レトロゲーム関連の復刻や配信などを行なっているD4エンタープライズが、同社のWindows向けレトロゲーム配信サービス“プロジェクトEGG”をNintendo Switch向けにも展開。2023年9月28日より“EGGコンソール”をスタートした。D4エンタープライズでは、1980~90年代の名作PCゲームを復刻してユーザーに届ける“プロジェクトEGG”を展開しているが、同プロジェクトのNintendo Switch向け施策が“EGGコンソール”となる。そんな“EGGコンソール”の戦略を、D4エンタープライズ代表取締役 鈴木直人氏にうかがった。
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“EGGコンソール”ならではの機能として、ゲーム中のどのシーンでもセーブを行うことができる“どこでもセーブ・ロード”やゲーム内で利用するボタンの割り当てを変更できる“ボタン割り当て変更”などが搭載されている。
鈴木直人氏
D4エンタープライズ 代表取締役
好きなゲームは『レリクス』。同作が好きで発売元であるボーステックに入社したという逸話を持つ。ほかには、『メルヘンヴェール』や『ザナドゥ』がお好きとのこと。
“著作権の保護”と“名作を後世に残したい”という思いと
――まずは“プロジェクトEGG”がどのようなサービスなのか、改めて教えてください。
鈴木“プロジェクトEGG”は、1980~90年代の名作PCゲームを復刻してお届けする取り組みで、スタートしたのは2001年11月になります。1980年代~90年代というのは、ハードウェアの進化に合わせてゲームも進化していた時代で、魅力的なゲームが続々とリリースされていました。それが、インターネットが普及し始めた1990年代後半になって、そんな時代のソフトが、権利関係などが明確にされないまま、エミュレーター(※)などを介してやり取りされるケースが増えてきたんですね。
※エミュレーター……特定のハードウェアやOS向けに開発されたソフトウェアを、本来の仕様とはまったく異なる動作環境において擬似的に実行させるためのソフトウェアやハードウェアのこと。
当時私はボーステックという老舗PCメーカーに所属していたのですが、レトロゲームに一定のニーズがあることを肌で実感しつつ、権利問題がクリアーにされないままやり取りされているレトロゲームに対して、疑問を感じていました。
そこで、私たちが著作権を整備して、合法的なエミュレーターとしてコンテンツ供給をしようということで開始したのが“プロジェクトEGG”になります。
当時はまだサブスクという概念もなかったですし、ゲームのダウンロード販売もほとんどありませんでした。ベクターさんのアプリや窓の杜で若干ダウンロード販売をしていたくらい。しっかりとゲームの権利を整理して、ユーザーさんに提供したのは、ボーステックが一番最初だと認識しています。
日本ファルコムさんや工画堂スタジオさん、マイクロキャビンさん、システムソフトさんなど、JCGA(日本コンピューターゲーム協会)に所属しているゲームメーカーのオーナーさんに“プロジェクトEGG”の意義をご説明していったのはなつかしい思い出です。
“プロジェクトEGG”は、スタートするやいなや大きな反響をいただいて、サービスを開始してから1年足らずで10000人以上の利用者が登録してくれました。
――いま、“プロジェクトEGG”を立ち上げた当時を振り返って、どう思いますか?
鈴木語るタイミングで、いろいろと変わっている部分はあるのですが、根本的なところでは、“プロジェクトEGG”は“著作権の保護”と、“名作を後世に残したい”という思いから始まった取り組みです。ゲームはいろいろな思いを込めて作り上げられたわけですが、ゲームは文化ですし、過去のゲームは保存していかなければなりません。私たちは、“過去のゲームを保存する”、“過去のゲームを再評価する”という機運を作った先駆者であると、勝手に思っています。
これはこぼれ話に近くなりますが、当時の多くのハードウェアには、LSIの中にマイクロソフトの著作権が内包されていたんですよね。ハードメーカーさんにエミュレーターの許諾を取りに行ったら、「マイクロソフトさんからオーケーがもらえればウチはいいですよ」というところも多かった。だったらマイクロソフトさんに直談判を……ということで、2002年にXboxのローンチに合わせてビル・ゲイツさんが来日したときに、ホテルに英語版の資料を持っていったんですよね。そのときはお会いできなかったのですが、西和彦さんを介して調整してもらったところ、その場で8bitの許可をいただけたんです。
その後、当社がバーチャルコンソールのビジネスを手掛けることになって、MSXなどいろいろなプラットフォームの対応タイトルの使用許諾を得るために、シアトルまで行きまして、ビルさんに直接プレゼンさせていただきました。そこで、ビルさんに「おもしろいね」って言っていただけて16bit以降のタイトルも許可が取れたわけです。そういうエミュレータービジネスを作り上げたという自負はあります。
エミュレーター合法化の取り組みや著作権整備にあたっては、この20年以上で語り尽くせないほどの苦労があります(笑)。
――この二十数年間は、紆余曲折があったということですね。
鈴木 “プロジェクトEGG”を立ち上げてよかったと思うのは、レトロゲームをこういった配信スタイルで提供することが、一定のビジネスになると証明できたことです。それで、過去作の著作権整備をメーカーさんがし直すことによって、二次利用、三次利用がしやすくなりました。私たちが取り組んできたことは、考えかたなども含めて、業界に資するという点で、ちゃんと貢献できていると自負しています。
――エミュレーターの技術を築き上げるのはけっこうたいへんだったのですか?
鈴木うちならでは……というよりも、周りにエミュレーターに精通している技術者というか協力者が多かったというのはあるかもしれません。出会いと言いますか……。
僕はもともとレトロゲームが好きで、よく秋葉原に出かけては、プライベートでコレクター仲間とご飯を食べたりしていたのですが、ある程度仲よくなってきてから、「エミュレーターをやっている」と打ち明けられたんですね。そのときすぐに、「いますぐその活動をやめて権利調整などはうちの会社でするから、協力してもらえないか?」と打診しました。
――出会いの縁ですね。
鈴木彼に代表される技術者といっしょに仕事をしながら、技術の研鑽に務めたということはあるかもしれません。
それまでは、ゲーム配信に特化した形で、ブラウン管に走査線が1本おきで表示されるようなエミュレーターしか世の中になかったんですね。でも、もっとソリッドに表示したかったので、「奇数偶数をコピーして、同じものを2行ずつ画面に書いてくれ」という要望は出しましたね。
また、“クイックセーブ”という名称で、メモリに保存されている情報をすべてミラーリングしてコピーして、それをセーブデータにしてもらうということもしました。
あとは、ダウンロードの際にプロテクトをかける特許出願を出したりもしました。いまでこそDRM(デジタライズマネージャー)という言葉があると思うのですが、私たちはDCP(デジタルコンテンツプロテクション)という形で、コピーされたものをちゃんと使えるようにしていたんですね。
それが国に認められて、いくらか予算を出してくれて、当社と富士通さんとドコモさんの3社で共同研究などをしたりもしました。ゲームだったり、音楽だったり、PDFだったり、デジタルコンテンツであれば何でもいいのですが、いわゆるDRMの一部は私たちが考案したんです。
――人との出会いもあり、エミュレーターを突き詰めようという思いもあり、利便性が高まっていったということはありそうですね。
鈴木エミュレーターの技術に加えて遊べるようにするための初動のアイデアや改変依頼は、"プロジェクトEGG"を介して、各エミュレーター作者に伝えていました。
ノートパソコンにデジウム機能ってありますよね。カバーをパタッと閉めて、つぎに開くと閉じていたところから作業を開始できるという。あれって、メモリ内容を全部保管スワップ配分しているのですが、同様の考えで、エミュレーターの中身を必要なところをコピーしておいて、クイックロードでそこからもう1回再スタートできるというのは、私たちが最初に実装したテクノロジーです。いまではどこの会社も同じような仕様でやっていますし、私たちも“動画セーブ”で特許を取っていたりします。
「エミュレーターを活用してもっと利便性を上げるにはどうしたらいいのか」というのは、ひとつのテーマではありましたね。実際のところ、過去のゲームって、見たらすぐ終わってしまうんですよ。「ああ、懐かしい」で終わってしまって、最後までプレイしない人も多い。「だったら、いろいろなセーブデータを設けて、懐かしさを感じてもらおう」という発想なんです。遊んでもらいかたをいろいろと考案しながら、レトロコンテンツを活用している、といったところです。
“EGGコンソール”では、当時の貴重なマニュアルやジャケットをいつでも閲覧可能な“ギャラリー”モードが搭載されているのもファンにはうれしい(同モードが収録されていないゲームもある)。
“EGGコンソール”では、楽しくて買いたいと思ってもらえるようなタイトルを続けて出していく
――“プロジェクトEGG”で家庭用ゲーム機向けソフトを展開しようと思ったきっかけを教えてください。
鈴木もともと“プロジェクトEGG”は、全プラットフォームでやりたいと思っていました。PC向けゲームも、コンソールもアーケードゲームもやるということは、“プロジェクトEGG”の企画立ち上げ時から視野に入れていたんです。最初にPC向けゲームをリリースした後で目指したのがPCエンジンでした。当時ボーステック在籍時に、『超兄貴』というタイトルをどうしても遊びたくて、PCエンジンのエミュレーターを作ったんです。
――『超兄貴』がお好きだったのですね(笑)。
鈴木PCとコンソールは共通のアーキテクチャーも多いので、ガワはそれぞれ違っていても同じ考えが通用しやすいです。それをパズルのように組み合わせていくと、アーケードゲームでも数日手掛けるだけで動いてしまうケースもあります。そういう形でプラットフォームを増やしていったのは事実ですね。ですので、「PCエンジン向けエミュレーターを作ろう!」と、全リソースを注入するというよりは、「この部分とこの部分はできあがっているので、PCエンジンの権利調整をしてリリースしよう」という形でしょうか。
そんなときに、KONAMIさんのi-revo(※)というサイトに協力することになりまして。KONAMIさんに、MSXのゲームを“プロジェクトEGG”でやりたいとご提案したところ、ちょうどKONAMIさんもi-revoというサイトを立ち上げて、過去に家庭用ゲーム機やパソコン向けに発売されたゲームをオンラインで配信することを企画されているところだったんですね。
※i-revo……KONAMIとインターネットイニシアティブの合弁会社として設立されたインターネットレボリューションが運営したポータルサイト。2006年3月に正式サービスを開始。i-revoゲームは2011年3月にサービス終了
それで、i-revo向けにPCエンジンやMSXなど、4プラットフォームのタイトルを提供したんです。その後KONAMIさんとお話をしていて、やはりファミコンやスーパーファミコン用ソフトは欠かせないだろうということで、任天堂さんへプレゼンに行ったんですよ。
そのときは、エミュレーターでゲームをプレイするのは抵抗のない時代になっていたので、せっかくだからということで、当時の現行機だったWiiでEGGをやらせてもらえないかということで、“プロジェクトEGG For Wii”という企画も提案させていただいたんです。それが紆余曲折を経て“バーチャルコンソール”になるわけですが……。“バーチャルコンソール”は、Wii Uバージョン終了まで、私たちが責任を持って、ほぼ最初から最後まで関わっていました。
――Wiiの代から任天堂とはいっしょに仕事をしていたのですね。
鈴木はい。諸般の事情で“バーチャルコンソール”はWii Uで終了してしまいましたので、つぎはNintendo Switchでレトロゲームを、ということでスタートしたのが“EGGコンソール”になります。
2023年9月28日に配信された第1弾タイトル『EGGコンソール レリクス PC-8801』。オリジナル版は1986年にボーステックから発売されたアクション。価格は880円[税込]。
――“EGGコンソール”のサービスを開始して、ユーザーからのフィードバックはいかがですか?
鈴木ユーザーさんの反応は、ほぼほぼ良好です。「家庭用ゲーム機で出たならぜひ買いたい」、「家庭用ゲーム機向けによく出してくれた」という反応が多くて、これだけのニーズがあったんだなと再認識しました。金額がリーズナブルなのも好評でした。
あと、今回新しい取り組みとして、“EGGコンソール”は海外展開をしています。北米や欧州、オーストラリアで、日本と同タイミングで配信予定です。日本のPCゲームが海外のユーザーさんにプレイしてもらえるわけです。“プロジェクトEGG”は海外展開していないので、どのような反応をいただけるのが、いまから楽しみです。海外展開するからには、“EGGコンソール”の認知度を上げる活動や努力をしなければいけないと思っています。
――“プロジェクトEGG”は国内のみの展開だったのですね。
鈴木日本限定なんです。ただ、先日アントストリームという会社から、“プロジェクトEGG”のMSX用タイトルが供給されるというリリースが発信されましたので、海外でも楽しんでもらえることを願ってます。
――“プロジェクトEGG”は、はこれから海外に向けても配信していくのですか?
鈴木そうですね。これから海外にも積極的に供給していけるプラットフォームとして、いまいろいろな会社さんと交渉中です。
2023年10月26日に配信を開始した『EGGコンソール テグザー PC-8801mkIISR』。オリジナル版はゲームアーツより1985年に発売された、ロボット系アクションシューティング。
――現時点での“EGGコンソール”での販売状況はいかがですか?
鈴木すごくいいです。“プロジェクトEGG”で供給しているタイトルのダウンロード本数よりも勢いを感じています。“EGGコンソール”のほうが、ダウンロード数はぜんぜん多いです。遊びやすいからだと思います。Nintendo Switch自体の普及台数も順調に伸びていますし、「任天堂のハードだから」という安心感もあるのだと思います。
――“EGGコンソール”のラインアップは、現状PC-8801向けタイトルのみですが、今後は別ハードのタイトルも増えていくのですか?
鈴木はい。PCゲームベースとなりますが、プラットフォームは随時増やしていこうと思っています。PC-9801やMSXのタイトルなどは、本家の“プロジェクトEGG”で発売しているタイトルを可能な限り持ってきたいです。楽しくて買いたいと思ってもらえるようなタイトルを続けて出していく予定でいます。
現状発表しているタイトルをご覧になればおわかりいただけると思いますが、今回“EGGコンソール”を展開するにあたってラインアップしたタイトルも、その方針に則っています。初動は遊びやすさを重視して『テグザー』や『シルフィード』がすぐ候補で出てきて、RPGであれば日本ファルコムさんの『ザナドゥ』や『イース』は外せないといった具合です。
“レトロゲームを知らない人でも楽しめるタイトル”、“レトロゲームの代名詞と言えるようなタイトル”という方針で検討して、いまラインアップを作っているところです。目標は月に2、3本提供することですね。
――ゆくゆくは家庭用ゲーム機向けのレトロゲームの配信も検討しているのですか?
鈴木そこは、Nintendo Switch Onlineのタイトルとバッティングしない限りは展開していきたいと思っています。“EGGコンソール“という名前にしたのも、“プロジェクトEGG”がベースにありつつも、コンソール向けタイトルもやっていきたいという思いを込めてのものです。
2023年12月14日に配信された『EGGコンソール ザナドゥ PC-8801mkIISR』。オリジナル版は1985年に日本ファルコムから発売され、40万本以上のセールスを記録している。
――“プロジェクトEGG”は、20数年の時を経て、着実に広がっていっていると言えそうですね。
鈴木とはいえ、まだまだ道半ばです。実際のところ、ひとくちにレトロゲームと言っても、いまだにPCでも販売しきれていないタイトルってけっこう多いんですよ。たとえばですが、MSXだけでも膨大なタイトル数が世の中に出ているのですが、“プロジェクトEGG”のほうでは、まだ数100タイトルくらいしか販売できていません。PC-8801版でも、数100タイトルリリースされているのですが、“プロジェクトEGG”では半分くらい。“プロジェクトEGG”のラインアップ自体、1000タイトル強くらいしか販売できていませんから。
――どのような要因があるのですか?
鈴木いろいろな要因がありますが、許諾関連が多いですね。版権元が見つからなかったりとか、見つかっても許諾が得られなかったりとか……。移植要望の高いタイトルでも正統な権利者とコンタクトが取れないというケースですね。
あと、ゲームデータが見つからなかったり、許諾はもらっていてもエミュレーターではどうしても動かないという場合もあります。これは“プロジェクトEGG”タイトルではありませんが、タイトルによってはときに複数プラットフォームにコンバートしないといけなかったり、HD化ともなると、半分エミュレータで、半分スクラッチということもあります。私たちが関わったとある大手タイトルでは、数億の予算をかけ、かつ完成までに5年かかったものもあります。まあそれは、コロナ禍の影響で以前のようには進まなかったということもあるのですが……。
――目標としては、MSXタイトルを全部移植したいと?
鈴木理想としてはそうなのですが、いま20数年間やっていてトータルで1000タイトル強です。「我々がアクティブなあいだにどれだけできるんだろう?」という疑問が浮かんでくるわけです。“終活”ではありませんが、どこかのタイミングでどこかの会社に継承してもらうのか、あとは国会図書館のようなところにアーカイブとして管理を継承するのか……。せっかくここまで著作権整理をして、合法的に供給できる状況ではあるわけですから。
――ちなみに、移植要望の高いソフトはどのようなタイトルが?
鈴木『ラストハルマゲドン』とか、『アルシャーク』とか。あとは『ウィザードリィ』などの旧光栄さんタイトルも多いですね。旧光栄さんタイトルに関しては、やるという話でレトロゲームを預かっているのですが、その状態で5年以上経ってしまっています(汗)。『ウィザードリィ』に関しては、権利者さんと直接お話をしています。遅かれ早かれ、2024年中には何か発表できるようにはしたいなと思っています。『ウィザードリィ』はすごく人気のあるタイトルなので、うちとしてもやりたいです。
2023年12月21日に配信された『EGGコンソール シルフィード PC-8801mkIISR』。オリジナル版はゲームアーツより1986年に発売。プレイヤーは戦闘機SA-08シルフィードに搭乗して、反乱軍を鎮圧するために出撃する。
“購入することの価値”をしっかりと設けていきたい
――今後の“EGGコンソール”と“プロジェクトEGG”の展望や目標を教えてください。
鈴木“EGGコンソール”に関しては、先ほどお話した通り、順次タイトルを増やしていくというのが当面の目標です。本家である“プロジェクトEGG”も、当然タイトルを増やしていくつもりでいるのですが、もっと遊びやすさや購入しやすさ、投資しやすさといったことを考えていきたいです。現段階ではなかなかお話ししづらいのですが、“購入することの価値”をしっかりと設けていければと思っています。大手さんはなかなかやらないことだと思うので、私たちがレギュレーションというか、ガイドになれるように仕掛けていきたいです。
――“購入することの価値”ですか?
鈴木まだお話しすることができないのですが、いろいろな形で考案中です。そして先ほどお話しした通り、タイトルも増やしていきたいです。著作権法上のレギュレーションに則りつつ、より多くのタイトルを提供できるような取り組みをしてみたいとも思っています。
――具体的にはどのようなことを考えているのですか?
鈴木“プロジェクトEGG”は、まだ膨大なタイトルの復刻ができていないのですが、中には権利者に連絡がつかないパターンも多いです。場合によっては権利者が亡くなられているかもしれないし、業界から離れてしまって私たちがいくら話しかけてもその声が届かないというケースもあるかと思います。
いままでは、著作権の整理がきっちり終わってからタイトルを販売していたのですが、いい作品があるのであれば、著作権の整理がつかないことを理由にユーザーさんに遊んでいただけないのはもったいない。ですので、違う手法でタイトルを増やしていきたいという考えにいたっています。
――著作権の取り組みに対して、一歩踏み込むということですね。
鈴木また、ゲーム保存協会との連携も模索中ですので、ゲーム保存協会とD4エンタープライズが組んで何かできないかと話し合っている段階です。あとは、海外展開ですね。
――“プロジェクトEGG”のサービスは、現状国内のみとのことでしたね。
鈴木はい。国内のプラットフォームはある程度獲得できたので、海外のプラットフォームとタイトルの獲得に向けて動こうかなと思っています。具体的には、Amigaやコモドールなどのプラットフォーム展開を考えています。そこである程度海外コンテンツを獲得できるメドがついたら、“プロジェクトEGG”をワールドワイドで展開することも考えています。国内向けサービスでも、いわゆる“洋ゲー”が遊べるようになるわけです。
とはいえ、ローカライズを担当していた会社がゲーム事業から撤退していたりして、どこまで当時の日本語版のデータが使えるのか、確認や調整が難しいんですよね。ですので、マニュアルやUIの説明だけ日本語で……という形になるかもしれません。いずれにせよ、本家の“プロジェクトEGG”を海外対応にすべく模索中です。今後の展開にご期待ください。
2023年12月21日発売の『EGGコンソール ハイドライド PC-8801』。オリジナル版は1984年にT&E SOFTより発売された、アクションRPGの名作。
“EGGコンソール”第6弾タイトルは2024年1月11日に発売された『EGGコンソール メルヘンヴェール PC-8801mkIISR』。オリジナル版は、1985年にシステムサコムから発売されたアクションRPG。対応タイトルは、今後も順次発売予定だ。
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202401/19330499.html