新日本プロレスの現・IWGPジュニアヘビー級チャンピオン・高橋ヒロム選手をご存知だろうか。プロレスファンならば間違いなく知っている選手のひとりで、リングの第一線でいまも大活躍中のスターレスラーだ。
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そんなヒロム選手がじつはゲーム好きで、しかも2023年11月17日に発売されたNintendo Switch用のリメイク版『スーパーマリオRPG』に大感激していたとのウワサをファミ通.comは嗅ぎつけた。
数十年前にプロレス誌の記者だった経歴を持つ、プロレスが大好きなファミ通グループ代表・林克彦は、「これはヒロム選手に直接話を聞くしかない!!」と、ヒロムちゃんボンバーの如く突撃インタビューを慣行。
ヒロム選手のゲーム遍歴からゲーム愛、そして『スーパーマリオRPG』のどのような部分に魅力を感じていたのか、オリジナル版やリメイク版の話も含めて、さまざまなお話をお聞きした。
Nintendo Switch『スーパーマリオRPG』は、1996年にスーパーファミコン向けに発売された同名作品のリメイク作。マリオ、ピーチ、クッパを始め、オリジナルキャラクターのマロとジーノをパーティーとして新たなる敵に挑む。
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任天堂より2023年11月17日に発売されたNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)用ソフト『スーパーマリオRPG』のストーリー、ゲームの魅力や新要素などの情報をまとめてお届けする。
高橋ヒロム 氏(たかはし ひろむ)
新日本プロレス所属プロレスラー。東京都八王子市出身。2010年8月にデビュー。2017年には初のIWGPジュニアヘビー級王座を初戴冠。その後も活躍を続け、現在は第93代IWGPジュニアヘビー級王者。決め技は豪快な投げ技“TIME BOMB”。(文中はヒロム)
止まらないヒロム選手のゲーム愛!
――まずファミ通.comの読者には、おそらくヒロム選手のことを知らない層の人もいると思うので、自己紹介をお願いします。
ヒロムはい、新日本プロレスのIWGPジュニアヘビー級チャンピオン・高橋ヒロムです。
あのー……今日はプロレスの話をするつもりはいっさいございません! ゲームの話ができると聞いて飛んできただけなので、読者の方には「ほーん、プロレスラーなんだな」って思ってもらえればそれでいいです。今日はプロレスラー・高橋ヒロムではなく、いちゲームファン・高橋、そして『スーパーマリオRPG』大好きっ子・ヒロムとして考えていただければと!
――わかりました(笑)。インタビューのきっかけはヒロム選手が『スーパーマリオRPG』が大好きだと聞きつけたことだったわけですが、そもそもゲーム自体が昔から好きだったのでしょうか?
ヒロム大好きでしたね。
最初に遊んだのはおそらくゲームボーイ、もしくはファミコンか……いや、スーパーファミコンかも。ファミコンの『ドクターマリオ』か、スーファミの『スーパーマリオカート』あたりだと思います。
世代的にはファミコン世代よりも下なのですが、ファミコンを持っていた兄がいるのでその影響が強いかもしれません。当時、スーパーファミコンのゲームはたくさん遊んでいました。
――お兄さんの影響でゲームファンになり、オリジナルの『スーパーマリオRPG』とも出会ったわけですね。
ヒロムはい。サンタさんからもらったものでした。
――かわいい。
ヒロムただ、じつはそれは俺の本当の願いとは違っていたんです。当時の自分は「ドラえもんの“四次元ポケット”さえあればすべて手に入る」と思って、サンタさんには「サンタさん、四次元ポケットが欲しいです」ってお願いしてたんですよ(笑)。
――かわいい。
ヒロムでも、当然未来のアイテムがもらえるわけがなくて。そんなある年のクリスマス、枕もとに『スーパーマリオRPG』が置いてあったんです。それが自分と『スーパーマリオRPG』との出会いでした。
――四次元ポケットの願いは叶えられないけれども、きっと喜んでくれるゲームだろうとサンタさんが選んでくれたんですね。
ヒロム間違いないです。それがなければ今回インタビューしていただくこともなかったでしょうし。サンタさんの先見の明に感謝しています。
――実際、幼少期のヒロム選手は『スーパーマリオRPG』をもらってどう感じていたのでしょうか?
ヒロム当時は『スーパーマリオRPG』がどんなゲームかよく知らなかったんですよ。ただCMソングは聞いたことがあって。パックンフラワーが「ロールプレイングゲ~ム♪」と歌うんですが、それを聞いていたので、「あのゲームか、やったー!」と喜んですぐにカセットをスーファミに差したのを覚えています。
でも、ゲームが始まったら、もう最強セーブデータが用意されていて。
――え!? つまりそれは……。
ヒロムはい。『スーパーマリオRPG』はレベル30が上限じゃないですか。マリオたち全員のレベルが30で、アイテムも全部そろってて、何もかも全部片付いているセーブデータが最初からあったんですよ。
のちのち、自分がもらったソフトは、ようは中古品だったと知るわけですが、当時は中古品の概念を知らなかったので、「あ! これはサンタさんのデータなんだな!?」って思ってたんです(苦笑)。
――屈強なプロレスのチャンピオンなのに出てくるエピソードがみんなかわいいですね!
ヒロム俺にも子どものころはありましたから!(笑) プロレスラーになる前のかわいいヒロムくんで想像してください。
――オリジナル版『スーパーマリオRPG』は1996年3月発売ですが、当時何歳くらいのころでしょうか。
ヒロム自分は今年(2023年)で34歳になったのですが、当時は小学生、8歳くらいでしょうかね。最強セーブデータがあったということは発売直後ではないと思います。ある意味ちょっとだけリアルタイム世代ではないのですが、CMソングだけはいまでも鮮明に覚えていますね。
最強データはサンタさんのデータなので消すわけにはいきません。自分のプレイは別の枠でゲームをスタートしました。
――そのときのヒロムくんはすでにRPGもお好きで?
ヒロムいや、RPGというものを『スーパーマリオRPG』で初めてプレイしたんですよ。『スーパーマリオRPG』って、RPGの説明書のようなゲームだと思います。CMソングの歌詞にあった「ロールプレイングゲーム、やったことない人も~♪」という歌詞がまさに当てはまっていますよね。
RPGを遊んだことがない人が初めて遊ぶべきタイトルだと、いまでも思っています。
――実際、遊んでみていかがでしたか?
ヒロムすごく新鮮でした。当時遊んでいたのは、『スーパードンキーコング』や『ヨッシーアイランド』とか、横スクロールアクションばかりだったので、RPGの何もかもが初体験で新鮮で。
いままで見てきた世界は真横だったのに、ナナメ上から見る世界や敵であったり。敵との戦いとなれば、そのまま攻撃するのではなくエンカウントしてコマンドを選択するバトルですとか。とても衝撃的でした。そして、敵を倒していくとレベルが上がって強くなり、技を覚えていくという、RPGの基礎的な部分が本当に本当に楽しくて、夢中になっていました。
もちろん最後までクリアーしたのですが、サンタさんのデータに追いつくほどのやり込みはしていなかったと記憶しています。当時はゲームをやり込む概念がよくわからなくて、ストーリーをクリアーしたら終わりだと思っていたような。隠しボスの“クリスタラー”も、当時は倒すどころか出会いかたも知らなかったと思います。
『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』(1995年発売/任天堂)
――本当にRPGの原体験がオリジナル版だったのですね。話は『スーパーマリオRPG』から少し離れますが、その後もゲームはずっとお好きだったのでしょうか?
ヒロム大好きです。とくに昔から遊んでいるのは『バイオハザード』シリーズと、『ストリートファイター』シリーズですね。カプコンで言うと、『ロックマン』シリーズも好きでした。
ほかにはニンテンドウ64の『ゴールデンアイ 007』とかもよく遊んでいましたね。このあいだ“NINTENDO 64 Nintendo Switch Online”で遊べるようになったのもすごくうれしかったです。
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もちろん皆さんが遊ばれていたような有名タイトル……『ドラゴンクエスト』シリーズ、『ファイナルファンタジー』シリーズとかもプレイしてきました。もちろんプロレスラーですから、『ファイヤープロレスリング』シリーズなどのプロレスのゲームもたくさん遊びましたし……。
いまは『フォートナイト』にハマっています。いや、すみません、たくさんありすぎて語り切れないですね(笑)。
――そうなりますよね(笑)。ヒロム選手がゲーム好きであることがよく伝わってきます。
リメイクながらに“そのまま”の形に感激
――そして今回、2023年11月17日にリメイク版『スーパーマリオRPG』が発売されました。発売されると聞いたときはいかがでしたか?
ヒロムメチャクチャにうれしかったです! もう、待ち望んでいました。
表立って公言していたわけではないのですが、もう何度も何度も「『スーパーマリオRPG』をリメイクしてほしい!」と周囲には話していて。
ただ、少年だった自分も、大人として成長していく中で、ゲーム業界のことも少しずつ知っていくわけです。『スーパーマリオRPG』は、ひとつの会社で成り立っていたゲームではないんですよね。任天堂のタイトルでありながら、開発はスクウェア(現スクウェア・エニックス)であったこと。すると、いろいろな権利関係も影響しているのかなとか。
本当に昔から『スーパーマリオRPG』のリメイクを待ち望んでいて、誰かなんとかしてくれと思っていたのですが、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズに、メーカーの垣根を超えて『ファイナルファンタジーVII』のクラウドが参戦したじゃないですか。
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自分はそのとき「あ、これは『スマブラ』にジーノの参戦もあるぞ!? いや、もっと待ち望んでいたリメイクもあるかもしれない! もしくは続編となる“2”が出る可能性すらあるかも!」と思ったんです。すべては自分が勝手に思ったことですが、妄想というか願望が大きく膨みましたね。
――本当の本当に、待望のリメイクだったわけですね。移植などではなく“リメイク”と聞いたときはどうでしたか?
ヒロムそうなんです。自分もリメイクを待望していたわけですが、“リメイク”って、オリジナル版を踏襲しつつも、かなり別モノになることもありますよね。新作に近いレベルのタイトルになっていることもあって。
ただゲームを発売すると言っても、ゲーム会社さんはもちろん売り上げが大事でしょうし開発費だって掛かることは、もちろん理解しています。約27年前のゲームをほぼそのままの形で出すのは勇気がいることでしょう。でも、自分はファンながらに「『スーパーマリオRPG』は当時のそのままの形で出してもきっとヒットする」と信じていました。
そして、リメイク版『スーパーマリオRPG』の情報を見たときには驚きました。本当に、そのままの『スーパーマリオRPG』だったからです。
「これはすごい賭けに出たな」と驚くと同時に、もう感動してしまいました。
なつかしのボスもばっちり登場。
――もちろん追加要素はありますが、ゲーム内容やグラフィックのテイストがほぼほぼそのままですよね。たしかに勇気のいる判断だったと思います。
ヒロムそこの塩梅が絶妙なんですよね。たとえばスリープラトンのような“3人技”の要素は、いろいろな組み合わせを見たくなる夢のような楽しさがありつつ、追加要素が本編の邪魔になってなくて。
ヒロム本当にそのままの味わいで作っていただいて、感謝しかありません。
唯一、当時の印象と違ったなと思ったのは「あれ、『スーパーマリオRPG』ってこんな短いんだ?」ということでした。
――エンディングまで15時間程度といったところで、50時間や100時間が当たり前となっている現代のRPG的感覚からすると確かに短いですね。
ヒロム当時はそんなことは感じずに最初から最後まで大満足で遊んでいました。だからこそ「あれっもうエンディングか」と意外な感じでしたね。いまの感覚で短く感じるというのは、自分のゲームの腕前が上がったことなども要因だとは思いますが。
――「遊んでいて短く感じた」というのはそれだけ集中して遊んでいたということで、裏を返せばゲームに対する満足度の現れでもありますからね。
ヒロムそうですそうです。あああ……あんなに待望していた『スーパーマリオRPG』の悪口を言ってしまった……いや、訂正します、もちろん今回も大満足です。せっかく待望のリメイクを作ってもらったのに悪口を言うだなんて! 俺のバカ! 開発者の皆さん、もしも街なかで自分を見たら、あなたにはピーチ姫のように俺にビンタをする権利があります! してください!
――そんな勇気あるスタッフいるかなあ(笑)。ということは、ヒロム選手はリメイク版をすでにクリアーされたのでしょうか?
ヒロムはい。ただ、まだやり残している要素がたくさんあって、レベルも30までは育てておらず、27くらいです。
自分は1日どっしり構えてゲームを遊ぶタイプではなくて、毎日少しずつ遊ぶのが好きなので、このプレイスタイルが自分に合っていると思います。
――では、隠しボスに挑んでみようとしている最中といった感じでしょうか。
ヒロムはい、そうです。つまり、まだ当時の自分は超えられていないんです(笑)。
――小学生の自分は超えたいですね(笑)。「RPGの原体験だったからこそ記憶に残っている」とのことでしたが、とくにオリジナル版『スーパーマリオRPG』で惹かれたポイントはありますか?
ヒロムやはりRPG初体験の部分は強くて、自分の足で何かを探したり、目的地を目指してマップを探索するような部分も、当時遊んでいたアクションゲームになかった要素だったのですごく覚えていますね。
ただ、いま思うと、昔のRPGって敵とシンボルエンカウントするゲームって少なかったですよね。『ドラゴンクエスト』しかり『ファイナルファンタジー』しかり、ランダムエンカウントが主流だったじゃないですか。その中で、シンボルエンカウントなうえにフィールドでのジャンプアクションまであったのは最先端のRPGだったんじゃないかなと。
そこに惹かれた部分もあるかもしれません。
――アクション性のあるコマンドバトルなども目新しいシステムでしたよね。
ヒロムそうですよね。リメイク版では防御のタイミングなどがわかりやすくなっていて、すごく遊びやすくなっていたのもうれしいですね。
でも自分としては、本当に当時のオリジナル版の体験をそのままいま再び味わっているという感覚なんですよ。
Switchのリメイク版を幼少期の時代に持っていったとしても、友だちから「あれ、お前の家の『スーパーマリオRPG』なんか画面きれいじゃない?」と言われるくらいなんじゃないかってくらい、当時の思い出のままなんです。
――わかります。本作の“当時そのまま感”、すごいですよね。本作を遊んでいて思い出す要素もあったのでは?
ヒロムありました! たとえば、スターを取ってレベル上げする要素とか。「あったな~!」って、懐かしかったです。ただ、オリジナル版は裏技的にスターが何度も使えましたが、本作では修正されていましたね(笑)。そこはゲームバランス的にしかたのないことかなと納得しています。
ちなみに、タイミングを合わせて飛ぶスーパージャンプの連続成功は当時からヘタだったのですが、今回も20回くらいしか続きませんでした(笑)。
――あれはオリジナル版そのままに難しいですよね(笑)。リメイク版では戦闘中のパーティーメンバーの入れ替えが可能になりました。オリジナル版にはなかった要素ですが、当時はどんなパーティーを使っていたのでしょうか?
ヒロムマリオは確定で、真ん中にピーチを置いていましたね。残るひとりはクッパかマロでした。ピーチに強力な防具の“ひまんパタこうら”を装備させて、回復役のピーチをガチガチに固め、ピーチで回復させながら横のふたりがダメージを出すという戦法でした。
逆にメンバーに入ってこないジーノもすごく好きなのですが、自分の中では“隠れ親分”みたいな存在でした。ジーノの技に成功すると、たいていの敵に楽勝で勝ててしまうので、ここぞというときに戦ってくれる存在として控えていることが多かったです。
強力な必殺技を多く持つジーノ。青くてかっこいい。
――なるほど。当時、ほかのゲームでは敵だったクッパが仲間になることは新鮮に感じましたよね。
ヒロムいやもうありえないですよね。夢の物語といいますか、あのクッパとマリオが仲よく戦っていることは想像すらしていなくて。でも、ゲームを遊ぶとそれが自然と入ってきて、「クッパっていい奴じゃん!」って好きになっていくんですよね。
――『スーパーマリオRPG』のクッパ、かわいいですよね(笑)。いちばん好きなキャラクターでは、先ほどからお話に出ているジーノになりますか?
ヒロムいちばんかあ~! うーん、ジーノ……マロ……いや、やっぱりジーノかな……やはりマロとジーノは『スーパーマリオRPG』にしか登場しない存在ですし、すごく好きです。
――では、お気に入りのシーンはありますか?
ヒロムまずはマロの「オトコは、つらい時こそ泣いちゃダメなんだ……」と言いながらも、こう大量に雨が降ってくるシーンがすごく好きです。あの映像美も好きですし、あのシーンからマロの覚悟も感じます。ぜんぜんジャンプできないところも、カワイイです。
――かわいいですよね。
最初に仲間となるマロ。仲間のレベルアップ時には腕をグルグル回して喜んでくれる。かわいさ。
ヒロムあと、人形であるジーノに魂が入るシーンもとても好きです。
そもそもジーノって、スターロードのかけらを探しにやってきた夜空の世界の住民じゃないですか。言葉も最初は何を言っているのかわからなくて。解明されていない部分がたくさんあるので、いずれ本物のジーノの姿なども見てみたいですね。
ヒロムそして地味ながらに好きなのが、序盤のピーチ救出後の、ピーチのシーンです。ピーチはマリオたちと冒険したいけれども止められてしまう。ですがピーチは自室に戻り、こっそりとパラソルを使って城を抜け出し、マリオたちと合流するわけじゃないですか。
あの天真爛漫で、かつ強い芯を持っている部分が、やはりピーチ姫だと思うんです。
そんなピーチ姫はなんで毎回クッパにさらわれてしまうんですかね?(笑)。
――それはもうお約束ですから(笑)。ちなみに、思い出に残る敵やボスはいますか?
ヒロムあの大きなタコ……いや、イカの、“たこつぼゲッソー”ですね。
オリジナル版を遊んでいる当時、ものすごく苦戦した記憶があって。でも、リメイク版で戦ったらすんなり倒せてしまいました(笑)。ちょっと思い出と違ってショックだったのですが、ゲーム歴も長くなり、ゲームの進めかたや戦略がうまくなったのかなと思いました。
難度的には、初めてRPGを遊ぶ初心者向けにはちょうどいい塩梅という感じで、逆にやり尽くしている人には物足りないかもしれません。リメイク版ではさらに難度が下がる“エンジョイモード”がありますが、せっかくなので高難度モードも欲しかったですね。
……またケチを付けてしまった。すみません、開発者の皆さん、もう1発ビンタしてください。
――愛があるからこそ、高望みしてしまうんですよね。今回はリメイク版『スーパーマリオRPG』のお話をお聞きしていったわけですが、ヒロム選手が今後リメイクしてほしいゲームタイトルなどはありますか?
ヒロムたくさんあるんですよ。
たとえばプレイステーションで発売された初代『デジモンワールド』。続編もあるんですが、それよりも初代『デジモンワールド』をリメイクしてほしくて。あとは、ゲームボーイカラーで発売された『ロボットポンコッツ』や『メタモード』もリメイクしてくれないかなって!
――止まらなさそうですね(笑)。昨今のゲームもよく遊ばれているヒロム選手としては今後どんなゲームを遊んでみたいですか?
ヒロムお金を出して楽しめるものは、いまの時代すべてエンターテインメントだと思います。
それはゲームを買うでも、本を買うでも、それこそプロレスを観戦するでもかまいません。ただ、そのエンターテインメントをよくもしてくれたし、悪い意味でブチ壊したのが、いまのSNSやネットだと思います。
ネットやSNSがあることによって、簡単に情報が手に入る時代になってしまいました。
もちろんそれは、その先にある楽しさを伝える宣伝にもなるので、すごくいいことだと思います。ただ、限られた情報を人づてに聞いたり自分で探し当てたりするときの楽しさは格別で、それ自体がものすごく感動できるエンターテインメントだと思うんですよ。
たとえば『スーパーマリオRPG』で言えば、オリジナル版の“ひまんパタこうら”は、自分でも覚えていないのですが、何も情報を得ずに「最強装備を手に入れた!」とすごく喜んだわけです。あの感動をもう一度味わえるようなゲームが遊びたいです。
もうつまり、情報をまったく出さない。宣伝しない。口コミを禁止する。情報を出したら罰金する! くらいのノリの。難しいとは思いますが、そんな覚悟を持ったゲームが遊んでみたいですね(笑)。
プロレスと、ゲーム
――せっかくなのでゲームに関連しながらも、別の話題もお聞かせください。プロレスラーの方々って、ゲーム好きな人が多い印象ですが、実際どうでしょう?
ヒロム多いと思います。
それこそ2024年1月4日に“WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム”で戦う、(エル・)デスペラードもゲーム好きですし。あと、タイチ選手はYouTubeチャンネルでゲーム実況されていますし、オカダ(・カズチカ)さんもゲーム好きな印象があります。
ちなみに自分が若手時代の話なのですが、あるとき後藤洋央紀選手に「ちょっとヒロム、家に来て」と呼ばれたんですよ。後藤さんはホラーゲームを買ったんですが、怖すぎて「遊べないからクリアーして!」と頼まれたことがありました。
――その怖すぎて遊べないゲームとは?
ヒロムプレイステーション2の『SIREN』です。
――ああ……怖いし難しいですね。
ヒロム自分はホラーゲームも得意で、先ほど言ったように『バイオハザード』も好きですし、『サイレントヒル』シリーズも好きだったので、もう喜んで『SIREN』を遊んでいました。
あと、若手時代って、新日本プロレスの道場から外出禁止なので、外で遊ぶ機会はほとんどなかったんですよ。だけど先輩から呼び出されるとなるとそれが許されるわけで。しかも、当時めったに遊べない『SIREN』を遊びに行くだけ、しかもクリアーまで遊んでいいと。もう最高の娯楽でした(笑)。
後藤さんは、自分が『SIREN』を遊ぶ姿を横でずっと見ていただけなんですが、「それ楽しいですか?」と聞くと「楽しいよ、怖いけど」と言っていました。いま思うとゲーム実況を見ているようなものかもしれないですね(笑)。
それくらいゲーム好きなプロレスラーは多いと思いますよ。
――タイチ選手がゲーム実況をしているお話がありましたが、ヒロム選手も自身のYouTubeチャンネルでゲーム実況をしてみたりは?
ヒロム何度も挑戦しようと考えました。
『フォートナイト』にハマっているので、『フォートナイト』のゲーム実況をやってみようかなって。ただ、自分が『フォートナイト』で対戦しているときって、基本的に無口になるか、メチャクチャ口が悪くなるんですよ(笑)。
こんな姿を皆さんに見てもらうのはマズいだろうと思って、まだゲーム実況には手を出せていません。ですがいずれ、挑戦してみたいですね。
――プロレスラーどうしでのゲーム対戦なども見てみたいですね。
ヒロムやりたいですね。それこそ『ストリートファイター』シリーズですとか。ほかの選手と対戦してみたいです。
――ヒロム選手が『ストリートファイター』シリーズを遊ぶとなると、やはりプロレスラーのザンギエフを……?
ヒロムいえ、自分は豪鬼なんです。
自分は『ストリートファイター』シリーズの中で、『ストリートファイターIII』シリーズがいちばんやり込んでいました。『ストリートファイターIV』になると、ゲームセンターでカードも作ってガチでやってましたよ。ただ、『ストリートファイターV』は、プロレスラーとしての試合数が大幅に増えてきたころのタイトルなので、じつは買ったのに一度も遊べていないんです。
最新作の『ストリートファイター6』も、まだ買えてもいません。やるからには本気でやりたいですし、いまじつはメッチャクチャ遊びたいです。ただ、対戦し始めるとやっぱりちゃんと練習して勝ちたくなるだろうし、もう、時間が溶けることはわかっているので……(苦笑)。
あとカプコンタイトルだけでなく、SNKの『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズも好きですよ。ルガールまじで強かったなあとか、八神庵カッコイイ、よかったなーとかすごくいろいろな思い出があります。
そうそう、昔はよく草薙京のマネをしていました(笑)。それで思い出したのですがじつは兄がNEOGEOを持っていまして。家にNEOGEOがある家庭だったんですよ(笑)。
――おお! それはかなり恵まれた環境ですね! ハードもソフトも、NEOGEOは高額だったじゃないですか(※)。
※NEOGEOはソフト1本がハード1台くらいの値段だった。
ヒロム自分の実家は決して裕福ではないので、買ってもらったわけじゃないんですよ。
少し年齢の離れた兄が、おそらくコツコツ自分でお金を貯めてNEOGEOを買ったんだと思います。当時はそんなに高いことを知らなくて、大人になってから「そういえばNEOGEOってゲームハードあったよね」と調べたときに、あまりの高さに驚きました(笑)。
――お兄さんに感謝ですね。ではプロレスゲームは、どのようなものを遊んでいたのでしょうか。
ヒロム『ファイヤープロレスリング』シリーズはもちろんですが、とくに好きだったのは『キング・オブ・コロシアム』シリーズでしたね。最近のプロレスゲームはもうリアル志向で、本物のプロレスに近づけよう近づけようとしていますが、個人的にはそれは必要ないと思います。
プロレスゲームって、「いやこの選手誰?」くらいの再現性、リアリティでいいと思っています(笑)。あれくらいのほうが、ゲームとしておもしろいと思うんですよ。リアリティーを追求するくらいなら、もういっそのことプロレスラーを仲間にするRPGとかのほうが、きっとおもしろいですよ(笑)。
――たしかに、それはそれで実現したら楽しそうです(笑)。変わった質問になりますが、ゲームをやっていたからこそ、プロレスに活きたことはありますか?
ヒロムたくさんあります。
プロレスも、言ってしまえばRPGに近いと思うんですよ。
――と言いますと。
ヒロム何もできないレベル1のところからたくさんレベル上げをしていって、技を覚えていき、強敵と戦えるようになっていくわけです。そして強くなれば、ボス戦的なタイトルマッチが待っているわけで。
たとえば『ドラゴンクエスト』ならば各職業があり、それぞれ特徴があります。プロレスラーも、「こういうプロレスラーになりたい」という理想像がそれぞれあるわけですが、それはまさにクラスや職業に近い考えかただと思うんです。たとえばスピーディーに戦いたい、パワー型になりたいですとか。わかりやすい、目標の考えかたのひとつになりますよね。
ちなみに『フォートナイト』をやっているときに新しい技を思いつきまして。その技には“ビクトリーロイヤル”と名付けました。ゲーム体験が技を編み出すこと自体にもつながったわけです。
※ビクトリーロイヤル……多人数バトルロワイヤル形式で戦う『フォートナイト』で最後のひとり(1チーム)になるまで生き残ったときに表示される言葉。ビクロイ。『PUBG』でいう“ドン勝”的なこと。
――ではプロレスラー・高橋ヒロムとしての冒険の進捗具合はいまのところ、どれくらいの進行度なんでしょうか?
ヒロムまだ、中ボスを倒したくらいだと思っています。まだまだ上を目指さないといけないですし、ジュニアヘビー級をさらに目立たせるためにも、もっと活躍しなくてはなりません。ジュニアヘビーのチャンピオンになることは達成しましたが、それはゴールではないんです。
自分がプロレスラーになりたいと思っていたときからずっと描いている夢は、昔のように、プロレスが地上波のゴールデンタイムで放送されるくらい人気にすることです。それを実現させない限りはラスボスを倒したとは言えません。まだまだ冒険の最中かと思います。
――その夢を叶えるための一歩でもある、“WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム”が2024年1月4日、通称“イッテンヨン”が開催されます。意気込みを教えてください。
ヒロムいやもう、こんなにゲームについて語らせてもらったので、試合の告知はまったく必要ないです(笑)。
この記事できっと、高橋ヒロムは本当にゲームが好きなんだとか、どんなゲーム好きなのかはきっと知ってもらえたと思います。この記事をきっかけに、「そんな高橋ヒロムはどんなプロレスラーなんだろう?」と興味を持ってもらえるとうれしいですね。
ただ、意気込みを語るのであれば、自分は1月4日にエル・デスペラードという選手とタイトルマッチで戦います。
そして、彼もゲームが大好きなんです。でも、エル・デスペラードはファミ通さんにインタビューされなかったわけで。自分のゲーム愛アピールは、先にさせていただきましたので開幕前の先制攻撃は大成功ですよ!
デスペラード、見てるか? “天下のファミ通様”で、ゲーム愛をアピールしてやったぞ! やーい! やーい!
ちなみにヒロム選手、じつは私服で『ライブアライブ』の“あの世で俺に詫び続けろ”Tシャツで取材に参加。話題にも挙がっていた『ストリートファイターII』、そして『スーパーマリオRPG』の作曲を担当した下村陽子氏は、『ライブアライブ』の作曲家でもあることを伝えたら、とても驚いていたのが印象的だった。
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202312/29328544.html