コーエーテクモゲームスより2024年3月28日に発売される、競馬シミュレーションゲーム『ウイニングポスト10 2024』。対応ハードはNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、そしてSteam(PC)。今回は、序盤をプレイしてのレビューをお届けする。
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『ウイニングポスト10 2024』の発売に先駆けて、「なんだか難しそう」と二の足を踏んでいる方や初心者でも安心の遊びかたを伝授します。
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ゲーム最序盤でやるべきこと、後回しでいいこと
本作は2023年に発売された『ウイニングポスト10』(以下、『10』)の最新年度版である。……と言うと、データを最新に入れ換えただけの作品と思われそうだが、データだけでなくビジュアルや演出、さらにはシステム面でも新要素が複数盛り込まれていて、『10』を遊んだことがない人はもちろん、『10』をプレイした人にもあらためてオススメできる作品となっている。
ゲームの流れは基本的に『10』と同じ。シナリオも、最新年が2024年→2025年になった以外は開始年がまったく同じである。ただ、初期で購入することになる馬は変更されていて、そのために序盤の戦略も変わっている。『10』をプレイしたことがある人は覚悟しておこう。
古くは1973年から、開始年が異なる7本のシナリオが用意されている。
筆者は1991年開始シナリオを選択。この年は、古馬にメジロマックイーン、3歳馬にトウカイテイオーという超大物がいて、中長距離路線は茨の道となる。短距離~マイル路線も、サクラバクシンオーやニシノフラワーなど手強い相手が待ち受ける。しかし、彼らを避けてローテーションを組めば勝機はある……という状況だ。
初期設定については、牧場開設地は繁殖牝馬、種牡馬ともに多い静内、牧場長は駒野みのりを選択。よほどのこだわりがないのなら、パラメーターが優秀な場所、人を選ぶのがいいだろう。牧場は新冠、浦河あたりでもいいし、牧場長も橘もえぎ、牧野良夫という選択肢もある。なお、拠点は関東、関西の差はほとんどなく、秘書も好みで選んで問題ない。また、最初から結婚した状態で始めることも可能だが、これも序盤の展開にそこまで大きな差が生まれるわけではないのでどちらでもかまわない。
秘書からの呼び名もカスタマイズ可能。“ご主人様”など、一度は呼ばれてみたい呼ばれかたを選ぶのもいいだろう!
いよいよゲームスタートである。『ウイニングポスト』シリーズの特徴として、調教は基本的に調教師におまかせなので、プレイヤーは毎週仕事に追われることはない。その代わり、しばらくひと通りのゲームの説明を聞くターンが待っている。と言っても、後でチュートリアルを読み直すことも可能なので、ここでは軽く目を通す程度でいい。必要になったらそのときに集中して読むのだ。
初期設定が終わっていよいよオーナーブリーダー人生がスタート。ただし、しばらくはゲーム説明が続く。
最初に購入できる現役馬には、3歳のナイスネイチャを選んだ。トウカイテイオーと同い年で、現役時代はGI優勝こそ手が届かなかったものの第一線で長らく活躍し、有馬記念では3年連続3着という珍しい記録を残している。ライバルは強いが、うまくローテーションを組めば太く長く稼いでくれそうだ。
なお、ナイスネイチャは1996年に競走馬生活を、2001年に種牡馬生活を引退後も長生きし(2023年5月に35歳で没している)、引退馬協会が募集した“バースデードネーション”で多くの寄付を集め引退馬支援に寄与したことでも有名である。
1991年開始シナリオでオススメの3歳馬、ナイスネイチャ。息の長い活躍が期待できる。
ゲームに戻り、サクサク進めて2月3週のデビュー戦へ。拠点を関東にしたので、デビュー戦は関東の3歳重賞・共同通信杯である。出馬表を見ると、ライバルになりそうなのは史実でトウカイテイオー不在の菊花賞を制したレオダーバンか。『9』では本作のナイスネイチャの立ち位置で、最初に購入できる現役馬として登場している。
レースでは、まず“作戦”をチェックするといい。基本的にはその馬が得意な作戦(脚質)を選ぶべきではあるのだが、レースの展開によってはあえて正攻法を外したほうがいい場合もある。このレースはそのいい例で、なんと出走している16頭中、作戦“差し”がナイスネイチャ含めて12頭もいた。皆が差しを狙うとなると、瞬発力勝負となる。ナイスネイチャは差し馬だが、そこまでキレる脚を持っているわけではないので、この状況はちょっと怖い。
16頭中差しが12頭、追込が2頭と、スローペースは必至。なるべく切れ味勝負には持ち込みたくないが……。
というわけで、作戦は差しから“最後方強襲”に変更した。これは“追込”よりもさらに極端な作戦だが、最後方から大外をブン回して勝負することになるので、先行馬や差し馬が多く馬群がゴチャつきそうなときに意外と有効。そしてこの変更がハマり、見事に差し切って初戦で勝利を飾ったのである。
工夫次第で1頭目から大活躍が可能
幸先よくスタートしたが、クラシック戦線にはトウカイテイオーという怪物が待っている。まともに戦って勝てる相手ではないので、うまく避けながら実績を積む方向で進めることにした。2戦目のスプリングステークスで再びレオダーバンを下して優勝すると、皐月賞には向かわず青葉賞、そして連闘でNHKマイルカップへ。
じつはこのレース、本作では1973年から登場するが、史実では1996年に創設されたもの。つまり、史実馬の有力どころはほとんどこちらに向かってくることはなく、かなり勝ちやすくなっているのだ。そして狙い通りに楽勝。馬主初年度にして、早くもGI勝利を挙げるとともに、秘書が提示してきた“中間目標”のうち“初めての愛馬で獲得賞金を1億円以上”、“初めての愛馬で重賞を2勝”を達成した。
トウカイテイオーを避けつつ最大の結果を出し、中間目標もほぼ最速で達成した。
ちなみに、青葉賞に出したのは賞金稼ぎとナイスネイチャの成長のためでもある。本作ではレースに勝つと、能力が大きく伸びたり、新しい特性を獲得する可能性が高くなる。3歳オープン馬では出られるレースが限られているので、早めの成長を促す意味もあってキツめのローテーションを組んだのだ。
レースで入着すると馬が成長する。勝利を収めるととくに能力が伸びたり特性を獲得しやすくなったりする。
この間、じつは庭先取引で新戦力をゲットしている。体験版(セーブデータは製品版に引き継げる)ではゲームスタート直後に“金のお守り”と資金5億円がもらえるので、それを使って生まれたばかりのビワハヤヒデを購入したのだ。史実でもナリタタイシン、ウイニングチケットと“BNW(もしくはBWN)”などと呼ばれていたが、古馬になってからも活躍が見込める超有望株。それが金のお守りさえあれば買えてしまうのは美味しすぎる!
庭先取引で2年後の超有望株をゲット!
そしてNHKマイルカップの後はトウカイテイオーが待つ日本ダービーには出ずに早めに放牧へ。秋はセントライト記念から始動し、距離適性が合わず(長すぎる)ライバルのレオダーバンが力を発揮する菊花賞はスキップしてアルゼンチン共和国杯、チャレンジカップとGII、GIIIを巡って修行をさせることにした。こちらも全勝して、中間目標の残りひとつ“初めての愛馬の信頼レベルを1以上にする”も達成。上出来の1年目となった。
なお、初年度にはもう1頭、2歳馬を譲ってもらえるのだが、そこではヒシマサルを指名した。優秀な史実馬は、ゲーム内の“名馬列伝”を見たり、金や銀のお守りがついている馬をインターネットで検索したりして(Steam版はnetkeibaへのリンクが利用できる)、自分に合った馬を捜すといいだろう。
有力な史実馬には“名馬列伝”が設けられている。とくに銀以上のお守りマークがついている馬は、その馬自身が強いか、子孫に有望株が登場する。
ビワハヤヒデのデビューは早くても2年目の秋になるので、当面の戦力は4歳ナイスネイチャと3歳ヒシマサルの2頭だけ。本作では持とうと思えばたくさんの馬を所有して走らせることができるが、管理が難しくなるので、ゲームに慣れるまでは1世代2~3頭ずつくらいでいい。少数精鋭できちんと管理しよう。
また、5~6月には牧場で“種付け”を行うことになるのだが、ある程度余裕が出てくるまでは自家生産で戦力を発掘するのではなく、“お守り”つきの史実馬を庭先取引で買うことで揃えるのがおすすめ。繁殖牝馬が揃ってきたら、種付けをする際に“爆発”→“評価”の順でソートし、なるべく評価A以上、爆発力20以上の配合を狙おう。配合理論はかなりのボリュームが用意されていて、こだわればかなり細かく組めるのだが、そこまでこだわらない人は、上記のソートだけ心掛けていればいい。なお、評価“☆”は史実馬が誕生するサインだ。
種付けにはさまざまな要素が絡んでくるが、芝・ダートの適性を合わせたうえで、評価&爆発力の両方が高い配合をしていればいい。
そんなわけで、2年目は2頭の管理に全力投球。手強い相手を避けながら、いかに勝利を重ねられるかを考えてローテーションを組んでいく。ナイスネイチャはメジロマックイーンや復活のトウカイテイオーが待つ国内では戦わず、京都記念から豪州(オーストラリア)遠征へと向かうことに。海外レースの中でも豪州は比較的相手が弱く、また欧州とは違って芝が軽めなので日本馬でも勝ちやすいのだ。困ったら豪州。覚えておこう。
意外に賞金も高かったりする豪州のレース。レース名横の馬のマークが無印もしくは銅色のレースは難度が低いので狙い目だ。
そして今回も目論見通り、豪州でGI連勝。史実では“善戦マン”と言われなかなか勝てなかったナイスネイチャだが、4歳春にして早くもGI3勝、一流馬の仲間入りである。賞金もたくさんゲットし、牧場の施設建設資金も稼いでくれた。
ナイスネイチャはそのまま春も秋も豪州遠征でGIを勝ちまくり、プレイ開始から3年目、5歳いっぱいで引退するまでGI8勝。金殿堂入りし、金のお守りを獲得するまでになった。うまいことローテーションを組んで、史実調教でパラメーターをアップさせてあげれば、このように史実を遥かに超える成績を挙げることも可能なのである。
すさまじい戦績を残して引退。殿堂入り&金の銅像獲得で、金のお守りもゲットである。
もう1頭のヒシマサルも、ナイスネイチャ作戦でNHKマイルカップから国内重賞→豪州GIで荒稼ぎ。さらに真の天才・ビワハヤヒデはこちらから手を加えるまでもなく調教師におまかせで勝ち続けてくれて、気付けば無敗のままクラシック三冠+ジャパンカップ、有馬記念制覇で3歳終了時で10戦全勝、GI6勝という怪物ぶり。もはや笑いが止まらない。
『ウイニングポスト10 2024』からの新要素もチェック
さて、本作での新要素についても触れておこう。
本作では各分野で人気を獲得したアイドルホースが出てくると、“競馬ブーム”が起こることがある。史実でも1970年代のハイセイコー(第1次競馬ブーム)、1980年代末のオグリキャップ(第2次競馬ブーム)といったアイドルホースの台頭をきっかけにブームが到来。プレイヤー所有のアイドルホースが一定以上の人気を獲得することで発生し、競走馬の育成などに大きな好影響を与えてくれる(ハイセイコーとオグリキャップはある条件を満たすと非所有でも発生する)。
どんなものか手っ取り早く体験したいなら、1973年開始シナリオを選ぶのがおすすめだ。1年目にハイセイコーによる競馬ブームが発生する。ちなみにそこで確認したのだが、競馬ブームの期間は意外と短かった。効果はかなり高いものの、1年目などこちらの環境が整っていないうちに発生するとあまり恩恵が受けられない。狙って発生させるのも序盤では難しいので、馬主生活が軌道に乗るまでは、あくまでアイドルホースを作り上げたボーナス、程度に考えるといいかもしれない。
1973年シナリオなら、すぐに競馬ブームが発生する。効果は盛りだくさん。
競馬ブームに関連して、競走馬の人気や評価を目に見える形にしたのが“アイドルウマップ”だ。これには競馬ファンや馬産地(生産者)など、4つの分野からの人気や評価が表示される。それぞれを高めることで異なるメリットが発生するが、狙って高めるにはローテーションの組みかたを工夫する必要がある。
シリーズに慣れていて、どの時期にどんなレースがあるのか把握しているような人はゲーム序盤からローテーション戦略に組み込んでみると、思わぬ結果が出るかもしれない。ただし、そこにばかり目が行って、生涯を通した活躍ができなくなっては元も子もないので、あくまで育成のサブ要素として考えるといい。
9月~11月の期間限定ではあるが、『10』から実装された育成システム“史実調教”が1歳馬にも使えるようになっている。デメリットはほとんどなく、馬の能力を伸ばせる便利なシステムなので、使用可能な回数は使い切るようにするといい。なお、月末までに回数を使い切っていない場合は調教師におまかせで実行してもらうこともできる。
“競馬ヒストリア”は競馬ファンにとってはもっとも興奮する要素かもしれない。“ヒストリアイベント”という、史実をベースにしたイベントが用意されているほか、それらの資料を閲覧するモードがすばらしい。読み物としてもボリュームたっぷりで知識欲を刺激してくれるほか、スポーツ新聞『サンケイスポーツ』とコラボして、歴代の紙面が見られるようになっているのだ。
これはゲームの進行状況にかかわらず最初からすべて見られるので、じつは初回プレイ時に最初のレースに挑むまで2、30分は寄り道してしまっていた。質、量ともにそうとう力が入っていることがうかがえた。ゲーム作りの傍らでこんなところにとんでもない労力を割いている開発スタッフ、嫌いじゃない(笑)。
あとは新システムではないが、特性やウマーソナリティの効果は『10』よりも上がっている印象を受ける。本稿のためにも序盤のプレイを数回くり返したところ、とくに地方や海外遠征ではそれらがあるとないとで勝ちやすさが違っていた。
レース中のカメラ(新たに騎手視点も!)やダートレースの演出もわかりやすく改善されている。配合理論の追加やエディット機能の強化も含め、こういった細かいところの改善が特別アピールされることなく当たり前のようにいくつも積み重ねられているのは、さすが老舗ゲームと言えよう。
『ウイニングポスト』シリーズは、標準の難易度Normalならかなり勝ちやすくできている。プレイヤーは出走させるレースや乗せる騎手、レース中の作戦を工夫するくらいで、それほど難しい作業をする必要はない。種付け、牧場施設の建設などやれることはたくさんあるが、上記のように簡単に済ませられる方法も存在する。
一方で競馬ヒストリアのように、ゲームの進行に関係なく競馬ファンなら誰でも楽しめる要素も用意されていたりする。全体的に、やさしい(易しい、優しい)作品なのだ。競馬が好きだけど複雑そうで『ウイニングポスト』は敬遠していたという人には、とくに遊んでみてほしい。競馬ファンで『ウイポ』ファン、同好の士、求む。
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202403/21337370.html