VALIS「未来カレイドスコープ」ライブレポート 集大成、心機一転、再出発、そして不退転
2024年6月4日 12:00 VTuber
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SINSEKAI STUDIO所属の5人組バーチャルグループ・VALIS(ヴァリス)が、2024年5月30日にZepp Shinjukuで5度目となるワンマンライブ「未来カレイドスコープ」を開催した。
2024年3月2日にサードアルバム「再現ガールフレンド」をリリース、その数日後にはメンバー・NINA(ニナ)が卒業したタイミングということもあり、どのようなライブになるか期待と不安を抱えていたファンもこの日の会場にはいただろう。いったいどんな一夜となったのか、レポートしてみたいと思う。
開演時間ピッタリに暗転し、歓声が上がるZepp Shinjuku。スクリーンには、深い森を歩いてとある洋館にたどり着く映像が流れていった。
そのままVALISの5人が静かに入場、「開幕ゼノパレード」でライブはスタートした。歪んだベースサウンドでグイグイと押し進んでいくようなこの曲には、このような歌詞が綴られている。
どうなって仕方ないと
どうやったって抜け出せないと
動けないままでいたんだ
笑ってたってなんかさ
言葉に出来ない気持ちが
溢れて止まらないからさ
行こう 怖くない
今日から生まれ変わった世界だ
いま始まるゼノパレード
NINAの卒業を経て、新しい旅立ちを期するライブ。そのスタートを切るにふさわしい言葉を、力強く歌っていく5人。
つづけて「天命系メルト」「物換星移カタルシス」を立て続けに披露していく。トラップやEDMからの影響をうけたダンストラックは、クラブイベントが多く開催されるZepp Shinjukuの音響にもマッチしているのだろう。加えてレーザーライトが所狭しと会場中を彩っていくのだから、そのゴージャスさには筆者も驚かされた。
3曲を歌い終えた段階で、CHINO(チノ)、MYU(ミュー)、NEFFY(ネフィ)、RARA(ララ)、VITTE(ヴィッテ)のメンバー5人それぞれが自己紹介。あたたかな歓声と拍手に包まれつつ、つづいてはVALISの公式noteにて展開されているオリジナルストーリー「瓦利斯飯店の日常」に引っ掛け、5人それぞれのソロ&グループでのパフォーマンスが披露されていった。
ここでひとつ書いておきたいのだが、実はこの日のライブは1曲丸々をパフォーマンスするのではなく、途中までパフォーマンスをしたタイミングで次曲へとシームレスに繋がっていく、いわばDJのように矢継ぎ早に楽曲が変わっていく流れとなっていた。
この時間では、ソロで途中までパフォーマンスを披露するといったんステージから退場し、スクリーンのなかにアバター姿となって再登場!といった具合に、「リアルとバーチャル」の両側から自身の存在をアピールしていく流れもあった。
ソロアクト→5人でのアクト→ソロアクト……と交互に繋がっていく流れのなかで、特に「猫好的トリックスター」「猫好的ショータイム」のNEFFYがメインボーカルを務めた2曲では、「にゃんはお!」の呼びかけに「にゃんはお!」と返す合いの手もさることながら、ハイトーンな声をパワフルに連発していくNEFFYに観客も大いに湧いた。
そしてこの流れを最後に締めたのは、卒業してしまったNINAのソロ楽曲「わたしトラベラー」だった。鍵盤の音色がZepp Shinjukuのなかできらめきながら、5人は穏やかな声色で歌っていった。
NINAの落とし物をみつけ、彼女がくぐっていった門を見つめる5人。スクリーンにはそんなアニメーション映像が流れ、NINAとの別れ・卒業に想いを馳せながら、第1幕は終了となった。
休憩時間を挟んでスタートした第2幕。ここで新衣装を初お披露目し、この日集まった観客も大いに沸くなか「無窮プラトニック」「焦燥アンドロイド」「遭逢ユートピア」と矢継ぎ早に歌っていった。前半と同じくクラブミュージックライクにリミックスしたサウンドに、5人はキレキレのフォーメーションダンスでこたえていく。
踊っているなかでポジションがズレたと気づけば、踊っている合間に立ち位置を自然にあわせていく。そのズレも半歩分・半身分ほどしかズレていない。筆者はこの日のライブを2階から見ていたのだが、1階の客席・フロアからでは気付きづらい素晴らしいパフォーマンスだったといえよう。
VALIS楽曲アンケート結果発表!「ライブで盛り上がる曲は?」「MVが最高な楽曲は?」など、楽曲について実施したアンケートの結果を生配信にて発表いたします!https://t.co/LyBPncb8F3ランクインした楽曲は、5/30開催の5th ONE-MAN LIVE #未来カレイドスコープ でセットリスト入り!… VALIS@ 5th ONE-MAN LIVE「未来カレイドスコープ」アーカイブ配信中! (@VALIS_Official) April 26, 2024
このあとは第1幕でのソロ楽曲とパフォーマンスよろしく、2人組デュオでのライブパフォーマンスがスタート。SNSを通したアンケートで集められた回答・結果を反映した楽曲が選曲され、「乙女的サイコパシー」「奪還シンデレラ」「熱愛フローズン」「道化師ブランケット」「相反ヴァラエティ」を披露していった。2人組となって颯爽とパフォーマンスしていく流れは、彼女らの言葉を借りれば「めくるめく魅惑のショータイム」として表現されていた。
「ここから後半戦!盛り上がっていきましょう!」というMCからスタートしたのは「革命バーチャルリアリティ」。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の一節を使ったこの曲から、クライマックスへ向けて駆け抜けていく。
「残響ヴァンデラー」「超常現象ダンスダンス」「再構成ウィーバー」「偶像ナイトメア」と、楽曲アンケートのなかでも特に人気を集めた楽曲を歌っていった。ちなみにここで歌われた5曲は、「自分にとってVALISといえばこれ!」というアンケートでトップ5を占めた曲であり、VALISの代表曲といっても過言ではない5曲である。
「自分にとってVALISといえばこれ!」という楽曲は?1位「革命バーチャルリアリティ」https://t.co/z1kY5PKAqO pic.twitter.com/jv4Ce2kQHd VALIS@ 5th ONE-MAN LIVE「未来カレイドスコープ」アーカイブ配信中! (@VALIS_Official) April 26, 2024
合いの手の声も自然と大きくなり、そんな観客のヴァイヴスをさらに盛り上げようとするVALISの5人。ここでリーダーのCHINOにトラブルが発生し、一瞬ステージから横に捌けて、再度戻ってきたのだが、右手で頭付近を抑えつつ他4人の隊列に加わった姿に、グループとしてのしたたかさを感じずにはいられなかった。この大一番で起こった突然のトラブルにも、努めて冷静に、まったく不安がる素振りもなかったのだ。
最後を飾った「偶像ナイトメア」を歌う直前、「次は最後の曲です!みんなに手伝ってほしい!」と呼びかけ、「This is VALIS!」と会場全員で合唱を促したのはなんとも心憎い演出だとおもう。加えて、この曲はこのような歌詞を綴っている。
ねぇ 偶像ナイトメア Dance to Dance
夢はまだ汚れてないよね
この場所で もう一度だけ
踊りなおさせて 輪舞曲
VALISがここまで人気曲を惜しげもなく披露していったというのは、ファンにとってみればかなり驚いたかもしれない。
事前にお題に合わせたアンケートを実施し、人気曲を目に見える形でファンにも周知させる。しかもその楽曲をライブで披露してきたこの日の5thライブを、VALISの集大成としてみることはできるだろう。
だがそれは同時に、NINAの卒業というタイミングに際し、以前までの人気曲を一同に披露することで、ある種の心機一転/再出発へと向かおうことも意味していたとおもう。
素振りや予感はライブ中一切見せていなかったのだが、この日にかける強い気持ちがライブ終演とともにフッと溢れたのだろう、すべての楽曲を歌い終え、感謝の言葉を述べようとするメンバーの声は、涙でうまく形にならなかった。
「これから5人になりますが、今まで以上に頑張ります」
スタッフやファンへの感謝をようやく言葉で象り、無事終演を迎えた。
これまで「フィジカルとバーチャル」「リアルとアニメ」を行き来しながら自身のビジュアル/姿をある程度コントロールしてきたVALISが、この日はまさに裸一貫でライブに臨んでいたのだ。集大成、心機一転、再出発、そして不退転の決意。今後のVALISがどのような道を歩むかには注目だ。
●セットリスト<第1幕>1.開幕ゼノパレード2.天命系メルト3.物換星移カタルシス4.ピカピカキャンディラブイズム ※VITTEソロ5.狂愛レゾナンス6.渇愛論 ※MYUソロ7.変異体8.I.C.E ※CHINOソロ9.DRESS.10.禁断果実 ※RARAソロ11.月輪迷宮12.猫好的トリックスター ※NEFFYソロ13.猫好的ショータイム14.わたしトラベラー【休憩時間】
<第2幕>15.無窮プラトニック16.焦燥アンドロイド17.遭逢ユートピア18.乙女的サイコパシー ※VITTE・RARA(2人)19.奪還シンデレラ ※MYU・CHINO(2人)20.熱愛フローズン ※NEFFY・MYU(2人)21.道化師ブランケット※RARA・NEFFY(2人)22.相反ヴァラエティ※CHINO・VITTE(2人)23.革命バーチャルリアリティ24.残響ヴァンデラー25.超常現象ダンスダンス26.再構成ウィーバー27.偶像ナイトメア
(TEXT by草野虹)
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...以下引用元参照
引用元:https://panora.tokyo/archives/86480