China Hero Project 第3期2弾の入選タイトルは……
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)上海が注力している企画として知られる“China Hero Project”。有望なクリエイターの支援を目的とした本プロジェクトにおいて、2023年7月27日に“China Hero Project 第3期 プレス発表会”が開催。SIEの会長兼社長の江口達雄氏などが登壇のもと、第3期2弾の入選ゲーム3タイトルが発表された。
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プレス発表会では、まずは江口達雄氏紹介のもと、SIEのインディーズ イニシアチブ代表であり、China Hero Projectの審査員のひとりでもある吉田修平氏からのビデオメッセージが紹介された。
続いて、江口達雄氏より、China Hero Projectの目的と目標について「China Hero Projectでは、プレイステーションプラットフォームの影響力を最大限に活用し、中国のすぐれたゲーム作品を世界中のプレイヤーに届けたいです」と説明された。
今回、第3期2弾入選タイトルとして発表されたのは以下の3作。
『逆神者(The God Slayer)』
開発元:Pathea Games
ジャンル:アクションRPG
発売時期:2027年
自由度の高いインタラクティブシステムと深みのあるストーリーが特徴のオープンワールドアクションRPG。戦闘や世界探索を通じてキャラクターの能力を向上させ、敵を倒し、世界を救うことが目標となる。
『従風行(The Winds Rising)』
開発元: TiGames
ジャンル:アクションRPG
発売時期:2025年~2026年
世間とは何の関係もない小さな村に住む少女が、迷子になった怪物の子との偶然の出会いをきっかけに波乱万丈の旅に乗り出し、王国全体の興亡に影響を与えることになる、アクションRPG。「プレイヤーに爽快でスムーズな戦闘体験と、没入感があり、感動的なストーリー、そして広大で変化に富んだ冒険の世界をもたらす」とのこと。
『ダバ: ウォーターマークの国(Daba:Land of waterscar)』
開発元:DarkStar Games
発売時期:発売日未定
人間の姿をした土人形が、世界崩壊の寸前にギューゲ王国の町で水のかけらの行方を辿りながら敵を倒す過程で、世界と自分自身への答えをさがす物語が展開。「ゲームには廃墟や壮大なギューゲ都市、陰惨な刑務所、巨大なキャニオン、広大な雪原、致命的な樹海とカラスの骸骨が浮遊する町など、さまざまな地形が存在する。非線形的なステージは相互に関連していながらスタイルがまったく異なり、複雑に入り組んでいる」のが特徴だという。
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ChinaJoyの会期に合わせて、ソニー・インタラクティブエンタテインメント上海の会長兼社長である江口達雄氏にインタビューを実施。中国家庭用ゲーム機市場の“いまとこれから”、そしてChina Hero Projectへの取り組みを聞いた。
China Hero Project第3期に選ばれたクリエイターが見る、中国ゲーム開発のいま
現在の中国の開発会社の水準がうかがえる、クオリティーの高いタイトルばかりであることがおわかりいただけるだろう。“China Hero Project 第3期 プレス発表会”終了後、関係者にお話をうかがう機会があったので、以下にお届けしよう。取材に応えてくださったのは以下の4名だ。
(聞き手:ファミ通グループ代表・林克彦)
包波(バオ・ボ)氏(左からふたり目)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント China Hero Project 責任者
景(シュイ・ジンヤン)氏(左端)
Pathea Games 『逆神者(The God Slayer)』プロデューサー
迅(フオン・シュイン)氏(左から3人目)
DarkStar Games CEO、『ダバ: ウォーターマークの国(Daba:Land of waterscar)』アートディレクター
(ジャーン・タオ)氏(右端)
TiGames CEO、『従風行(The Winds Rising)』プロデューサー
家庭用ゲーム機の開発に情熱を持っている中国国内のデベロッパーは数多い
――まずは、包さんにお聞きします。SIE上海ではどのようなお立場なのですか?
包波SIEのゲーム制作ディレクターで、ファーストパーティーのプロデューサーを担当しています。中国のデベロッパーと協力して、プレイステーション5用ソフトを開発するというのがおもな役割ですね。China Hero Projectのリーダーとして、プロジェクトを推進することも私の役割でして、ほかの業務もあるのですが、China Hero Projectが盛り上がってきたことで、大きな重点的な仕事になっています。China Hero Projectには、2021年12月から携わっています。
――第3期になって応募数もすごく増えたらしく、企画の質もさらに上がったとのことですが、包さんの第3期に対する手応えはいかがですか?
包波中国国内のデベロッパーさんも、いまコンソールゲームに対してとてもパッションを持っている方が多く、ゲームの企画、アート、テクノロジーなど全体的にレベルアップしています。よりプロフェッショナルな開発チームになっているんですね。China Hero Projectの応募作品にも如実にそれが反映されています。今回発表させていただいたタイトルに関しても、全世界のユーザーさんに気に入ってもらえると信じています。いずれも、売上100万本以上を獲得できるポテンシャルを持っていると思っています。SIEがしっかりとサポートすることで、プロジェクトを成功させられると考えています。
――力強いですね。では、皆さんのスタジオの特徴などを教えてください。
景重慶のPathea Gamesという会社です。ギリシア語で、“情熱”を意味する“pathos”から来た社名です。端的に言うと、ストーリーに対してパッションを持っているチームです。会社のメンバーは210人で、立ち上げてから10年経ちます。おもにPCやコンソールをメインに開発しています。最初に出したゲームはオープンワールドの『Planet Explorer』です。そのあとは、『My Time』シリーズを立ち上げました。シリーズの最新作は2022年にリリースした『きみのまち サンドロック』ですね(※)。『My Time』シリーズはワールドワイドで300万本の売上げを記録する人気IPになっています。
※日本国内では、DMM GAMESより9月26日にNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC向けに発売。
迅私たちのスタジオは、DarkStar Gamesという会社名で、2016年に立ち上げました。ユービーアイソフトやセガなど、大手のゲーム会社に所属していた創立メンバー4人が集まって設立しています。アクションゲームを作りたいということで、独立して作ったスタジオです。最初は7人のチームで、インディーゲームを作りました。2016年から2018年にかけてですね。その後、いまの『ダバ: ウォーターマークの国(Daba:Land of waterscar)』に着手して、3年くらい取り組んでいます。社員数は24名です。スタッフ数がコンパクトなため、進捗も少し遅いです。
TiGamesのプロデューサーを担当しています。China Hero Projectは第2期に続いて2回目になります。前作は、『フィスト 紅蓮城の闇』ですね。同作は、週刊ファミ通のクロスレビューで33点をいただいていまして、皆さんに感謝しています。以前までは20人のチームなのですが、いまは大きくなって50人になっています。さらに大きなタイトルに挑戦したいということで、いま『従風行(The Winds Rising)』というタイトルを制作しています。
China Hero Projectの審査に通ることは実力の証明になる
――それぞれ開発しているタイトルのことを教えてください。
景私たちは、『逆神者(The God Slayer)』というタイトルを開発しています。もともとは、中国語で“神殺し”という名前をつけていたのですが、なかなか(政府の審査が)通らずに、中国語では“逆神者”とさせていただきました。私がプロデューサーで、会社のCEOがディレクター、アート、デザイン、ストーリーを担当しています。開発の初期なのでいまの開発メンバーは30人ですが、プロダクションに入ると100人から200人のチームになると思います。2027年に完成する予定です。
『逆神者(The God Slayer)』は、オープンワールドのアクションRPGで、“オリエンタルのスティームパンク”といった趣きのゲームです。中国の明の時代で、蒸気エンジンが開発されていたら……というような世界設定です。本作は、言ってみれば復讐の物語ですね。ある日突如災いが落ちてきて、家族を失ってしまった主人公が、成長していって、最終的に世界を救うために戦うという設定です。『My Time』シリーズのDNAを大事にしながら、オープンワールドの魅力を訴求したいと思っています。主人公の決断によって、NPCのストーリーが変わったりするゲームです。
迅タイトルにある“ダバ”は、チベット語で“泥”を意味しています。『ダバ: ウォーターマークの国(Daba:Land of waterscar)』は中央アジアの文化に色濃く影響を受けた1作です。主人公は人ではなく、感情を持っていない木像で、人間性を与えられたあとに、人になるのか、それとも神への道を選ぶのかを選ぶことになります。主人公の仲間として女性が登場するのですが、ほかにも鳥族、猫族、水の中に生きている生き物など伝説にインスパイアされた種族が多数登場する、ファンタジーワールドな設定ですね。
『従風行(The Winds Rising)』は、13歳の女の子の目線で展開されるアクションゲームです。ファンタジーワールドで、家庭環境を描きながらアクションを楽しめるゲームになっています。リリースは、2025年の第4四半期、もしくは2026年の第1四半期を予定しています。
――皆さんが、China Hero Projectに応募した理由を教えてください。
景ゲームを作るということは大きなチャレンジです。クオリティーにこだわるためには、資金や期間、人員が必要になります。China Hero Projectは、それに応えてくれるものでした。さらに言えば、SIEさんのサポートがいただけるということが大きいです。また、China Hero Projectの審査に通ることで、自分たちのプロジェクトが評価されることになるので、実力の証明になると考えました。
迅私たちは、1年以上包さんと話し合いを続けてきました。チームの中心メンバーは技術者ばかりで、開発以外のことはぜんぜんわからない状態でしたので、開発以外のサポートという面で、China Hero Projectにはすごく助けてもらっています。
第2期のときにSIEさんとは良好な関係を築けていたので、第3期に応募するのも自然の流れでした。『従風行(The Winds Rising)』は本当に初期の段階かSIEさんとコラボしていて、SIEさんに深く関わってもらっているタイトルになります。
――『フィスト 紅蓮城の闇』でサポートを受けて、とくによかったところは?
いちばん助けてもらったのは、海外パブリッシングの面と、宣伝ですね。中国の開発チームは、グローバルマーケットに向けてタイトルをリリースしようとすると、どうしても海外が弱くなる傾向があります。『フィスト 紅蓮城の闇』では、北米、欧州、そして日本でも順調にリリースできて、グローバルで存在感を獲得できたのも、ひとえにSIEさんのおかげだと思っています。日本ではパッケージ版も発売できたのですが、うれしかったです。
――ちなみに、それぞれ販売目標はどれくらいですか?
景ワールドワイドで500万本を目標にしています。東洋の世界観のストーリーとして、世界のゲーマーにも親しんでいただけるのではないかと思っています。
迅本作は、国内海外問わず広く世界の皆さんに刺さるテーマを持っていると思っています。20~30時間遊べる、ダブルAクラスのタイトルを目指しています。売上は100万本が目標ですね。達成する自信はあります!
Ti Gamesは、『フィスト 紅蓮城の闇』のときもそうだったのですが、売上はあまり見ていないです。一方で、評価は気にしていて、Metacriticでは『フィスト 紅蓮城の闇』は80点を獲得しました。『従風行(The Winds Rising)』は、さらにプラス3点で、83点を目標にしています。実際のところ、83点のタイトルは、年間でも20~30しかないので、けっこうハードルが高いという認識はありますが、がんばりたいです。もうひとつの目標は、ファミ通のクロスレビューで、プラチナ殿堂入りとなる、36点以上を取りたいです!
――それはがんばってほしいです。まあ、販売本数も大事だとは思いますが、そんなには意識していないのですか?
販売本数は、赤字が出なければ……という感じです。そのためには、80万~90万本販売する必要がありますが。まあ、ファミ通で36点、Metacriticで83点取っていれば、それくらいは絶対に売れると思っています。
中国では、いまは家庭用ゲーム機の上昇期
――意気が高くていいですね。ところで、皆さんプレイステーションフォーマットでゲームを作っていますが、プレイステーションが中国でもっと広がる可能性はあると思っていますか?
これからも広がると、とても自信を持っています。中国のユーザーがコンソールゲームを遊んでいなかったのは、いままで長い期間(中国国内でコンソールゲーム機を販売することに)制限があったからです。とくに、1985年から1990年代までのゲーマーは、ほとんどコンソールゲーム機に触れておらず、PCゲームをおもに遊んでいました。中国はネットカフェが非常に多く、そこでのプレイがメインでした。そしてここ10年くらいはスマホゲームが人気です。いまは、クオリティーの高いコンソールゲームを楽しみたいと思っているユーザーが増えていて、これからプレイステーションのマーケットがどんどん広がると思っています。実際のところ、そんなプレイステーションのさらなる価値を見込んで、China Hero Projectに応募したという側面もあります。
迅そうですね。いまはコンソールゲーム市場の上昇期だと思っています。中国の若い人たちは、家でゲームを遊びたいという人がどんどん増えていて、ネットで知り合った友だちと交流するということは、けっこう身近なことになっています。かくいう私の娘も、娘の学校の友だちも、みんなゲームを遊んでいます。いま彼女たちが触れているのは、多くはモバイルゲームですが、モバイルゲームでゲームに触れて、そこからコンソールゲームに興味を持ってもらうことで、どんどんコンソールゲームユーザーが増えるのではないかと、期待しています。China Hero Projectに応募したのも、その流れを見据えてのことです。
景私は、プレイステーションの普及は、SIEさんの意志次第かなと思っています。今日の発表会で、江口さんの話を聞いて、これからもSIEさんは中国マーケットへの投資を増やしていくと思うので、宣伝も含めて普及活動をすることによって、プレイステーションの存在感がさらに高まるのではないかと思います。また、China Hero Projectが盛り上がれば、中国市場のプレイステーションの存在感もより上がるのではないかと思います。中国人のゲーマーが好きなタイトルを作って、プレイステーションでリリースして、どんどんファンを増やしていこう、という流れになるといいなと思っています。
ちなみにですが、知り合いにいままでモバイルゲームしか遊んでこなかった者がいるのですが、何かおもしろいゲームはないかと聞かれて、プレイステーションのタイトルを勧めたんですね。実際にその友だちもプレイしてみて、「モバイルゲームよりおもしろい。楽しい」ということで、以降コンソールゲームを遊び始めたという人もいます。そうして、中国全体でコンソールゲームが盛り上がっていくのではないでしょうか。
ChinaJoyのSIEブースでもChina Hero Projectのタイトルがプレイアブル出展。第2期タイトルとして選ばれた『Lost Soul Aside』などが遊べた。
――本日お話をうかがって、皆さんゲーム開発に対するモチベーションがすごく高いですし、SIE上海とも良好なコミュニケーションが取れていることがわかりました。最後に包さんにお聞きしたいのですが、これから中国市場でどうやってプレイステーションを広げていくのか教えてください。
包波私は開発の責任者ですので、開発面をメインにお話しますね。いま、SIE 上海で取り組んでいることは、グローバルで培ってきた開発のノウハウを、中国国内のデベロッパーさんたちに提供するということです。同時に海外のゲーマーさんに中国のゲームのよさを伝えていきたいです。今回発表した3タイトルのように、テーマもアートのスタイルも、中国の制作チームにしか作れないようなユニークな作品を、もっと海外のユーザーさんに知ってもらいたいです。
もうひとつ、中国本国のデベロッパーに提供したノウハウを蓄積して、開発力を高めるための教育活動も積極的に行っていきたいです。
中国独自と言えば、中国のAI技術は世界的にも進んでいますので、それをSIEのゲーム開発技術とあわせて、何かできるかなとも思っています。
これからも中国国内、そしてグローバルに向けて、積極的に中国タイトルの魅力を広めていきたいと思っていますので、中国発のプレイステーションタイトルにご期待ください。
大人数ということもあり、インタビューは会見形式で行われた。こんなところも中国流かも?
中国クリエイターの熱意が伝わるラウンドテーブルの模様をお届け
溢れるばかりの情熱でゲーム開発に取り組む、包氏および3人のクリエイターたち。“China Hero Project 第3期 プレス発表会”で行われた、China Hero Projectゆかりの開発者によるラウンドテーブルの端々からも、彼らの情熱は強く感じ取れた。セッションは、包氏から出されたテーマに対して、各クリエイターが答えていくというスタイルで行われた。
登壇したのは、China Hero Project第3期の第1弾として、5月に発表されたふたりの開発者、『空行(Will-less)』の翰林氏と、『醒刃(Awaken - Astral Blade)』の海深氏に、今回発表された、『従風行(The Winds Rising)』の氏と『ダバ: ウォーターマークの国(Daba:Land of waterscar)』の迅氏、それに司会役のSIE包波氏を加えた5名となる。
(ジャーン・タオ)氏(左からふたり目)
TiGames CEO、『従風行(The Winds Rising)』プロデューサー
迅(フオン・シュイン)氏(左から3人目)
DarkStar Games CEO 『ダバ: ウォーターマークの国(Daba:Land of waterscar)』アートディレクター
翰林(チェン・ハンリン)氏(左から4人目)
Cyaniris Game 『空行(Will-less)』プロデューサー
海深(リュウ・ハイシェン)氏(右端)
Dark Pigeon Games CEO 『醒刃(Awaken - Astral Blade)』プロダクション・ディレクター
セッションは、包氏から出されたテーマに対して、各クリエイターが答えていくというスタイルで行われた。以下、おもな発言内容をピックアップしてお届けしていこう。中国ゲーム開発者の生の声がうかがえる貴重な機会と言えるだろう。
Q.ゲーム開発のリスクとチャンスについてどう思いますか?
これはとても大きなトピックで、高品質のゲームを作るには、当然リスクも高くなります。私たちは、より早く、高いクオリティーを保証された作品を世に送り出したいと考えており、そのためには組織力を向上させる必要があります。
迅リスクとチャンスは共存するものであり、“諸刃の剣”のようなものだと思います。制作にはまだまだ苦労が多く、とくにアクションの積み重ねとなると、どうしてもアクションの面で解決しなければならない問題が多く出てきます。
私たちは何年もかけて少しずつ経験を蓄積してきました。AAAレベルの製品をサポートするには十分ではないかもしれませんが、一歩ずつ前進し、AIなどを含むUnreal Engine 5の強力なツールを使用することで、私たちが追求している、よりよい具現化、より完璧なゲームを作ることができます。 何年経っても、プレイヤーによりよいゲーム体験を届けたいと願っています。
私がもっとも感動したことのひとつは、2018年に『SINNER: Sacrifice for Redemption』が発売され、私たちが北京で開催されたイベントに参加したとき、熱心なプレイヤーが駆け寄ってきて、「中国のゲームユーザーがプレイできるように、このようなゲームを作ってくれてありがとう」と私たちのチームに言ってくれたことです。中国にはまだまだ発展の余地と展望があると思います。私たち中小チームが健全に発展し、チャンスを作ってくれたChina Hero Project』には、本当に感謝しています。
翰林私たちにとって高品質プロジェクトの最大のリスクは、高品質が高い投資を意味するということです。そして、皆さんにとって最大の混乱は、高い投資が高い売上をもたらすかどうかということです。これは、皆さんにとってもっとも現実的で最大のリスクかもしれません。 私たちにとって比較的リスクの高いことがふたつあります。
“人材確保の問題”と、“高品質なゲームの開発には、より高いレベルの研究開発だけでなく、より高いレベルの管理が必要”であるということです。
海深私たちはChina Hero Projectでも最小の開発チームですが(現在5人のチーム)、私たちにとって最大の課題はふたつあります。“エネルギーの問題”と“全体の平均年齢が少し高いこと”です。スタッフのみんなは30歳~40歳代で、開発経験が豊富な成熟したグループです。彼らはクオリティーの高いゲームを作るため経験や能力を持っていますが、一方で、若い人材に比べてエネルギーが少し不足しているかもしれません。これは私たちの課題ですが、一方で私たちにとっての挑戦でもあります。
ゲームがポピュラーになるにつれ、ゲームに対するプレイヤーの要求も高まってきています。作り手は、つねにクオリティーアップを追求していかないといけません。
私たちは、“アートリソースの表現”、“プレイヤーに、あなたのプレイしているゲームの世界観は自己矛盾がなく、誰にとってもおもしろいと感じてもらえること”、“ゲームプレイは、繊細で丸みのあるものでなければならない”といったことに注力しています。
Q.中国国内では、モバイルゲームが人気ですが、もしモバイルゲームの開発者がプレイステーションのゲームを作ることになったら、彼らと共有できる経験やアイデアはありますか?
海深モバイルゲームの開発者がプレイステーションのソフトを作りたいと思った場合、第一にスマホの性能と移植の問題を考慮する必要はありません。プレイステーション5の性能は非常に強力であり、メモリとパフォーマンスの最適化の問題を気にする必要はありません。
また、プレイステーションは非常に強力なメモリの最適化ツールや分析ツールを提供してくれるので、スマホでは実現できない効果や、実現できないクリエイティブなアイデアや思考を実現することができます。開発者としては、それはより幸せなことであり、より体験に関係するものであるべきだということが重要です。
翰林モバイルゲームとプレイステーションのゲームにはいくつかの大きな違いがあります。ひとつはビジネスモデルに大きな違いがあります。モバイルプラットフォームのおもなビジネスモデルは、基本プレイ無料が基本で、プレイステーションは売り切りが基本です。ユーザーのゲーム習慣、嗜好などもすべて異なります。
プロジェクトの時点で、どのプラットフォームがメインなのかを明確に考える必要があるかもしれません。現在ではクロスプラットフォームのプロジェクトも増えていますが、最初のうちは汎用性のある方向性で進めておいて、のちのちプレイヤーのニーズにあわせて、プラットフォームごと適応していくのがよいと思います。
また、開発の習慣にも違いがあるかもしれません。モバイルゲームはサービス志向のゲームであり、私たちはゲームの開発プロセスを通じて、非常に多くのユーザー調査やさまざまなテストなどを通して、フィードバックを受け、ゲームの調整と改善を行っていきます。一方で、プレイステーションでゲームを作るということは、より内向きの探求、自分自身への要求、プロジェクトの質をよりよくすること、これらをより大切にすることなのかもしれないと思います。
プレイステーションというプラットフォームは、私たちに非常によい機会を与えてくれます。このプラットフォームは、プレイヤーの要求が比較的シンプルで、誰もがこのプラットフォームに来て楽しいゲームをプレイすることを求めています。このプラットフォームでは、私たちはゲームプレイの楽しさと高品質にもっと集中することができる。これは開発者にとって大きな励みです。
迅コンソールゲームをプレイすることは、没入感がとても強く、ゲーム機といっしょにいるという感覚をもたらします。開発チームは、ゲームプレイを通して、プレイヤーに豊穣な体験ができるようにゲームを作っています。プレイヤーは、そのすべてを体験しながら、それを受け止める。それこそがコミュニケーションであり、とても純粋で直感的なものだと思います。
コンソールのプラットフォームでいい仕事をしたければ、そういうプラットフォームゲームをもっとプレイして、ゲームそのものがもたらす感覚を感じなければいけないと思います。モバイルプラットフォームのゲームとはまったく違う考えかた、やりかただと思いますし、プレイの仕方も違いますし、体験するものも違います。私が言いたいのはそれだけです。
ここ数年感じていることですが、私はコンソールゲームとモバイルゲームを区別せず、体験型ゲームとサービス型ゲームに分けています。 体験型ゲームというのは、開発者やクリエイター、デザイナーがプレイヤーにプレイしてほしいと思っているもので、環境やストーリー、旅を提供することです。その中に没入してもらい、開発者やゲームクリエイターが体験してほしいことを体験してもらうものだと、私は考えています。
サービス志向のゲームでは、お客様は神様です。ユーザーが何を必要としているか、プレイヤーが何を必要としているかをより考慮します。
まず、ゲームメーカーとして、サービス型のゲームを作りたいのか、体験型のゲームを作りたいのかを見極めるのかが、とくに重要です。
クリエイターが自分のクリエイティブな経験や世界観、ストーリーにそれほど自信がないのであれば、わざわざ体験型のゲームを作る必要はありません。もし誰かが自分でゲームを作りたいと思ったら、まずはこの視点で考えることです。クリエイターの立場からすると、私の個人的な理解と経験では、まずここがポイントになるのかもしれません。
Q.昨年から中国では多くのメディアが報道していますが、あるゲーム開発のチームはレイオフされ、あるプロジェクトチームは資金不足に陥っています。そんな国内のゲーム業界についてどう思いますか?
まず、私は自信があります。自信がなければ、新しいプロジェクトを始めません。プレイヤーはますます多くなり、高品質の没入型ゲームの需要がますます高くなっていきます。ひとつのプロジェクトには3年から4、5年と長い期間を要しますが、プレイヤーが私たちをサポートしてくれる限り、喜んで待っていてくれるだろうと思います。
迅実際、国内市場はよいスタート地点です。 大多数のプレイヤーのレベルやゲームをプレイするセンスはつねに向上しています。中国チームも長年にわたって多くのものを蓄積しており、発展も比較的スムーズです。さまざまな状況がありますが、私は、方向性は非常によいと思っています。
中国ゲームユーザーの、よいゲームに対する需要は非常に大きく、彼らはよりよい作品が出てくることを期待しています。China Hero Projectを始め、複数の開発者支援のプログラムがありますが、私はよい傾向だと思っています。我々は最前を尽くすべきです。
翰林私は、業界は長期的には問題ないと思いますが、最近の問題は、スマホのゲームユーザーの成長が鈍化しているため、スマホのゲームへの圧力が比較的大きくなる可能性があるということです。
とはいえ、いいゲームを作りたいと思っている開発者にとっては、よい仕事ができる最高のチャンスです。モバイルでゲームの楽しさを知ったプレイヤーは、さらに高品質なゲームを求めています。
海深政策や市場、資本など、業界に影響を与える要因はたくさんあります。 とはいえ、業界には活力があり、ユーザーは成長しています。我々は、ゲーム業界の未来に対して自信を持っています。たとえば、我々はゲーム業界の発展と技術革新、AIの発展、5G、空間コンピューティングの発展と大いに関係があります。ゲーム業界の未来には、多くの機会があるのです。
業界に関係なく、どのチームもそれぞれの困難に遭遇するでしょう。私たちはいま困難に直面しています。中国の哲学は道を見つけることです。それは私たちがそれを維持することができるように、それを行うことができるようにするための、非常に重要な柱です。 少なくとも、私はこの業界に自信を持っています。
最後に、包氏が「私たちひとりひとりは孤独な戦士ではなく、皆それぞれ仲間がいて、どんどんよくなると信じていますし、高品質のゲームは私たちの国の文化を代表するものでもあります」と語り、セッションは幕を閉じた。
...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202308/18313594.html