フロム・ソフトウェアよりプレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam)向けに発売された『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン)。
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2023年8月25日、10年ぶりのシリーズ最新作がついに発売された。すでに独立傭兵としてルビコン3の戦場に降り立っている人も多いだろう。
この記念すべき日を忘れることのないよう、フロム・ソフトウェアを代表するシリーズの最新作を、10年という時を経て実現させたキーパーソンのインタビューをお届けする。
ディレクターを務めた山村優氏とプロデューサーの小倉康敬氏。このふたりと開発スタッフたちの熱意と尽力が、レイヴンたちの“夢”の実現をけん引したと言っていい。
本記事では、山村氏と小倉氏がゲームに込めた想いだけでなく、初めて『アーマード・コア』に触れる方や行き詰まったときに見直すべきポイントまで、たっぷりと語っていただいた。プレイする前に一読しておくことをオススメする。
山村優(やまむら・まさる)
『DARK SOULS(ダークソウル)』、『Bloodborne(ブラッドボーン)』のプランナーを経て『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』のリード・ゲームデザイナーを担当。本作でディレクターに就任。
小倉康敬(おぐら・やすのり)
フロム・ソフトウェアでは長きにわたって『アーマード・コア』シリーズなど数多くのタイトルプロモーションに携わる。本作ではプロデューサーを担当。
――いよいよ発売を迎えましたが、いまのお気持ちをお聞かせください。
小倉前作から10年という長い期間が空いてしまいましたが、ようやくユーザーの皆さんにお届けできるという喜びを噛みしめています。
山村本作を待っていただいたユーザーの皆さんにはもちろん、これまで黙してひたすら作り続けてくれたスタッフたちに対しても、ようやく世に出せることをうれしく思っています。
一方で『アーマード・コア』は歴史あるタイトルなので、シリーズのナンバリングに恥じないものになっているかどうか、その審判を待っているような心持ちでもありますね。
――発売前に全国各地で体験会を実施されましたが、ユーザーの反響はいかがでしたか?
小倉おかげさまで多数のユーザーの皆さんに足を運んでいただき、とても感謝しています。体験いただいた方々が笑顔でプレイされているところを見て、こちらもうれしくなりました。
そんな中で、早朝から長蛇の列でお待たせしてしまうことになったり、各店舗での判断から試遊整理券が予定を変更しての配布となったりと、ご参加いただいた皆さんにはたいへんご迷惑をおかけしました。この場を借りて、あらためてお詫びいたします。
山村実際にプレイしていただいたユーザーさんから「おもしろかった」と言っていただけたのは、本当に励みになりました。
10年ぶりの『AC』というのはゼロからの新作にも近く、私たちがやってきたことの是非はフタを開けてみるまでわからないと思っていたので、なおさらうれしかったですね。
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8月18日に行われた“ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON”SPECIAL BRIEFING”をリポート。トークステージでは、初公開のミッションを初見でクリア―する“リアル強化人間”な方も登壇。
――事前にプレイさせていただいたときにも思ったのですが、チャプター1ではチュートリアル的なミッションから、いきなり強敵が現れました。最初にユーザーが超えるべき“壁”を作るのは、フロム・ソフトウェアらしさと捉えていいでしょうか?
山村そうですね。近年の弊社タイトルだと、最初のボスは負けてもゲームが進行するチャレンジ要素であることも多かったと思いますが、今回は突破していただくことにしました。これまでとは違った立ち回りが求められる新しいゲームなので、そこは最初にお伝えしておこうかなと。
――前作から10年が空いたこともあり、シリーズを体験したことのないユーザーは多いと思います。そういった方がネットなどで情報を得て、「『AC』は難しそう」という印象を持つこともあると思うのですが、そんなユーザーにはどのような点に注目してほしいでしょうか?
山村そこについて言うと、本作では操作がなるべく直感的になるよう整理していますし、“ターゲットアシスト”という機能も実装しています。
これをONにしていただければ、画面内かつ一定距離内にいる敵を自動で注視するようになるので、カメラ操作でのエイム技術に自信がない方や、あるいはキャラクターを動かすこと自体を楽しみたいという方でも遊べるようになっています。もちろんOFFにもできるので、状況や技量に応じて使い分けていただきたいですね。
――舞台が外惑星となったことには世界観を広げるという意味合いもあったかと思いますが、この舞台設定は、ゲームのストーリーやレベルデザインにも影響を与えたのでしょうか?
山村やはり自由度は上がっていますね。設定を詰めていくのはたいへんでしたが、まずはゲーム優先でスケールの大きい体験を考えていくのには有効だったと思います。
たとえば、本作の舞台となる惑星・ルビコン3には“グリッド”という地表を覆うような超高層輸送網が点在しているのですが、そういったメガストラクチャーのマップ設計はスタッフも楽しんでやっていました。
――バトルには手触りや操作方法なども含めて、昨今のアクションゲームのエッセンスも取り入れられていて、非常に爽快感がありました。こだわったポイントを教えてください。また、本作で目指した“『AC』ならではのアクション”とはどのようなものでしょうか?
山村本作に限らずこだわっているのは、テンポやリズムの緩急といった概念でしょうか。モーションのタメツメやエフェクト、SEはアクションゲームを作る以上、おろそかにできないところですし、手触りをよくしておかないとリトライも苦行になってしまいます。
また“『AC』ならではのアクション”について言うと、やはりそこは「人間のキャラクターではできないことをやる」というのがポイントになります。地上と空中を自在に行き来する三次元の高機動戦や、複数武器の並列使用がそれに当たりますね。ここは弊社の近年のタイトルを気に入ってくださった方々にも新しい刺激的な体験になるはずなので、おすすめしていきたいところです。
――スタッガーと衝撃力は本作のバトルにおいて重要なポイントであり、スリリングな展開を生み出す“発明”と思ったのですが、そもそもどのような発想から生まれたのでしょうか?
山村まずひとつに“バトルが決着するまでの過程にも感情が動く瞬間を作りたかった”という考えがありました。敵をスタッガーに陥らせて直撃を取りに行くときの「いまだ!」という感覚や、そのあいだに最大火力を叩き込む高揚感、こういった感情の動きが発生することを狙ったものです。
もうひとつは、メカならではの“複数武器の並列使用”とのシナジーを生み出す狙いがありました。本作では両手両肩の4武器を組み合わせることで、スタッガーから直撃に至る自分だけの攻撃パターンを構築することができるようになっています。ぜひ創意工夫を凝らして、その試行錯誤を楽しんでいただきたいですね。
――手応えのあるボス戦には、ある意味でフロム・ソフトウェアらしさを感じました。それに対して、通常のミッションは適度な難度であり、非常にメリハリのある展開が楽しめます。このレベルデザインのコンセプトは?
山村そこについては「ゲーム全体の流れにも緩急を付けよう」という考えが根底にありましたね。すべてのミッションが死闘だと立てるべきところが立たなくなってしまいますし、ACだと自機の戦闘性能が高いので、そもそも雑魚エネミーは脅威にしづらいという特性もあったりします。
山村そこで、節目となる重要ミッション以外ではむしろ敵の集団を蹴散らしていく爽快感や、そのミッションならではの体験になっていることを重視してきました。
――ノーリスクでリトライが可能で、ゲームオーバーにデメリットはなく、アセンブルを変えて挑戦できます。回復や落下した際の仕様(APは減るけれど落下直前の場所からリスタート)など、全体的に「ユーザーにやさしくしている」という印象を受けました。
山村そうですね。弊社は達成感を得るための難しさは必要なものと考えていますが、ユーザーの皆さんに面倒を強いたいわけではありません。
ある種の手間が独特の味わいになるケースもあるので一概には言えませんが、リトライ性はできるだけ高くしようという方針ではありました。
――本作の武器、アセンブルのパーツなどはどれくらいの数が用意されているのでしょうか? また、武器やパーツの実装はどのようにして決めたのでしょうか?
山村武器の左右差分も含めると300程度のパーツが存在し、実装検討においては“多様性”がまず意識されています。
メカと言ってもミリタリーから宇宙SF、軽量機から重量機までユーザーの皆さんの好みがいろいろあるでしょうから、それにできるだけお応えするべくバランス配分の検討から入っている形ですね。
――個人的にはブレードのような近接武器のバリエーション、なぜパンチができるようにしたのかもお聞きしたいのですが……。
山村近接武器については13種類あり、モーションがひとつずつ異なる“1カテゴリ1武器”という状況になっています。
補助ブースタを噴かせて高速突撃できるレーザーランスや、敵を帯電させて強制放電を引き起こすスタンバトンなど、いずれも個性を重視して作ってきたので、ぜひ触ってみていただきたいです。
山村パンチは「素手のときも何かしら入力に反応してくれたほうがいいよね」という雑談レベルの議論から実装されたものです。あくまでおまけのつもりで入れた要素でしたが、あるミッションをテストプレイしていて、ボスACを全武器弾切れからのパンチで撃破したときは「こういうこともあるのか」と思いましたね(笑)。
――武器によって挙動や反動が変わるなど、モーションにも力が入っていると感じたのですが、こだわったポイントはありますか?
山村そうですね。本作には、アセンブルができるだけ自機の手触りに反映されるようにしようという方針があり、武器にもなるべくカテゴリごとの個性が出るよう努めてきました。
銃を構えて撃つという動作は演技の幅が出しづらく、演技を付けすぎるとメカらしさが失われていくので、当初はモーションデザイナーといっしょに悩んでいました。それでも自機班が協力してモーションとキャラ制御、パーツギミックおよびエフェクトやSEといったトータルでの調整で、さりげなくしっかり効いてくる手触りの差別化を進めてくれました。
――チャプター1のボス戦だけでも多彩な攻撃や挙動が楽しめました。どのようなコンセプトでボス戦を作られたのでしょうか?
山村自機が飛べるので、多くのボスは立体的な回避方法を要求するような攻撃パターンになっています。地上爆撃のような上昇すれば対処できるシンプルなものから、上昇後に空中での左右回避が求められるような連続攻撃まで、パターンはさまざまです。
山村対処できるようになったら、おのずとゲームプレイの見栄えもよくなっていくので、過去の『AC』以上にスゴ腕パイロットになった感覚を得ていただけるものと思います。
――OSとアリーナの結びつきという、新たな遊びもあります。機能拡張はある意味で本作らしい成長要素ですね。
山村OS強化とアリーナにはふたつの狙いがあります。ひとつはアセンブルとミッションの往復以外にも補助となるゲームサイクルを提供したいというものです。
OS強化はアクションのアンロックやパラメータ補正の向上など、機体構成を問わず反映される成長要素になっていますし、アリーナでは過去作同様にパイロットの背景についてフレーバーテキストが読めるようにもなっています。メインのゲームサイクルに対してちょっとした変化を与えてくれる要素になっているんじゃないかと。
もうひとつの狙いは“最初からできるアクションを減らす”というものでした。『AC』はやれることの多いゲームなので、「これは最初からお出しするには情報量が多すぎる」と判断したアクションについては、OS強化での解禁機能に置くことにしました。
――スピーディーで緊張感のある戦闘、ユーザーのアイデアを可能な限り実現するアセンブル、入り組んだダンジョンや広大なフィールドなど、本作の魅力はさまざまですが、開発でとくに時間をかけた要素は何でしょうか?
山村どのパートもこだわりを持って時間をかけて作ってくれましたが、もっとも多くのスタッフがパワーを投入したのは、やはり自機になるかと思います。
開発終盤ではエネミーを調整してきたスタッフが自機ミサイルの弾丸挙動調整を手伝ってくれたり、デザイナーやグラフィッカーも限られた工数の中でパーツを増やす提案をくれたり、主役であるACを盛り立てるために責任分野を超えた協力をしてくれました。
――本作において、いままでの『AC』から変わらないよう引き継いだ要素をお聞かせください。
山村そうですね。そこは“アセンブル”と“ミッション”になるかと思います。
とくにアセンブルは『アーマード・コア』の本質と考えていて、ゲームのメカニクスというだけでなく、作戦に応じて機体構成を変えていく“プロの傭兵らしさ”といったフレーバーも込みで世界観を支えてくれている要素だと思っています。
ミッションについては、まったく異なるフォーマットでのゲームサイクルも考えられる部分とは思っていますが、本作では『アーマード・コア フォーアンサー』以前のブリーフィングで気持ちを高めてから出撃する流れが好きだったこともあり、復活させたうえで踏襲しています。
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――あらためてオンライン要素の詳細、ルールなどをご説明いただけますでしょうか?
山村オンライン要素については、過去作同様の対戦モードを用意しています。
シングルプレイのキャンペーンモードを進めていただいて、アセンブルの幅が増えてくるあたりで解禁されるようになっていますね。
ルールは1対1のシングル戦と3対3のチーム戦があります。後者ではリスポン制を採用しており、試合時間内で稼いだ撃破ポイントで勝敗が決まります。リスポン制の採用については開発内部でも議論があったのですが、現代において固定チームを組まなくてもカジュアルに楽しめるようにするには、撃破されたあともゲームに参加できたほうがいいだろうということで、こうなっています。
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――本作で初めて『AC』をプレイするユーザーに、アセンブルのコツや戦闘のポイント、手詰まりを感じたときの解決策などを教えてください。
山村アセンブルについては、“ジェネレータ”をまずはいいものに変えるのが伝統的に有効だったりします。“EN容量”というパラメータが一般的なアクションゲームでのスタミナに当たるので、これが多いものを選んでおけば移動や回避の安心感が増します。
手詰まりを感じたときは、思い切ってガラッと機体構成を変えてみることをおすすめします。「いつ何時、いかなる作戦であっても俺はこの機体で行く」というプレイスタイルも味わい深いものですが、少なくとも武器は作戦に応じて持ち換えていただくことを前提としたバランスになっています。
ちなみに、ショップでは買値と同額でパーツを売却できるので、資金が足りないときは売り買いも活用して傭兵らしいやりくりをしていただきたいところです。
最後に戦闘のポイントですが、ACは銃撃戦がメインである以上、じっくり敵の攻撃が終わるのを待っていると一方的に消耗していくことがほとんどです。
本作でもそこは変わらないので、ピンチに陥ったときこそ攻撃性を前面に出して、「やられる前にやる」の精神で立ち向かっていただけると活路が見出せるものと思います。
――『ACVI』はロボット(メカ)アクションの新しい可能性を提示する作品であり、本作でロボットアクションを初めてプレイするユーザーも多いと思います。
小倉人間のキャラクターには真似できないメカならではのアクションが楽しめますので、上昇や飛行、急接近といったダイナミックな挙動でステージを自由に駆け回ってください。
また、アセンブルは奥深く複雑な側面もありますが、武器を変えるだけでも攻撃パターンが変わりますし、アクションも変化しますので、自分の好みに合わせて気軽にそして自由にアセンブルを試してもらえると幸いです。
山村アクション以外のところで言うと、アセンブルとペイント機能をぜひ楽しんでいただきたいですね。
山村『AC』というゲームは、メカ自体に特段の思い入れや知識がなかったとしても、キャラメイクのあるゲームが好きな方や、なんらかの形で自分らしさを表現したいと思っている方には、必ずや楽しんでいただけるものと思っています。というのも、26年前に初代『AC』を手に取ったときの私がまさにそうでしたから。
そして、試行錯誤して組み上げた自分だけの機体には、ミッションで苦楽を共にするうちに愛着がどんどん湧いてくるものです。本作を通じて、そういったところからメカジャンルにも興味を持っていただけたら、とてもうれしいですね。
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202308/25314191.html