2023年11月9日にセガよりリリース予定の、PS5、PS 4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Windows/Steam)用ソフト『龍が如く7外伝 名を消した男』(以下、『龍7外伝』)。
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本作は『龍が如く6 命の詩。』(以下、『龍6』)で表舞台から姿を消した桐生一馬が、『龍が如く7 光と闇の行方』で春日一番と出会い、『龍が如く8』(以下、『龍8』)にいたるまでにどのような人生を生きてきたが描かれる作品だ。
また、『龍7』はRPGのシステムを採用していたが、本作は『龍が如く』シリーズ新作としてはひさびさのアクションで戦うタイトルとなっている。そんな『龍7外伝』の発売を約2ヵ月後に控える中、『龍7外伝』制作のカギを握るおふたりにインタビューを実施。本作開発の経緯や、開発中のエピソードなどについて語っていただいた。
阪本寛之氏(さかもと ひろゆき)
『龍が如く』シリーズのチーフプロデューサー。シリーズ最初期からチームに参加し、プランナー、『龍が如く 維新!』や『龍6』などのディレクターを経て、シリーズを統括する立場である現職へ。大のプロレスファンでもある。
堀井亮佑氏(ほりい りょうすけ)
『龍が如く』シリーズのチーフディレクター。『龍が如く2』からチームに参加し、趣味のカラオケをミニゲームとしてゲーム化する立役者となった。以降もさまざまな立場でシリーズ作を開発。『龍8』のディレクターも務める。
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※Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Windows/Steam)版はダウンロード専売
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『龍が如く8』の制作途中で開発が決まった『龍7外伝』
バトルシステムは“最新の桐生一馬”にふさわしいものに
プレイスポットにおいても、出し惜しみはなし!
本作を経て『龍8』へ
『龍が如く8』の制作途中で開発が決まった『龍7外伝』
――リリースが近付いてきた『龍7外伝』ですが、まずは制作にいたるまでの経緯を、改めて教えていただけますか?
阪本じつは『龍7外伝』の企画が立ち上がる前から、『龍が如く8』(以下、『龍8』)の制作は始まっていました。『龍8』はご存知のように、春日一番と桐生一馬のダブル主人公という形で進行する、『龍が如く7 光と闇の行方』(以下、『龍7』)と地続きの物語です。ただ、『龍7』から新しく遊び始めてくださった方からすると、「桐生一馬の人となりがわかりにくいかもしれないな……」という想いはあって。「ジャンルがRPGになったから、初めて(『龍が如く』シリーズを)遊んでみた」というお客様は、日本でも国外でもけっこう多かったですし、実際にそういった意見をいただくこともありました。
――なるほど。『龍7』から入った方は、確かに桐生のことがよくわからないかもしれません。
阪本ええ。『龍7』から遊び始めた方からすると、桐生一馬は突然現れた助っ人だし、いきなりレジェンド的な扱いでしたから。また、シリーズを遊んでいた方からしても、彼は『龍6』で表舞台からフェードアウトした人間です。だからこそ、ダブル主人公である『龍8』を作る前に、「『龍6』の物語の後に桐生が何をしていたのか、というブリッジ的な部分をちゃんと明かした方がいいだろう」ということになりました。
堀井それが、『龍8』の開発が中盤にさしかかる前くらいのことでした。
阪本最初は、『龍7』を遊んだ方向けのダウンロードコンテンツとして、もっとコンパクトな形にすることも模索していました。ただ、『龍6』の後の桐生を描くならやはりアクションになるべきだし、桐生が主人公のアクションって……久しぶりじゃないですか。
――そうですね。最近の龍が如くスタジオのアクション完全新作と言えば、『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』でしたから。
阪本ですので、さすがにダウンロードコンテンツくらいの規模ではご満足いただけないんじゃないかな、と。実際にリサーチしてみると、桐生が主人公のアクションに対する期待も大きかったんです。そこで、“『龍8』が出る前”というけっこう限られたタイミングにリリースするものとして、もっともいい形は外伝を出すことだと考え、ボリュームやクオリティーを精一杯高めていきました。
――なるほど。ちなみに『龍が如く 維新! 極』ではアンリアルエンジンを採用されていましたが、今回、『龍7外伝』に使うエンジンを悩んだりはしましたか?
阪本『龍7外伝』は、大阪の蒼天堀と、キャッスルという新しい舞台が中心になります。また、レスポンスよく開発しなければならなかったという経緯もあり、「ドラゴンエンジンという慣れ親しんだもので、最大限のパフォーマンスを出した方がいいだろう」ということで、ドラゴンエンジンで制作しています。
――バトルに関しては、『龍が如く』シリーズから『JUDGE EYES』シリーズに受け継がれていったものを、そのまま進化させていく、というイメージだったのですか?
阪本そうですね。直近だと我々は『LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶』で、主人公は違えども、街中でのフルコンタクトアクションゲームを作りました。その延長線上で、『龍7外伝』のアクションをどう新しくできるか? というところに、龍が如くスタジオ全体で取り組みました。
――そのあたりは、堀井さんがディレクションを行っているのですよね?
阪本堀井はシリーズのチーフディレクターなので、最初はがっつり『龍8』の開発をしていました。
堀井『龍8』の途中で『龍7外伝』のプロジェクトが立ち上がったので、よきタイミングで合流しました。『龍7外伝』は、桐生の空白期間をしっかり描いて『龍8』の物語にさらに感情移入していただくことを大きな目的としているプロジェクトです。その実現のためには、『龍7外伝』と『龍8』の2作品を、ひとつの体験として不整合なくつながるようにゲームを作る必要があります。それを主導するのは、『龍8』を知り尽くしているディレクターの僕が最適だろうということになり、どちらも指揮をとることになったという形です。
――並行して2本をディレクションは……たいへんそうです。
堀井想像以上にたいへんで、バグの報告をチェックしていると「これはどっちのバグだっけ?」みたいなことが起きたりもしましたね(笑)。でも、両方同時に作っているからこそ気づけるところや仕込める遊びもたくさんありましたし、その辺りのメリットは作品にも反映されていると思います。
――『龍7外伝』から『龍8』へのつながりは、先日公開された『龍7外伝』セカンドトレーラーでもかなり意識されていたような気がします。セカンドトレーラーには、まだ詳細が公開されていない『龍8』の物語に絡みそうなセリフも入っていて驚きました。
阪本そうですね(笑)。間もなく開催されるRGG SUMMIT FALL 2023では、より多くのことが公開される予定ですので、楽しみにしていただければと思います。
バトルシステムは“最新の桐生一馬”にふさわしいものに
――続いてバトルのお話を深掘りしていきたいと思います。今回は、バトルシステム全体がブラッシュアップされたのと同時に、 “エージェント”というバトルスタイルが追加されることになりました。このあたりについて、開発の流れを教えていただけますか。
阪本脚本はもちろん先行して作っていて、桐生が大道寺一派のエージェントになるということになったわけですが。それに合わせて「どういう桐生の最新アクションを作ろうか?」となったとき、彼がエージェントであるという物語の建付けがある以上、アクションでもエージェント感が楽しめるものにしたかったんです。そこでいろいろ考えて、エージェントのアクションを『龍が如く』式に落とし込んだという感じですね。
――トライ&エラーをたくさんくり返して?
阪本たくさんやりましたね。それこそ、ガジェットだらけにしてみたりとか。ただ……たとえば、使用回数制限のある強力なロケットランチャーみたいなガジェットをいっぱい増やしても、通常時のアクションが変わらなければおもしろさにつながらないですから。
堀井エージェントスタイルはガジェットを使うわけですが、そもそも『龍が如く』シリーズはバトルで路上の看板など、いろいろなものを使って戦えるタイトルです。ですので、それらとは一線を画したガジェットでないと意味がない。そうでないと、結局、「そこにあるもので殴るのと同じじゃないか」となってしまいますからね。
――確かにそうですね。
堀井やっぱり『龍が如く』なので、まず基本のスタイルとして、ザ・桐生一馬といった感じの王道の“応龍”は絶対に必要。新規のエージェントはそれに対するものという考えかたで作っています。応龍は必然的に力強いスタイルになるはずなので、エージェントはスタイリッシュで、手数が多くて素早く動ける感じかな……というようにコンセプトを固めていきました。そのコンセプトにマッチするのは? という視点で、ガジェットのアイデアを出していきました。
――なるほど。
堀井いろいろなアイデアが出てきた中で、通常のバトルアクションを邪魔せず、うまく組み合わせる発展性がある要素に絞っていって……最終的に蜘蛛、蛇、蛍、蜂の4種類に絞られたんです。
――たくさんのアイデアがあったでしょうから、削るのはたいへんでしたよね。
堀井はい。たくさんの種類のガジェットを入れることも考えましたが、数が増えれば増えるほど覚えることが多くなるし切り換えも面倒になるので、結局使わなくなってしまったりするじゃないですか。『龍が如く』シリーズのファンの方には、ゲームはそこまで得意じゃないという方も多いですし、それこそ、『龍7外伝』で初めて桐生一馬を使う方もいます。そういう方々にも遊んでいただきたいゲームなので、気軽にワンボタンで切り換えればいいとか、ボタンを長押しすれば出るとか、そういう単純な設計でまとめたかったんです。それを考えると、ガジェット数は4つくらいが限界だろうなと判断しました。
――そうですね。4つであれば、覚えやすくて使いやすいと思います。
堀井そのなかでも敵を絡め取って距離感を変えられる蜘蛛は、最初に採用したガジェットです。入れるとバトルの戦略が広がりそうだな、と思って。蜘蛛のような距離感に絡む遊びって、いままでの『龍が如く』シリーズにはなかったものなので。
――確かに! 今回のインタビュー前に、『龍7外伝』を少し体験させてもらったのですが、敵を掴んで、ほかの敵に「こっちに来るな!」と叩きつけられたのが印象的でした。いままでは近付いて殴ることが基本で、敵を遠くに追いやるような行動はあまりできませんでしたから。
堀井そうなんですよ。蜘蛛があると従来の桐生一馬的な、“近づいて行動する”をくり返すという戦いかたとは違ったバトル戦略が楽しめるんです。
阪本蜘蛛で言うと、蒼天堀に置いてある電飾看板を引き寄せて、それを掴んで殴る……なんてことをすると、かなり『龍が如く』らしいですし、かっこいいんですよ。いままではわざわざ歩いて拾っていたわけですからね。このあたりは、うまく既存のバトルシステムとハイブリッドされていると思います。
――細かい部分なのですが、物を拾う動きも刷新されていましたね。落ちているものを蹴り上げてキャッチするというアクションがありました。
阪本そうですね。いままではしゃがんで拾ってたけれど、よりカッコよくなるように拾いかたを変えたり。そういったアップデートはもちろん行っています。
――エージェントスタイルはまったく新しいシステムですから、開発がたいへんだったのではないですか?
堀井新しい制御なのでそもそもたいへんではあったのですが、どこに着地するかの判断も難しかったですね。たとえば蜘蛛の場合でも、当初は敵をひとり捕まえて引き剥がす……みたいなことができるだけでいいかな、という感じだったんです。ただ実際に作ってみると、大勢の敵を前にしたときに「同時に何人も引き剥がせたらいいよね」、「それなら物も拾ったりできたらいいね」というような意見や欲がどんどん現場から出てくる。本作のバトルのコンセプトとして“最新・最強の桐生一馬”を作ることを目指していましたし、龍が如くチームとしてお送りする最新のアクション作品になるわけですから、いままでより一段階上がった手触りにしたい。だから、作るのはたいへんでもできるだけいろいろできるようにしようぜ、という感じで……チームのみんなのがんばりの結晶です。
阪本あとは、細かい部分の調整は苦労しましたね。具体的には、コンボのときにこの技は割り込める、この技は割り込めないとか、そういう調整です。とくに蜘蛛は大人数を処理できるので、メリットとデメリットのバランスをしっかり取らなければならなくて。かと言って「うまく技を出せないと、ダメージを受けます」みたいなピーキーなバランスにしてしまっては、初心者の方が爽快感を得られないですから。
――いわゆるガチャプレイでも楽しめるのが、『龍が如く』シリーズのよさですしね。
阪本新スタイルが入った影響もありますが、いろいろなタイプのプレイヤーがアクションで壮快感を得られるようにするチューニングについては、過去のシリーズよりもかなり細やかにチェックをしましたし、たいへんだった部分です。8月に開催されたGamescomでのデモ版の試遊では皆さんが違和感を持たずふつうに操作してくれていたので、デモの段階ではチューニング成功だったのかな、と思います。
――バトル関連の新要素としては、アルティメットカウンターも入りましたね。
阪本アルティメットカウンターは、『LOST JUDGMENT』のモータルリバーサル的な要素を逆輸入したものです。ボス戦で抑揚を付けるためには、いいとこ取りをすべきだろうと思い、今回の『龍7外伝』にも入れました。
プレイスポットにおいても、出し惜しみはなし!
――続いては、プレイスポットについて伺って行こうと思います。今回のキャバクラはオーディションを行って、採用者は実写での出演となったわけですが、その形になるまでの経緯について教えてください。
阪本久しぶりの桐生一馬単独主人公なので、龍が如くの遊びの原点をもう一度盛り上げようと意識しました。そこでキャバクラの復活になったわけですが、いままで通りの作りでは驚きが少ないだろうと。『龍7外伝』を企画した段階で「(キャバ嬢は)実写で」と書いていたので、実写は最初から決めていました。なので、生キャバ嬢オーディションの段階で、あえて“生キャバ”と謳っていたわけです。
堀井やっぱりいままでとは違うぞ、と感じてもらえるようなパンチが欲しいですからね。
阪本ただ、撮影は地獄でしたね。ほぼ休憩なしで、早朝から夜にかけて実写シーンをとにかく撮影し続けるという……(苦笑)。もちろん、キャストの方々もたいへんだったと思うのですが、撮影クルーも本当にたいへんでした。
――うわあ……。
阪本ゲームで遊んでいただくとわかるのですが、実写映像だとごまかしがきかないので、基本的に一発撮りなんです。いつものように声だけの収録なら何パターンも撮って後で編集できるのですが、実写映像はNGになると最初から撮りなおす必要がありますからね。だからもう、キャストの方々のがんばりも含めて楽しんでください(笑)。
――楽しみにしています! キャバ嬢たちの所作も、かなりリアルになっていると聞きました。
阪本そうです。合格者のあゆさんが現役のキャバ嬢なので、いまのキャバクラの所作についてにいろいろ教えてもらいまして。「氷をかき混ぜるときは、“帰ってほしくないから、時間を巻き戻したい”という意味合いを込めて、反時計回りに回します」とか。
堀井エモい!
阪本ほかにも、リアルな映像だからこそ、細かな所作にもこだわっているので、臨場感はかなりあると思います。
―― “例のプール”で撮影されているところもツボでした。
阪本セカンドトレーラーでも公開している“例のプール”は、キャバ嬢を攻略した後のご褒美映像ですね。半端にナイトプールみたいなところを選ぶより、ザ・“例のプール“の方が盛り上がるんじゃないかな? と。
――いいと思います! ちなみにキャバクラは、大人の遊び場になっている謎のコンテナ船の“キャッスル”にありましたが、ほかの街にはないのですか?
堀井蒼天堀にもキャバクラはあります。キャッスルのキャバクラに3人、残りふたりは蒼天堀のキャバクラに在籍しているという感じです。
――ちなみに、キャッスルという新しいマップを作ることになったのは、どういった流れで決まったのですか?
阪本本作は物語の進行上、関西がおもな舞台になります。そしてストーリー的に、“関西にあるけれど世の中に知れ渡っていない、限られた者だけが知る娯楽施設”みたいな場所がほしくて。結果的に、謎のコンテナ船というアイデアを採用しました。昔の『龍が如く』に登場した、“賽の河原”の発展版みたいな感じですね。
――コンテナ船の中に、ドカンと城が建っているのを見て、ちょっと『龍が如く2』を思い出しました。
阪本「コンテナ船にある新しい娯楽施設にふさわしい象徴的なモニュメントってなんだろう?」と考えていたのですが、やっぱり『龍が如く2』の城のインパクトが強くあって……もう一度、城じゃないかなと(笑)。
――まあ、そうですよね(笑)。
――そんなキャッスルの中にある闘技場ですが、ついに対多人数の戦闘も追加されました。
堀井技術面の進歩を分かりやすくお伝えする意味でも、“敵を同時にいっぱい出す”という点が今回のバトルシステムの挑戦のテーマのひとつでした。それをどうやって活かすかを練っていたときに、敵を増やすだけでなく味方も増やすことで、多人数対多人数のチームバトルもおもしろく作れるんじゃないかという話になって。お祭感も出ておもしろそうですし、いままできちんと挑戦したことのなかった分野なので、闘技場に盛り込むことにしました。
――驚いたのが、けっこうな人数のプレイアブルキャラクターがいることです。デジタルプレオーダー特典で付く真島吾朗や冴島大河、堂島大吾はもちろん、ワケわからない人たちも含めて(笑)。
堀井そうですね、全員操作できます。
――戦えることはわかっていましたが、操作できるとは思っていませんでした!
阪本あくまでも闘技場の中でのフィーチャーなので、伝えかたが難しいところでした。
――全員を操作できるようにするのはたいへんだったのではないですか?
堀井じつは、もともと『龍が如く』シリーズは、開発機では他キャラクターも操作できるようになっているんです。実際に敵キャラの調整も、スタッフどうしで操作して戦い合う中で行ったりもしています。ですので、仕組み的にはできることはわかっていたので、「どうせなら真島たちもプレイヤーが動かせるようにしてみようか?」みたいな感じで、徐々に入れていきました。強いキャラが動かせると、弱いキャラも動かしたくなってきたので、「どうせならコンビニ店員とかも動かせるようにしちゃおうか?」とアイデアが発展していって(笑)。
――(笑)。
堀井せっかく操作できる環境はあるんだし、闘技場という限られた場所なら変に開発側で縛らずに操作できたほうがいいよね、という。完全に遊び心ですね。「どうせならやっちゃおうか」みたいな感じで、結果40人くらいが操作できるようになりました。
阪本鶏は意外と強いよね。
堀井鶏は強いですね。ヤッピーくんも強い。
阪本ヤッピーくんはチェーンソー持っていますからねえ。そもそも初期スペックが違いすぎるだろうと思いつつ、お祭り感が出ればいいかなって(笑)。ひさしぶりのアクション作品ということもあり、「我々が持てるアクションの要素を出し惜しみするのはやめよう」という考えかたで開発した点も、闘技場のプレイアブルキャラクターが増えた一因ではあると思います。
――個人的に、プレイアブルの堂島大吾にかなり興味を惹かれています。
阪本いままでないですからね。だから、ちょっとビビっているところもあります。大吾の評価が変わったりしないといいな、って(笑)。
――大吾はファンも多いので、弱いのはちょっと……(笑)。ただ、弱いキャラクターがいても、それはそれでいい仕組みですよね。
堀井そうなんです。弱いキャラクターは本当に弱いんですけど、彼らを強くして全体のバランスを取るのも違いますし。逆に弱いキャラを使った後だと「桐生って本当に使いやすいんだな」と感心していただけると思います(笑)。
――弱いキャラクターで強敵に挑まれまる方もいそうです。
堀井そうですね。そういう遊びかたも楽しいと思います。
――ちなみに、プレイスポットはだいたいどれくらいの量が用意されているのでしょうか?
堀井基本的には蒼天堀を舞台にした作品なので、これまで蒼天堀にあったプレイスポットはほとんど入っていると思っていただいて問題ありません。あとは、ビリヤードを復活させたり、カラオケに新曲を用意したり、ゲームセンターやマスターシステムで楽しめる新しいゲームを収録したりしています。それと、ポケットサーキットですね。
――相変わらず、ボリューム感がすごいですね。
阪本とは言え、『龍7外伝』は遊びやすいボリュームの物語になっているので、それに合わせて、プレイスポットやサブ要素のボリュームも、ストーリー本編と比べて過不足ないものにしています。
ナンバリング作のように、ものすごいサイドコンテンツがあって、それだけでも何十時間も遊べます、というものではないです。今回はサクっと遊んでもらって、その次の『龍8』にも、そのまま流れで遊んでもらえるのがいちばん理想かなって思っています。かといって、「じゃあ少ないのか」と言われれば、そういうわけじゃないんですけれど。
堀井サブストーリーや街遊びがあって、それをクリアーしていくとお金や闘技場の仲間キャラクターが増えていきます。そして、闘技場で強くなれば大きな賞金がザクザクもらえて、そのお金で能力強化をして強くなっていく……というようなサイクルが基本ですかね。その辺りは従来のシリーズ同様のゲームデザインになっています。
――ちなみに、本作ではお金はけっこう重要になりますか?
堀井重要です。能力強化にお金が直結するので、いかに稼ぐかが攻略のカギですね。闘技場で賞金を得るのが一番妥当ではありますが、賭場などのギャンブルもありますし、キャッスルにはハイレートのVIPルームみたいなものもあったりするので、そういったところで、がつっと稼いでいただくのもアリです。自由度の高い設計にしていますので、プレイヤーの皆さんがお好きな方法で攻略してほしいな、と思います。
――参考にして遊びたいと思います! また今回、コーディネートの要素も追加されました。なぜこのタイミングでコーディネートが追加されたのでしょう?
堀井じつは開発途中で出てきたアイデアだったんです。というのも、『龍7』は、持っている武器が見た目に反映されるじゃないですか。そんな感じで「エージェントでスーツのネクタイを変えると、ガジェットが変わったり、能力がアップしたりするのはどうでしょう?」というアイデアがスタッフから出てきて。じゃあ着せ替えの要素を入れてみようか、という感じで初めて、どんどんネタを広げていって……最終的に、いまの自由度の高いスタイルに着地しました。当初のアイデアに入っていた、見た目によって能力が変わる要素は実装を見送りましたが。
阪本能力が反映される形にしてしまうと、結局みんな同じ格好になったりしますからね。もうちょっと自由に選べるようにしたかったんです。これまでにも、ダウンロードコンテンツの衣装はありましたけど、「『龍7外伝』のようなサイズ感のゲームでは、本編でちゃんと衣装をカスタマイズできたほうが、楽しんでもらえるんじゃないか」という堀井の見通しで、このような形にしました。Gamescomでも、コーディネートはかなり評判がよかったですね。
――桐生を演じている黒田崇矢さんの衣装みたいな感じにコーディネートすることもできたりして、思わず笑ってしまいました。
堀井先ほど、闘技場でも「どうせならやっちゃおうか」といってみんなを操作できるようにした……とお話ししましたが、これまではいろいろな理由から「こういうのはやめたほうがいいかな」と自粛や制限をしてきた要素というのが、じつは結構あったんです。ただ、今回はせっかくの桐生をまた動かせる機会ですし、ストーリーはいつものナンバリングに比べたら短いけれど、ゲーム作品としては楽しい思い出や記憶、この作品でしかできないような体験をプレイヤーの皆さんに少しでも多く提供したい。なので、今回は変な自粛をやめて、やれることはつめこもうと。弱いコンビニ店員で戦うかどうかや、ヘンな格好や派手な格好にするかどうかは、こちらで勝手に制限を加えず、プレイヤーの皆さんそれぞれに決めてもらって、自由に楽しんでもらったほうがいい、と思いました。馬鹿な恰好をするのも、かっこよい桐生を追求するのも皆さんの自由なので、好きなように楽しんでほしいです。
ただ、本編の感動的なシーンのときに、「なんで俺こんな格好にしちゃったんだろ?」と思ってしまう可能性はあると思うので、オプションで「メインストーリーのイベントシーンには、コーディネートを反映させない」というような項目を選べるようにもしています。
――細かいところまで配慮されているのですね。ところで、せっかく堀井さんがいらっしゃるので、カラオケについても詳しく伺いたいのですが、本作では、新曲『さよならSilent Night』が公開されていますね。ほかにはどんな曲が収録されているのでしょうか?
堀井ほかは昔の人気曲だったり、桐生の定番曲だったり。『い・ち・ず侍』をリミックスした『シン・い・ち・ず侍』という曲もあります。あと、赤目(演:ファーストサマーウイカ)とのデュエット曲は本作ならではです。
阪本デュエットは、「こういうことができたらいいですよね」とファーストサマーウイカさんと話をしていたら、「ぜひ」と乗っていただいて実現できました。
――あとは……『ばかみたい』が3年くらい前に海外でもバズりましたから、きっと収録されていると信じています!
堀井『ばかみたい』は、世界的なアンセムになりましたね(笑)。
阪本いま、視聴回数がとんでもない数になっているんですよね。5000万再生くらい。
堀井海外では、「『龍が如く』は知らないけど、『ばかみたい』は聴いたことあるよ」っていう方もけっこう多くて。それで興味を持って、結果的に『龍が如く』を認知していただけるきっかけになってくれたので、ありがたかったですね。いろいろな方がカバーしてくださったこともうれしかったですし、ただのネタで終わらずに、音楽としてリスペクトしてくださった方が非常に多くて、それが作った側として本当にうれしかったし、光栄でした。
阪本最初に『ばかみたい』を収録したのは『龍が如く5 夢、叶えし者』だったんですけど、発売してからずいぶん経ってからバズったので、こんなこともあるものだなぁという感じですよね。
――ちなみに、横浜の伊勢佐木異人町も『龍7外伝』では登場するようですが、伊勢佐木異人町のプレイスポットも遊べますか?
阪本メインはあくまでも蒼天堀とキャッスルになります。伊勢佐木異人町は、物語上の必要な部分で出てきますけど、全体を歩けて、すべてのプレイスポットで遊べる、という形にはなっていません。
本作を経て『龍8』へ
――読者の皆さんが気になっていると思いますので、『龍7外伝』に付く『龍8 スペシャル体験版』のお話も聞いておきたいのですが。『龍8』本編へのデータ引き継ぎ要素はありますか?
堀井引き継ぎは入れていません。ただ、その代わりではないですが、『龍8 スペシャル体験版』にしかないシーンやストーリーを盛り込んだりしています。
――ええ?(笑)
堀井『龍7外伝』で遊んでいただいた方が、「あ、ここで『龍8』につながるのね」と理解しやすいように、本編にはない会話を入れたりしているんです。そういう意味でも、スペシャルの名に恥じない内容になっていると思います。『龍8』を買う予定の方も、この体験版でしか見れないシーンもありますので、やっていただいて損はないかと思います。
――『龍8 スペシャル体験版』にあって『龍8』にないシーンを探すおもしろさもありそうですね。それでは最後に、おふたりから読者のみなさんに向けてのメッセージをお願いします。
堀井『龍7外伝』は桐生一馬が主人公の久々の作品。そしてうちのスタジオとしてもバトルアクションとして久々の新作ですので、桐生一馬史上……というか龍が如くスタジオ史上、いちばん動かしていて楽しいバトルを作りたいと思ってチーム一同がんばってきました。結果、胸を張れるものができたと思います。また、「桐生一馬でやる『龍が如く』って、こういう楽しさなんだ」という名刺代わりの作品にもなったとも思います。『龍が如く』シリーズのアクションがずっと好きだった方はもちろん、初めて触れた方にも、おもしろさに気づいていただける作品になっていると思いますので、ぜひ多くの方々に遊んでいただきたいですね。それと、先ほどお話ししたコーディネートなどのように、龍が如くスタジオらしい遊び心やユニークさも可能な限り盛り込んでいますので、ぜひ多くの人に楽しんでいただき、『龍が如く』や桐生一馬の魅力を改めて感じていただけたらうれしいです。
阪本今回のような“外伝”という形は、我々にとっても新しい試みで、パッケージとしては手探りだったところもありました。とはいえ、内容は桐生のアクションの集大成みたいな感じになっていますので、『龍が如く』シリーズのアクションが好きな方は、すみずみまで遊べると思っています。「じゃあ物語はどうなの?」というと、『龍6』の後、『龍が如く7』の裏側でどんなことが起きていて、どうやって『龍8』につながるかが描かれた、けっこう重要な物語になっています。セカンドトレーラーで桐生が号泣していたりするのですが、あのシーンも胸打つストーリーで……“外伝”とは言え、かなり感動できる内容になっていますので、そこも期待してもらえればと思います。そして、このインタビューは9月20日のRGG SUMMIT FALL 2023直前に公開されていると思いますが、RGG SUMMIT FALL 2023ではいままで語ってなかった部分が公になる、驚きのある発表になると思いますので、そちらも期待してください。
|| RGG SUMMIT FALL 2023 ||
9月20日(水)12:00~配信開始
挑戦を続ける「龍が如くスタジオ」の最新情報をお届けする本配信を、ぜひご覧ください。
Youtube
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ニコニコ動画
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#龍が如く #RggSummitFall2023 https://t.co/YFqxiUp3YN 龍が如くスタジオ公式 (@ryugagotoku)
2023-09-12 20:10:34
...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202309/15317004.html