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RPGツクール最新作『RPG MAKER WITH』レビュー。シリーズ初心者がゲーム作りに初挑戦。自分が思い描いた世界を形にできるのってこんなに楽しいことなのか! | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 Gotcha Gotcha Gamesより発売中のNintendo Switch(※)用ソフト『RPG MAKER WITH』(以下、『WITH』)。

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※プレイステーション4、プレイステーション5版は発売日未定
 本作はプログラミングやプランニングなどの専門知識がなくても、ゲームを制作して公開できるゲームコンストラクションツール。これまでは『RPGツクール』の名で親しまれてきたが、2023年から海外版名称である『RPG MAKER』にタイトルを統一した。
 本記事では、シリーズ初心者のライターによるプレイレビューをお届け。誰でも簡単にゲーム制作を可能にするシステムの詳細や、筆者がゲームを制作する様子を中心に紹介する。

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『RPGツクール』とは
 1990年に1作目が発売された本作は、プログラミングなしでゲームが作れるゲームコンストラクションツール。誰でもゲームクリエイターになれる、夢のようなシステムは多くのユーザーを魅了し、以降多くのシリーズが制作された。RPGの名を冠してはいるが、作りかた次第でアドベンチャーやノベルなど、他ジャンルのゲームを作ることも可能。
 誰でもゲームが作れる本作には、もうひとつ大きな特徴がある。それは制作したゲームを気軽に公開できることだ。自身のゲームを遊んでもらうことで、自分では思いつかなかったアイデアを発見できるし、ユーザーが楽しむ姿を見て制作のモチベーションも上げられる。ちなみに本シリーズで制作された作品と言えば、『青鬼』や『怪異症候群』、『魔女の家』、『Ib』などが有名だ。
ゲーム制作に取りかかる前に、『WITH』の基本システムを紹介
 まずは『WITH』ではどういったことができるのか、軸となる3つの要素を確認していこう。ひとつ目は“つくる”。ゲームをイチから制作する機能。本作では自由にマップを作れるタイルが揃った“マップエディタ”のほか、 “データベースエディタ”と呼ばれる項目に登場人物、武器、防具、スキル、敵キャラクター、アニメーション、コモンイベントなどのゲームを作るのに必要なパーツが大量に収録されている。ユーザーはそのパーツを使って思い思いのゲームを作っていく。

 ふたつ目は“あそぶ”。自身やほかのユーザーが作ったゲームを遊べる機能。本作にて制作された5つのサンプルゲームも用意されている。各ゲームの特徴や魅力については以下の記事でチェック。

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Gotcha Gotcha Gamesより、2024年4月11日に発売されたNintendo Switch(スイッチ)用ソフト『RPG MAKER WITH』で遊べるサンプルゲーム5本のレビューをお届けする。

 3つ目は“みんなの作品”。ここでは自身が制作したゲームを投稿したり、ほかのユーザーのゲームをダウンロードしたりできる。さらに本作から“アセットシェアリング”という新システムも登場。これは自身やほかのユーザーが制作したアセット(マップ、各種パーツ、コモンイベントなど)を投稿またはダウンロードするための機能だ。本機能の登場によって、マップは自分でイチから作り、イベントはすべてほかの人が公開しているアセットで賄うといったことも可能となり、これまでよりもゲーム制作がより簡単に行えるようになった。
 ちなみに本作にもシリーズ恒例の初心者講座がある。いわゆる説明書のことで、『WITH』の公式ホームページから閲覧が可能。筆者のようにシリーズ初心者の人はスマートフォンなどで表示させながらプレイするといい。

ゲーム制作に挑戦1 冒険の舞台となるフィールドマップを作る
 ここからは本作にて初めて『RPGツクール』シリーズに触れるガチ初心者の筆者が、実際にゲーム制作に挑戦。その様子をお届けしていく。
 最初はマップエディタでゲームの土台となるマップフィールドを作る。ゲーム制作画面を起動すると、まっさらなマップが映し出された。ここに地形や建物のタイルを敷いて、自分だけの世界を作っていく。画面がスクロールする広大なマップを作ることもできるが、初めてなのでひとつの画面に収まる小さなマップを作ってみることに。

 タイルの画面を開くとそこには、草原、海、雪原、毒沼、村、城、街、塔など、RPGで見慣れたさまざまな地形と建物が。ドームやハイテク施設といった近未来チックなタイルもあり、表現できる世界観の多彩さに筆者は思わずテンションが上がった。それ故に「何を作ろうか……」と悩む場面もしばしば。でもこういうのはバーッとやっていれば、自然とアイデアが沸くはず……。とりあえず適当なタイルを敷きながら世界観を考えていく。

マップの周囲は岩山で囲まれているため、画面左側の海路からしかここには入れないという設定だ。

 断崖絶壁の岩山でマップを囲んだり、川と木のタイルで自然らしさを演出したりと、あれこれやっていくうちに、ふと「毒沼が欲しい!」と思い始めた。毒沼を敷き詰めてみるものの、何か物足りない。そこで毒沼の上に廃城を建ててみると荒廃した僻地っぽさが演出され、世界観の方向性も一気に固まった。こんな感じで適当に作りつつ、あれこれ試行錯誤するのが、街作りシミュレーションゲームのようで非常におもしろい。また本作は家庭用ゲーム機向けに、細部まで利便性が調整されているため、操作性はかなり良好だった。
 気づければひとつの世界が完成していた。イメージとしては広大なマップの片隅にある最果ての地。中央に小さな村があり、西側には魔王軍に滅ぼされて荒廃した廃城と毒沼が広がる。飾りとして浮島や謎の施設も置いて、意味ありげな空間を演出してみた。これで本作の舞台となるマップが完成!

新規マップ制作の画面ではマップの広さ、スクロールの有無、BGMの選択、使用するタイルセット、エンカウントなどが設定可能。これらの設定は途中で変更することもできる。

 ゲームの制作途中でも、あそぶボタンを押せば作りかけのゲームをプレイできる。設定したものが動くか、足りないものや不要なものはないかなど、実際にプレイすることでわかることもあるため、かなりの頻度で自身のゲームを遊ぶことになるだろう。
ゲーム制作に挑戦2 最果ての村を作る
 つぎは世界を広げるために、村のマップを作っていく。サブメニューからマップリストを開くと、新たなマップの作成が可能。やることは先ほど制作したフィールドのマップと同じで、まずはタイルを並べる作業から。
 しかしここでハプニングが発生。村を作りたいのに、フィールドのタイルしか選べない! あれこれイジってもタイルが切り換わる気配がなく、時間だけが過ぎていく。埒が明かないので、過去のシリーズではどういう風に切り換えるのかを調べてみる。
 すると、“新規マップ制作時に使用するタイルの種類を決める”という仕様を発見する。新規マップ作成画面に戻ってみると、たしかに基本設定内に“タイルセット”の文字が……。つまりフィールドタイルを使ったマップには、外観や内装などの別カテゴリーのタイルを置くことができないのだ。てっきりすべてのタイルを自由に組み合わせられると思っていたため、この仕様は盲点だった。

ゲーム制作に挑戦3 ゲーム制作最大の難敵? イベントエディタ
 簡素だが、フィールドマップと村マップの制作が完了。しかし、いまのままだと、それぞれのマップはタイルイラストを貼り付けただけの単なる一枚絵に過ぎない。村のタイルにキャラクターが乗っても村の中に入れないし、逆に村から出ることもできない。また村が無人で寂しいので、NPCも配置したいところだ。そこでつぎに行うのが、イベントの設定だ。Rボタンを押すと、マップエディタからイベントエディタに切り換わり、イベントの作成・管理ができるようになる。

 イベントは、ストーリー、進行フラグ、演出、NPC、アイテムなど、ゲームを動作させるための言わば心臓の役割を担う。そのため、見た目だけを作るマップと異なり、とにかく設定できる項目が多い! あまりの多さに「項目が多過ぎてわからない……。無理無理!」と心が折れそうになった。

 そんな絶望すらも感じさせるイベント。じつはNPCと話したり、特定の場所で演出を発生させたりといったシンプルな内容であれば“イベントの簡単作成”でサクッと作れることが判明。手始めにフィールドマップと村マップを繋げてみる。
 操作としては、フィールドマップの村タイルにカーソルを合わせてサブメニューを開き、“イベントの簡単作成”を選択。そして、イベントの簡単作成の中にある“移動”の項目を選択し、移動先となるマップと座標を決めるだけ。
 今回の場合は村のマップを選択し、座標を村の入口に設定することで、キャラクターが村のタイルに重なったときに村のマップへと移動するようになる。あとは、同じ手順で逆のパターンとして、村の入口とフィールドマップにある村タイルを繋げれば、互いに行き来が可能に。
 なお、“イベントの簡単作成”は、移動以外にも、宝箱・スイッチギミックの設置、宿屋NPCの配置など、ゲーム制作において頻繁に利用される設定をボタンひとつでやってくれるめちゃくちゃ便利なシステムだ。

 つぎは通常のイベント設定機能を使って、閑散とした村にNPCを配置していく。NPCを配置したいところにカーソルを合わせてAボタンを押して“画像”の項目を選択。マップに配置するNPCのドットイラストを選び、“イベント内容”にあるメッセージの項目で、NPCの顔グラフィック、話しかけたときに表示される文章、NPC名などを作成して、OKを押せば村人NPCの完成だ。

 恐らく本作でいちばんたいへんなのが、このイベント内容の設定だ。いまのようにNPCと話すだけならイベント内容はひとつでいいのだが、あれこれ演出を盛り込んだり、しっかりとしたストーリーを展開しようとしたりする場合は、下記のようにさまざまな要素をひとつずつ設定しなければならない。会話やメッセージの文章もすべて考える必要があり、かなりの時間を要することだろう。

 たいへんな部分もあるイベント設定だが、慣れてくるといろいろなことに挑戦してみたくなった。そこで、村に宝箱を配置し、カギの有無で宝箱の反応が変わるというちょっとだけ複雑なイベントに挑戦してみることに。
 内容はパーティーメンバーの誰かがカギを持っていると宝箱が開き、武器のドラゴンブレードが手に入るというイベントだ。逆にカギを持っていない場合は「カギがかかっている!」というメッセージが表示され、武器は手に入らない。カギは宝箱の近くにいるNPCからもらえるように設定しておく。

SEが鳴ったり、メッセージが表示されたりするタイミングを調整して宝箱を開けたときの喜びを感じられるようにしておく。

 さっそく動作を確認してみると、一発で成功。たいしたギミックではないが、思わず「おぉ、よかった~」と感嘆の声が漏れた。このようにがんばって設定したイベントがうまく動作したときの喜びはほかでは味わえないものがあるし、成功することでモチベーションも上がり、かなりクセになる!

ゲーム制作に挑戦4 こだわりたい欲が出た戦闘パート
 敵が出現するエンカウントも設定していく。ランダムエンカウントの有無や出現するモンスターは、“ゲーム制作に挑戦2”で触れたマップの基本設定から変更可能。こちらはイベントと違って、あっという間に設定が終了しちょっとだけ拍子抜け。
 せっかくなので、データベースエディタで出現する敵の名前やステータスをイジってみる。くり出す攻撃やターン数ごとの動きなど、細部まで調整できるのでかなりオリジナルティ溢れるモンスターを生み出すことができた。モンスター以外にも、データベースエディタに収録されているパーツはすべて細かく調整が可能。いろいろと変更して自分らしさをもっと演出してみるのもおもしろい。

 最後にシンボルエンカウントのラスボスも作成。村の宝箱から手に入るドラゴンブレードを持っていると戦闘が発生し、倒すとエンドロールへと移行するように設定する。ただ戦うだけでは味気ないので、戦闘開始時にちょっとだけボスと主人公の会話を入れて物語性を演出してみる。イベント設定に慣れたためか、ちょっとこだわりたい欲が出てしまった(笑)。

 動作確認を行い、無事エンドロールが流れることを確認。これで筆者の初めてとなるゲーム制作が終了した。「これで終わり?」と思うかもしれないが、本作は“ゲーム制作に挑戦1~4”のようにマップを作って、イベントおよび戦闘を設定する、これをくり返すのがおもな作業となるため、ボリュームにこだわらなければ意外と簡単にゲームができるのだ。
 ちなみにわずか数分でクリアーできる超簡素な本作の制作に要した時間は8時間ほど。初めてでところどころ悩むこともあったため、余計に時間が掛かってしまった。操作に慣れたいまなら恐らく、1~2時間で同じようなゲームが作れるのではないだろうか。

エンドロール画面。

ゲーム制作に挑戦 番外篇 アセットトシェアリングとサンプルマップでゲーム制作をラクに
 “ゲーム制作に挑戦3”にて、「イベント設定は時間が掛かってたいへん!」なんて話をしたが、じつは苦労せずに複雑なイベントを導入する方法がある。それが冒頭で話したアセットシェアリングの機能だ。使いかたは簡単。“みんなの作品”から欲しいアセットを検索してダウンロードし、自身が作成しているゲームに導入するだけだ。

 試しにサンプルのアセットを導入し、天候が切り換わるコモンイベントを設定してみる。特定のポイントにキャラクターが到達すると天候が変化する演出が発生した。ちょっとした演出が入るだけでも思わずワクワクしてしまった。これは予想以上に便利だ! 
 今回は発売前にプレイしたため、サンプルのアセットのみだったが、発売後は多くのユーザーがアセットの投稿を行うので、これを読んでいるユーザーは筆者よりもさらに簡単にゲームを作ることができるだろう。ちなみにアセットはイベント以外にもマップ、建物、キャラクターの設定、特殊な装備のパラメータなど、さまざまなものが含まれる。検索機能を活用して目当てのアセットを探してみよう。

 マップをもっと簡単に作りたいならサンプルマップがおすすめ。これは本作に収録されている制作済みのマップデータのこと。新規マップ作成時にサブメニューから“サンプルマップのロード”を選択、あとは欲しいマップを選んでダウンロードするだけ。広大なフィールドマップや廃墟、マーケット、宮中神殿など、多彩なマップがあり、導入することでゲームのクオリティと世界観をグッと高めてくれる。もちろんサンプルマップを改変して自分好みに作り変えてもいい。

 アセットシェアリングも便利だったけど、こっちも便利そうだ。試しに先ほど制作した筆者のマップに鉱山、廃工場、漁村のサンプルマップを適用してみた。わずか数分でめちゃくちゃクオリティの高い村と、鉱山&廃工場のダンジョンが完成。小さなマップを何時間も掛けて作った筆者の苦労は一体(笑)。

サンプルマップのクオリティに大満足の筆者。せっかくなので漁村にマチルダという女騎士のNPCを配置。イベント設定の勉強も兼ねて、仲間になる演出を用意してみた。

 「完成品を自分好みにあれこれ作り変えたい!」という人はサンプルゲームを活用するのもありだ。サンプルゲームは本作にて制作された作品で、“みんなの作品”からダウンロードできる。サンプルマップ同様、自由に改変オーケーだ。またイチからゲームを制作している人は、過去回想やオープニングといった手の込んだイベントの仕組みをサンプルゲームで確認するのもいいだろう。

ゲーム作りの楽しさとやり甲斐を教えてくれる素晴らしいツール!
 自分が思い描いた世界をマップエディタで形にし、イベントエディタでそこに物語や設定を付与してひとつのゲームにしていくというのが非常に楽しかったし、やり甲斐があった。プレイする中でゲーム制作への理解が深まっていき、やりたいことが増えていくあの瞬間もクセになるおもしろさがある。
 アセットシェアリングやサンプルマップ(サンプルゲーム)の機能も魅力だ。ゲーム制作において苦手だったり、面倒だったりする部分を補えるだけではなく、ほかの人の力を借りることで、自分にはない発想をゲームに取り入れられる点も大きなポイントだと感じた。

 操作性は家庭用ゲーム機向けに最適化されており、複雑さはなく、初めてでも取っつきやすかった。各エディタをより素早く行き来するショートカットキーもあるので、使いこなせればよりスムーズなプレイが可能になるのもありがたい。操作と言えば、 “Nintendo Switchドック”にUSBタイプのキーボードとマウスを繋げれば、パソコンで操作するようにゲーム制作を楽しめる。
 とくに長文の文章作成はゲームパッドだとちょっとたいへんなので、キーボードが使えるとかなりラクになる印象を受けた。さらに本作はタッチパネル操作にも対応。ゲームパッドと併用することでより直感的な操作が可能になるのもよかった点だ。
 強いて不満点を挙げるとするなら、初心者講座がゲーム内に収録されていないことだ。スマートフォンと並べて見られるのはたしかに便利なのだが、やはりゲーム内から直接確認できるほうが個人的にはよかった。
 誰でもクリエイターになれるゲームコンストラクションツール『RPG MAKER WITH』。本シリーズを触ったことがなかった筆者でも、ゲームを制作でき、ものづくりの楽しさも知ることができた。家族でいっしょにプレイして子どもの創造力を養うのもいいかもしれない。気になる方はぜひこの機会に、本作でゲームクリエイターデビューしてみてはいかがだろうか。

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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202404/11339051.html

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