さんからテキストにツッコミを入れることはあるんですか?
神門最初にテイストについて話し合ったあとは、基本的におまかせしていました。ですので、むしろプレイヤーに近い状態で見ていましたね。
――なるほど。登場するオタカラは、『ピクミン2』にはラブテスターがありましたが、『ピクミン4』にはゲームボーイアドバンスSPがレトロゲームとして出てきたりと、世代が変わっている印象です。この辺りは意識していたのでしょうか?
神門すべてがそうなっているわけではないですが、ざっくりとしたイメージとして、ニンテンドーゲームキューブで遊んでくださった方が親になって、その世代が懐かしいと感じるものを意識しました。2000年代初頭ぐらいに流行ったものですね。

――続いて、原生生物について聞かせてください。生物図鑑の解説を読むと、バイオレンスな設定も多いように感じました。
神門バイオレンスな要素をあえて取り入れたというわけではないですね。ピクミンの世界では、“ピクミンが良い、原生生物が悪い”ではないんです。それぞれがそれぞれの事情で生きている世界なので、原生生物たちもピクミンを積極的に食べているわけではないんです。図鑑に関してはそういう描写をする場所ですし、原生生物サイドから物事を見てみようという発想でした。
――新しい原生生物に会うのがすごく楽しみでした。原生生物はどのように考えたのでしょうか?
平向目標とするステージ数、洞窟をこれくらい作ろうと考えて、そこから逆算をしていきます。そうすると、原生生物がこれぐらいは必要になるよね、と目処が立ちます。同時に、過去作の原生生物のなかから、これは使いたい、アレンジしたいというものをピックアップしていきました。そして、復活枠と継続枠と新規枠というように分類して……あとはひたすらがんばって作るといった感じです。今作ではステージ数も増えたので、原生生物の数も過去最大になっています。
――原生生物はたくさんいますが、評判はいかがでしょうか?
神門いろんなご感想を目にしますが、ダマグモインフェルノとかアメボウズにピクミンをたくさん倒されて、印象に残っている方は多いみたいですね。ちなみに個人的に印象に残ったのは、ジャンボチャッピーみたいな大きな原生生物に、すごい勢いでピクミンが食べられるんですが、警戒していてもやられることも多くて、余計怖いですよね。

ステージはひとつひとつ組み合わせて作っていく
――原生生物やオタカラの配置も絶妙でした。ステージを作り上げていくうえで、どのようなことを考えているのでしょうか?

神門まず、シリーズ通してステージが春夏秋冬になっているのは踏襲してきたのですが、秋の植物はコレで冬はアレという、マンネリ化していると感じる部分がありました。それらを否定するわけではないのですが、いったん取っ払って考えてみることを出発点としました。もうひとつは、本作では室内ステージがありますが、いままでやってこなかったことをやってみようと思いました。ほかにもボツになったものがありましたが、身近な場所を舞台にしたいと意識していました。
 本作ではカメラが見下ろし視点ではないのも新しい要素のひとつです。たとえば、いままでも海っぽいステージはありましたが、ずっと上からの視点でした。今回の海ステージは、こっちを見ると山があり、あっちを見ると植物が茂っているといった、立体的な造りを意識して作っていますね。
平向過去の『ピクミン』シリーズは見下ろし視点だったこともあって、地形全体を把握しにくい部分もありました。本作ではプレイヤーに近い視点で見ることができるので、ランドマークのように、「あっちにアレがあるからここから戻れる」みたいな目印ができて迷いにくくなったと思います。
――浜辺に砂で作ったお城があるなど、見ていても楽しいですよね。本作では地下探検も復活しました。『ピクミン2』ではランダム生成でしたが、『ピクミン4』の地下洞窟はどういう意図で作られたのでしょうか?
神門開発初期に『ピクミン2』の地下のような遊びを復活させたい」と考えていました。加えて、今回は高低差を取り入れたいなと思っていました。『ピクミン2』は、ほぼフラットな構造でしたが、もっと高低差がある洞窟にしたかったんです。
 ランダム要素は『ピクミン2』でやっていましたが、いいところもある反面、狙った遊びを作りにくい部分もありました。大変にはなりますが、本作ではひとつずつ作っていきました。
平向『ピクミン2』のときにも部屋や通路のパーツを組み合わせて洞窟を作っていましたので、立体的になるとはいえ実現は可能だと思っていました。
――なるほど。高低差を活かしたギミックだったり、ジャンプによるショートカットやスイッチ切り替えなどもおもしろかったです。
平向このステージではボツになったけど、あのステージで使えそうなど、試行錯誤をしながらいろいろやりました。ある程度完成はしているけど、どこにも入れられなくて使っていない部屋も何個かあったりします。

――幻のステージがあるんですね! ステージと言えば最後の最後には、かなり長い洞窟もありました。
平向あそこは最後なので特別に長いのですが……他の洞窟では、また次も遊びたいと思えるよう、あえてやめ時を考えられる長さにしています。
神門そこは意見を聞きながら、序盤の方は浅めにするなど調整をしていきましたね。
――もうひとつ初の試みとして、夜ステージがありますが、なぜ本作で夜の遊びを入れたのでしょうか?

神門過去のシリーズをプレイしてくださったお客様に、ビックリしていただきたいというのがありました。といっても、当初は夜の冒険の中身はまったく決まっていなかったんですが、いろいろと考えて最終的にいまの形になりました。
――夜ステージの音楽や空気感が最高ですよね。何か工夫があるのでしょうか?
神門サウンドのスタッフたちがいろいろと工夫して仕上げてくれました。私も初めて夜のBGMが入った状態でプレイしてみて、ピンチのときのBGMはものすごくわかりやすくていいなと感じましたね。
――昼ステージがRTS(編注:リアルタイムストラテジー。リアルタイムに進行する時間に対応しつつ、プランを立ててユニットに命令を出していく戦略型ゲームジャンル)に近いのに対して、夜ステージはTD(編注:タワーディフェンス。自陣に向かって大量の敵が押し寄せてくるのに対して、限られた手札で防衛するゲームジャンル)に近いですよね。
神門過去にもそういった実験をしていたのですが、『ピクミン』第1作は指揮系統が1個しかなく、『ピクミン2』や『ピクミン3』では指揮系統を切り替えることができるようになりました。しかし、いずれにしても、どちらかの視点でピクミンに命令していると、もう一方では何もできない状態でした。
 そこで、ヒカリピクミンがワープしてくることを利用して、疑似的にマルチタスクができるようにしました。つまり、ヒカリピクミンの性能の思い付きとセットで、現在のゲームの形になりましたね。
――ヒカリピクミンは謎の存在ですが、設定はあるのですか?
平向ご想像におまかせしますが、オリマーの研究が進めば、わかるようになるかもしれませんね。
――洞窟内や夜限定とはいえ、ヒカリのタネ(編注:洞窟や夜に使うとヒカリピクミンが生まれるアイテム)がすごく強くて“切り札”のように感じました。
神門ちょっと強すぎるかなという感じではありますが、使うといなくなるのと、ピクミンが足りなくなったときにヒカリピクミンを使ってでも解きたい人もいると思うので、切り札としてはこれでいいという判断になりました。

――氷ピクミンも本作で初登場となります。かつてから案としてあったのではないかとファンのあいだで言われていますが、採用に至った経緯を教えてください。
神門昔、いろいろなピクミンを考案したスケッチが、会社案内に載っていたんですよね。それを見てお客様がいろいろ想像してくださっているのだと思います。確かにそういうのを考えた時期もありましたが、じつは我々はそれを忘れていて(笑)。
 今回は、みんなでゼロからピクミンを考えました。既存のピクミンとの組み合わせなどによって、効果が掛け算で膨らんでくるので作業量もたいへんになります。とはいえ、あまり縮こまったアイデアだとおもしろくないので、そのあたりで苦戦しました。ところが、氷ピクミンに関してはわりと早い段階で「凍らせる」という能力を採用することは決めていました。実際に、原生生物や水を凍らせてみると、いけそうな手応えもあったので。
――どのタイミングで凍らせるかダンドリを考えるのが楽しいですし、原生生物を安全に倒せるという強みもありますよね。
神門そうですね。原生生物と戦うのが苦手な方には、氷ピクミンがすごく助かるみたいな話は聞いています。
平向氷ピクミンは、単体ではそんなに強くありませんが、ほかのピクミンと組み合わせて戦わせると強く感じますね。
神門原生生物が止まってくれているので、心理的に安心はしますよね。
――ソウビやアイテムに関しても強力なものが多い印象です。ゲーム中で、レンジャーのディンゴへのセリフで「爆弾岩をあれだけの数使えば誰でもクリアーできる」といったニュアンスのテキストがあって、つい笑ってしまいました。アイテムの充実度や強さに対して、どのように考えていたのでしょうか?
神門ベースは『ピクミン2』のゲキカラスプレーやゲキニガスプレー、探検キットなどですが、シザイなどを集めるのには時間がかかりますので、きちんとそれに見合った効果があるようにしました。ダンドリがよくなるソウビを考えて、いまのラインナップになっているので、遠慮せずにどんどん使ってください。

日本だけでなく世界に浸透させたい“ダンドリ”という言葉
――では最後に、“ダンドリ”についてお聞きしたいと思います。本作から効率よく指示を出して立ち回ることを“ダンドリ”という言葉で表現するようになりましたね。
神門ダンドリというキーワードが出てきたのは、『ピクミン3』のときからだと思いますが、ゲーム中ではそんなに言っていませんでした。『ピクミン4』でも遊びとしては、“じっくり”の部分が多くなっています。ただ、『ピクミン』というゲームは、ダンドリよく遊ぶことが他のゲームにはない達成感が得られると考えていますので、「ダンドリ」というキーワードは 浸透させたいと思っていました。
 しかしながら、あまり押し付けてしまうと嫌だと感じる方もいらっしゃるだろうと思ったので、そこの信念を残しつつ、“ダンドリチャレンジ”や“ダンドリバトル”などの名前に使ったり、レスキュー隊のセリフで「ダンドリが大切」と何度も伝えていたりします。

平向早くやらなきゃいけないという制限時間はないんですが、ダンドリよく遊ぶといいということを推しています。ピクミンがどんなゲームかわかりにくいという話がありましたが、“ダンドリ”という一言で表せると思いますので、これをもっと浸透させていきたいですね。
神門そのためにも、あえて英語圏でも訳さずに“DANDORI”という言葉を使ってもらっています。
――すごく腑に落ちる4文字に言語化されていると感じました。OTAKU(オタク)やSENPAI(先輩)のように、海外でも通じる言葉になるかもしれないですね。
平向『ピクミン4』を遊んでくれた方が、どんなゲームだったかを振り返ったときに、これが“ダンドリ”なんだと捉えてくださったらうれしく思います。
神門じつは、作っている途中でプランナーの新人研修があったんです。そのときに、「何となくこういう風に作ればおもしろくなる」という部分を「こういう部分がダンドリなんだ」 と言語化して研修で伝えたことで、新たな発見がありましたね。
――ダンドリのおもしろい部分が明確になったと。ダンドリを遊びとして楽しむときに、どのようなバランスにすることを考えていたのでしょうか?
神門攻略ルートが一本道にならないようにするところが肝ですね。じっくり遊ぶ場合でも、ダンドリを追求する場合でも、どのピクミンを仲間にするか自由に遊べるところがポイントだと思っています。
――効率がいいルートを考えるのが楽しいですよね。
神門そうですね。そういった楽しみもあると思います。逆に、じっくり遊んで「歩いていたらたまたま、オタカラがあったからゲットしておこう」とか、「洞窟に入ってみたけど苦手なボスがいたから後回しにしよう」みたいな自由にできる余地も残しているんです。そこが『ピクミン3』との大きな違いだと思います。
 『ピクミン3』ではピクミンの入手順序が決まっていて、「青ピクミンがいないとこの先進めません」みたいな場所があったのですが、そういった制限をなるべくなくして、遊んでいる方ごとに違った遊び方・体験ができるようにしてあります。
 一方で、過去作にあったようなダンドリの遊びは、“ダンドリチャレンジ”や“ダンドリバトル”としてストーリーに溶け込ませています。
――ダンドリチャレンジなどの要素を取り入れたのは、そういった背景があったんですね。

神門はい。自由度の軸があるからこそ、両方にプラスに働いていたと思っています。
平向本作の地上や地下は、じっくり遊ぶこともできますが、ダンドリ遊びもできるように作ってあります。ゲームをクリアーされた方も、もう一度遊んでいただければ、ダンドリが上手になったと実感してもらえると思います。
※『ピクミン4』公式webサイトの“ダンドリお役立ちマガジン”では、ダンドリアップのための知識やテクニックが掲載されているので、よりダンドリ上手になりたい方はチェックしてみては?

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――おふたりは『ピクミン』に携わってきて、現実世界でもダンドリがよくなったと感じることはありますか?
神門ダンドリとは関係ないかもしれないですが、私は皿洗いをするときに、第1スポンジと第2スポンジを用意していて、第1スポンジで油を落として第2スポンジで洗います。そして、第1スポンジの汚れがひどくなってきたら、捨てて第2スポンジを第1スポンジにスライドさせ、新しいスポンジを新たな「第2スポンジ」にするんです。ぜひこれを広めたいですね(笑)。
――なるほど。記事でもしっかり掲載しておきます(笑)。
平向私はあまり日常ではないかもしれないですね。ダンドリは大切ですけど、あまりダンドリに執着しないようにしています。葉っぱ人みたいにダンドリに憑りつかれすぎるのも、よくないですから(笑)。
――そうですよね(笑)。『ピクミン4』を遊んでダンドリを鍛えつつも、行き過ぎないように気をつけたいと思います。本日はありがとうございました!

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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202310/07318245.html

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