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『龍が如く8』開発陣に直撃インタビュー。“桐生一馬のロードムービー”を目指した物語、重要な役割を果たすVTuber、キャスティングの裏話などについて聞く【TGS2023】 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 2023年9月21日~9月24日の期間、幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2023(TGS2023)。セガブースでは、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Windows/Steam)向けに2024年1月26日発売予定のドラマティックRPG、『龍が如く8』がプレイアブル出展された。

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[2023年9月26日 17:20追記]
※記事初出時、プラットフォーム表記に誤りがあったため修正いたしました。読者の皆様、ならびに関係各位にご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。
 そんなTGS2023の会場で、『龍が如く』シリーズを手掛ける開発のコアメンバー3人にインタビューを実施。TGSの直前に行われたRGG SUMMIT FALL 2023の内容も含め、『龍が如く8』のアレコレを訊く!

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横山昌義氏(よこやま まさよし)

龍が如くスタジオ代表/製作総指揮

阪本寛之氏(さかもと ひろゆき)

『龍が如く』シリーズ チーフプロデューサー

堀井亮佑氏(ほりい りょうすけ)

『龍が如く』シリーズ チーフディレクター

おもしろいと思うものを積み上げていった結果、ハワイのマップは大きくなった
――TGS2023開幕前日にRGG SUMMIT FALL 2023が行われましたが、その反響はいかがでしたか?
横山反響はよかったみたいですね。私自身はじつはそのあたりを見ていないというか……みなさんの反響があまり気にならなくて。
――え!? そうなんですか?
横山むしろ、「当然、反響はあるでしょう。これで反響がなければ、会社が悪いよ!」くらいの気持ちでしたね(笑)。
――(笑)。つまり相当自信があった、と。
横山そうですね。個人的に「ここに反響があるだろうな」と予想していたのは3つくらいあって。まずは桐生のガンの話、もうひとつはハワイという舞台の話。あともうひとつは何が来るかな、ゲームの細かいところかな? と考えていました。
堀井デリバリーで秋山駿や狭山薫が出てきたりするところは、気になった人もいたかもしれませんね。
阪本あとは、マップの広さの話とか、緑の恐竜とかね。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

――おそらくはサブストーリーではないかと思われる、ガチャピンとムックの反響はかなり大きかったです。
横山まあ、狙い通りではあります。それより私たちがドキドキしていたのは、『龍が如く8』の試遊版に不具合が出ないか、ということだったんですよね。
――えぇ?(笑)
堀井じつは、ビジネスデーの前日、23時くらいに試遊版のバージョンを更新していて。
横山私はTGS2023の前日に開催されていた、セガのパーティーに出席していたんです。そのパーティーがひと段落着いて、「TGS現地組はもう帰って寝ているかな?」なんて言ったら、「いや、いま最新版に差し換えているらしいですよ!」と言われて(笑)。
阪本現在開発している製品版はかなり安定しているんですけれど、試遊版というのは仕様が特別なので、いろいろと問題が出てしまって。
堀井本来であれば行ける場所を、閉じたりしていたりするので。本編のバージョンは安定しているので、試遊版も余裕だろう……なんて思っていたんですけれど、けっこうヤバかったですね(笑)。
横山RPGの試遊版というのはたいへんですね。本当だったら最初からプレイしてほしいくらいなのですが、そうもいかないですし。
堀井遊べる時間にも限りがありますからね。
――今回の試遊版では、クレイジーデリバリー、不審者スナップ、レジャー体験(ジョブチェンジ)、カラオケ、バトルの新要素などが詰め込まれていましたが、試遊版にこれらの要素を選んだ理由があれば教えていただけますか?

阪本20分程度の試遊時間という点から逆算したところは大きいですね。まずは新しい舞台を歩いて、通常のバトルがあって。そこから、不自然ではない導線でコンパクトに遊べるものを選んで、パズルのように組み立てたという感じです。遊べる要素は本来もっとたくさんあるのですが、短い時間で本作のベースになる部分を遊んでほしいという気持ちがあって、今回のチョイスになりました。
――試遊版で遊べたプレイスポットについて伺います。たまたまだと思うのですが、試遊版で遊べる要素のなかに、オマージュ的なものが多かったような気がします。クレイジーデリバリーはもちろん『クレイジータクシー』のオマージュですけれど、“不審者スナップ”とか……。
堀井それは本当にたまたまですね(笑)。そもそも、不審者スナップという遊びを入れる予定はなかったんです。トロリーに乗ってあちこちに行けるんですけれど、「それだけだとつまらないから、乗っているときに何かできないかな?」という話になって。そこで「じゃあ、不審者でも撮影する?」みたいなノリで完成したというものなんです。本作の中でも、ちょっとイレギュラーな流れで出来た遊びですね。
――サブストーリーで遊べるようになるものでしたが、不審者スナップは何回も遊びたくなる出来映えでした。
堀井何度もできますよ! 今回試遊で遊んでいただいたのは初級コース的なものなのですが、違う場所にいくともっといろいろな不審者が出てきますし、不審者スナップポイントを貯めると武器が手に入ったりしますので、RPG的なメリットもありますね。
――今回の試遊で移動できたハワイには、ショップやプレイスポット、サブストーリーなどが詰まっていましたが、その密度感というのは本編も同様ですか?
堀井試遊で遊んでいただいたエリアは、実際のハワイでも栄えているエリアなので、お店は多いですね。大きなショッピングセンターがあったりしますし。一方で、逆側にはハワイで言うとちょっと田舎町になるんですけれど、チャイナタウンがあったり、いわゆるビーチじゃない街並みなどを凝縮していて。

阪本けっこう治安が悪い場所もありますね。
堀井エリアごとに街の特色が出るように作られています。
――前作をベースにイメージすると、コミジュルはこの一帯を仕切っていて、横浜流氓は飯店小路で……みたいなことがハワイにもある、ということですか。
堀井そうですね。だいたいそんなイメージです。
――ちなみに、ハワイを大きく分けると、どのくらいのエリア数に分割できるのでしょう?
阪本数か……難しいですね。分けかたもいろいろあるので。たとえばコミジュルだと、基本はひとつの建物が核になっていたりするわけですが、そういう勢力圏のひとつひとつが本作ではとにかく大きいんですよ。
横山建物の中もありますしね。というか、外から見たときのマップの広さとして、ハワイのマップは伊勢佐木異人町の3倍と言いましたけれど、建物の中などを入れるともっとあるわけですよ、地下とか。
――建物の中に加えて地下も入れると、総面積でいうととんでもないことになっていそうですね。
阪本ちゃんと計測していないからわからないですけど、とにかく広いですね。サイズはもちろん、ボリュームもバリエーションもありますからね。当然ですが、お話がビーチだけで進んでいくわけじゃないです。ですので、物語に応じて“ビーチ以外でのハワイらしさ”みたいなロケーションも組み合わせて……「この規模のことをするなら、この寸法だよね」みたいなものを積み上げていった結果、すごく大きなマップになってしまったという。
横山初代の『龍が如く』と比べたら、マップの広さは10倍どころじゃ済まないくらいだと思うんですよ。それにハワイだけじゃなくて、日本もありますからね。
――そうですよね。伊勢佐木異人町はもちろん、おそらく神室町にも行けるのでしょうし。
横山本作はハワイが注目されていますし、試遊版もそこをフィーチャーしていますけれど、日本は日本でしっかり作ってないと意味がないですからね。ちなみに本作は、中心となるのは春日一番の話なので、日本のベースになるのは伊勢佐木異人町です。一番がハワイに飛び立つまでのお話は、伊勢佐木異人町がメインになります。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

――街がそれだけ広くなっているわけですがから、プレイスポットもすさまじい数になっていそうです。
堀井そうですね。いままでのプレイスポットをベースに新規のものが入っているというのは、ご想像の通りだと思います。ただ、新規のプレイスポットは小さいのがいくつもあるという話ではなくて、ひとつのプレイスポットがすごく深かったり広かったりで、それがハワイのあちこちで楽しめる……というようなデザインになっています。
――深かったり広かったり……と聞くと、ダンジョンも想像してしまいます。
阪本RPGですから、ダンジョンはもちろんありますね。強敵が待ち構えているようなものが。
堀井あくまでもメインストーリーを楽しむ場所としてのハワイなのですが、そのうえでハワイ体験を充実できるよう、いろいろと作っています。
横山じつは最近の『龍が如く』シリーズって、物量を意識して作っていないんですよね。かつては「ストーリーのボリュームがすごい!」とか「主人公がいっぱい!」とか「これだけの企業とタイアップしている!」なんてことを意識してやっていました。もちろん、そのときはそれがタイトルとしての使命だったのですが、いまは商品としてのパッケージングを意識しているんですよね。
阪本そうですね。本作に関しては、おもしろいと思うものを作った結果、ハワイのマップが広くなったし、遊びのボリュームも増えてしまった、という感じです。
――なるほど。ちなみに横山さんが仰った“使命”というキーワードで言うと、『龍が如く8』の使命はどういったものですか?
横山本作は、「ダブル主人公で『龍が如く』の集大成的な物語をきちんと作れるかどうか」というところでした。「こういう遊びを実現しよう」みたいなところを使命にしたわけではなかったです。
新ライブコマンドRPGバトルは、前作のいいところを受け継ぎつつ改善
――新ライブコマンドRPGバトルというバトルシステムに関して、どのあたりが“新”なのかという部分も伺っていきたいのですが。
堀井ライブコマンドRPGバトルは前作で初めて作ったシステムで、いい感じになったとは思っていたのですが、細かいところでは「やっぱりキャラクターを移動させたいよね」、大きいところでは「これが完成形ではないし、まだ伸びしろはあるな」などと開発一同が思っていました。そこで、まずはその伸びしろの部分に向き合って、納得できる形にすることを目標に開発していきました。
阪本バトルシステムを大きく変えてみる、ということも考えてはみたんです。ただ、前作で覚えてもらったバトルシステムをわかりづらくしてしまうのはよろしくない。そこで、前作のいいところを受け継ぎつつ改善して、かゆいところに手が届くようなシステムにしていこうと試行錯誤をくり返しました。その中で、「桐生はやっぱりアクションが必要だよね」という意見があって、絆覚醒という要素を入れてみたり。

――それで、絆覚醒というシステムができたわけですね。
堀井はい。とはいえ、やりすぎると「RPGじゃなくていいじゃん」となるので、そこはバランスを取りながら。
――戦闘中に、突然アクションの操作ができるというのは、技術的に困難ではなかったのですか?
横山技術的なことを言うと、じつは本作ではバトル中もしっかり物理演算をしていて、アクションでも作れる下地があるんです。ただ、アクションにするのがベストではないからそうしない、というだけなんですね。あえてRPGという形に仕立てているので、途中でアクションで遊べるようにするというのはそう難しいことではなかったですね。
堀井すごく簡単に言うと、コマンドRPGにするというのは、一時的に時間を止めているようなイメージなんです。
――なるほど!
横山それに、桐生が絆覚醒をしたときのアクションも本当にフリーなアクションではないですから。
――そうですね、それは確かに。
横山桐生のタガが外れた瞬間に、時間制限でアクションができる。なぜ時間制限があるのかと言えば、それは桐生の身体がベストな状態ではないから……というように、いろいろな思想が積み重なっていまの形に落ち着きました。
――試遊版では、絆覚醒中はけっこう多くの敵を倒したりできる印象でしたけれど……。
阪本絆覚醒というものを味わってほしいので、今回の試遊版ではかなり時間を長くしていますが、製品版では絆覚醒していられる時間はとても短いんです。
――なんだか切ないですね……。桐生はバトル中に絆覚醒でアクションが出せますが、そういうシステムになっているのは桐生のみですか?
堀井はい、桐生だけです。
――レベルが上がったり、スキルを習得することで、絆覚醒中のアクションに変化が起きたりするのでしょうか?
堀井桐生には絆というパラメータがあって、仲間との交流を深めていくと強化されるのですが、アクションの技が増えるということはないですね。
桐生のロードムービーを作ってみたかった
――豪華な新キャストも発表されましたが、誰がパーティーの仲間になるか、というところにも注目している方も多いと思います。
横山パーティーという意味で言うと、キービジュアルやポスターなどに使われているもので、もうメンバーはお知らせしているんです。基本的には、“8”の文字の中に入っているキャラクターのうち、上側にいるエリック・トミザワ、不二宮千歳、足立宏一、ハン・ジュンギが春日のパーティーメンバー、下側にいる向田紗栄子、趙天佑、難波悠、ソンヒが桐生のパーティーメンバーになるんです。

――そういう意味なんですか!
横山最初からパッキリ分かれているわけではないですけどね。仲間はどんどん増えていくので、物語が進むと分かれていくイメージです。
――春日のパーティーがハワイにいて、桐生のパーティーが日本にいる……ようにも見えます。
横山まあ、物語的にはそんな感じですね。試遊版では混在していますが、行ったり帰ってきたりということはあるので。
――イラストの人数はそれぞれ5人になっていますが、基本的にパーティーは最大4人なのは変わっていないですよね?
阪本ええ。そこは変わっていません。
――キャストという意味では、過去に『龍が如く』シリーズに登場していたキャラクターがデリバリーヘルプで登場するようなシーンもありました。
横山そうですね。あとゲイリー・バスター・ホームズっぽい人とか。いまは詳しく言えないんですけど、あれもね……。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

阪本まだ言っちゃダメなやつです(笑)。
――物語のコンセプトは、どんなものになるのでしょう?
横山今回は春日の母親探しの旅を描きたかったんです。母をたずねて三千里じゃないですけれど。あくまでも私個人のイメージなんですが、桐生と春日ってストーリーの作りかたが違っているんです。これは『龍が如く8』に限ったものではないんですけれど。
――ほう! どう違うのでしょう?
横山桐生は、事件が起こってそこに巻き込まれていく……つねに事件がそばにあるというイメージなんですね。一方、春日はロードムービーを書いているイメージなんです。春日は何かしらの目的があって出かけたら、その先で事件があって移動していくという。
――なるほど。言われてみると納得です。
横山春日が母親に会おうとしてハワイに行くっていうのは似合っているんですが、そこに桐生が絡んでくると、少し違う雰囲気が出てくるんじゃないかな? という想いがあって。いままでキチンとした桐生のロードムービーは作ったことがなかったので、それをやってみたかったんです。
――春日の手法で、桐生の物語を作ってみるという?
横山そうです。じつは『龍が如く3』のときに、桐生でロードムービーを作ろうと思ったことがあったんです。『龍が如く2』の事件の後に、狭山薫が桐生に残したテープがあって、それがボブ・ディランの『風に吹かれて』だった。その歌詞に従って沖縄から札幌まで転々と旅していくと、隠された秘密があって……みたいな。ご存知の通り、それは実現しなかったんですけれど。
――とはいえ、おもしろそうですね!
横山でも、いつか桐生が旅をする話を作りたいという気持ちはずっと持ち続けていました。
――その想いが、めぐり巡って『龍が如く』シリーズの設定に影響していくことに?
横山『龍が如く5 夢、叶えし者』なんかは若干の影響はあるかもしれませんが、やっぱり見知らぬ土地で生きるのと、旅で一時的にその場所にいるというのはちょっと違うんです。今回はロードムービーを意識しているので、街に根を張っていない。彼らはハワイに居住地があるわけではないので。
――確かに、現地に住んでいるかどうかは、物語に大きく影響しますね。
横山そうなんです。旅でフラリとやって来たというのがいいところで。なので、本作はストーリーを作り始めるときに、「ロードムービーにしたい」というのを最初に伝えたんです。3年くらい前だったかな。
堀井そうですね。まだコロナ禍で、在宅だったころに。
――そういったプロットがあった中で……『龍が如く』は現代劇ですから、けっこう世相も反映していますよね。フードデリバリーがプレイスポットになっていたり、作中にVTuberが登場したりして。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

堀井もともとフードデリバリーは海外発祥ですし、ハワイのマップが広いということもあって、クレイジーデリバリーを思いついたという感じでした。
阪本コロナ禍もあって、Uber Eatsが日本でもかなり流行りましたからね。認知度も高いので、ネタにできたらいいな、という。
横山『龍が如く8』の場合ですが、メインストーリーは3年くらい前から作らないといけなかったので、3年後の世の中を当てなければならないんですが、プレイスポットなんかは1年後を当てればなんとかなるんです。ですので、そのあたりはギリギリまで待って作るんですよ。だって、フードデリバリー事業が完全撤退するかもしれないですからね。もしそうなった場合、クレイジーデリバリーが古くさいものに見えてしまいますから。実際に撤退したところもあったわけですし。
――そうなると、せっかくこのプレイスポットを作ったのに……となってしまいますね。
横山そうなんです。だから、けっこう読みも大事で。けっこうギリギリまで決断を引っ張るんです。ただ、メインストーリーだけは逃げられないので、この3年間は「VTuberの流行りが終わらないでくれ!」と祈っていましたね。
――VTuberはメインストーリーにけっこう深く関わるのですね?
横山メインストーリーの大きい要素なんです。大手のメディアを告発に使うのが難しい状況であれば、週刊誌か告発系のチャンネルを使うしかない。であれば、“裏社会の人が、動画配信サイトで告発する”という未来があるんじゃないか……と思ってシナリオに組み込んだんです。
――なるほど!
横山VTuberは、もしかするとちょっとした要素として入っているように見えるかもしれませんが、春日が職を失うきっかけになったのも“多々良ちゃんねる”ですし、裏社会に隠れていた人間が表舞台に何かを発信したいと思ったときのツールでもある。裏社会と表社会をつなぐ役割を担っているのが“多々良ちゃんねる”なので、ストーリー的にはかなり重要な位置にあるものなんです。沢城と海老名が出てくるのは、「彼らが出てきたらおもしろいだろう!」という感じで作ったんですけどね。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

――そうだったんですね。
横山ええ。物語的なキーワードとして当初あったのが、VTuber、ハワイ、宗教でした。そのひとつでも欠けたらマズかったので……VTuberの流行が続いていてくれて本当によかったです(笑)。
『Teenager Forever』のMVを見て、井口理さんにオファーした
――本作では新キャラクターの4人が公開されていますが、それぞれのキャストを選ばれた意図を教えていただけますか。
横山脚本のイメージが大きいですね。ちなみにですが、前作は安田顕さんからお願いしに行ったんです。なぜなら、個人的にホームレスがいちばん似合うと思ったし、春日と年齢も近くて、相棒としてとても重要なポジションだったからです。今回、似たような形でお願いしたのが井口さんでしたね。
――そうなんですね!
横山じつは“ハワイに住んでいる日系人の小汚い若造”というキャラクターが作りたかったんですけれど。『Teenager Forever』のミュージックビデオのオープニングで逃げている井口さんが、本当に私の想像していたイメージのままだったんです。そこで「あのPVの井口さんが欲しい」とお願いをしに行って、最初に出演が決まったという流れでした。
阪本本作のトミザワは前作の難波のようなポジションなので、本当に重要だったんです。
――なるほど。

横山成田凌さんと長谷川博己さんのおふたりも脚本のイメージでオファーさせていただきました。最近はあまり(オファーを)断られないんですよ(笑)。

――シナリオを当て書きできるというメリットもありそうです。
横山成田凌さんや長谷川博己さんはそうですけれど、キャスティングした時点での井口さんは、そこまでたくさん演技を見られていなかったですからね。ミュージックビデオを見て賭けたところはあります。ただ、井口さんはミュージシャンで耳がいいから、英語の発音もお見事なんですよ。英語は喋れないはずなのに、すごく上手でしたね。たぶん、みんなトミザワが好きになると思います。
堀井いっしょにいる時間も長いですしね。あと、トミザワについては、あんまり大層な会話はないんですけれど、その気の抜けた感じがマッチしていてすごくいいですね。生っぽくて。
――新キャラクターの中で、伊波杏樹さんはオーディションなんですよね?
横山そうです。千歳はフェイスキャプチャーを使わないオリジナルキャラクターだったので、声優としてオーディションをさせてもらったんですけれど。ただ、かなり前から伊波さんのほうから、「もし次回作でチャンスがあればぜひ出演したい」とは言われていたんです。

――そうだったんですね。
横山そういう熱意のある方もときどきいらっしゃるんですが、だいたいは、人づてで紹介されるというのが多いんです。ところが伊波さんには、珍しく正攻法で「出演したい」と言われたので、印象には残っていたんです。そんな経緯があったので「どんな演技をするのか見てみたいね」という感じでオーディションに参加してもらったんです。
――なるほど。
横山実際に会ってみたのですけれど、私が最初に好印象を持ったのが、挨拶やお喋りはするものの、「『龍が如く』好きです!」みたいなことを言ってこなかったことですね。本当にふつうのオーディションという感じでした。最初に演技をしてもらったときは、その場で台本だけお渡しして、初見で読んでいただいて。その後に「千歳はこういうキャラクターです」という説明と「だからこうしてほしいです」と伝えたところを、2回目でほぼ合わせてきたので、感心しちゃって。
――それは……プロですねえ!
横山ただ、RGG SUMMITのやりとりで、伊波さんを直接褒めたことがなかったらしいと判明したんですけれど(笑)。
阪本「あなたに演じてほしいです」とか「演技はOKです」って言っているんだから、そういうことなんですけどねぇ。
堀井ちゃんと言わないと伝わらないんですよ!(笑)

TGS2023の前日に行われたRGG SUMMITにて、横山氏が伊波さんの演技を褒めたところ、伊波さんが「直接褒められたことがなかったので(うれしい)」と涙ぐむ場面があった。

横山そうみたいね。話を戻すと、オーディションが終わってその場で合格を伝えたんですね。すごく喜んでくれたんです。エレベーター前でご本人やマネージャーさんとお別れして、扉が閉まった直後に、中から「やったあー!」ってすごい絶叫が聞こえて。エレベーターが下がっていくから、その声がどんどん遠ざかっていく(笑)。
――あははははは(笑)。
横山「仕事だから」っていうことで、エレベーターの扉が閉じるまで抑えていたんでしょうね(笑)。
――誤解を恐れずに言えば、千歳役は、いま旬の女優さんをキャスティングするということもできたのではないですか?
横山適切な方がいればよかったんですけれど、イメージに合う方がいなかったんです。『龍が如く』のキャスティングでは、オリジナルキャラクターと、フェイスキャプチャーを使用してタレントさんに演じてもらうキャラクターは同じテーブルについているんですよ。たとえば井口さんの場合は、造形も込みで出演して欲しいからお願いしたというだけ。ワールドワイドで販売するようになってから、(オリジナルキャラクターにするか、フェイスキャプチャーを前提にタレントを起用するかは)より関係なくなっているところはありますよね。
阪本海外版の声優さんを含めると、もっと混在していますからね。ハワイのマフィア・バラクーダのボスにドワイトというキャラクターがいるんですけれど、彼なんてタランティーノ映画などの悪役でおなじみのダニー・トレホが演じていたりしますから。

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

横山だからといって、ダニー・トレホの顔をキャプチャーするということもなく。当たり前のように俳優とオリジナルキャラクターが混在するという時代だと思っています。そして、大塚明夫さんもよくおっしゃっていますけれど、もはや俳優と声優の差もない。大塚さんや山寺宏一さんはもちろんですし……戸田恵子さんなんてその最たる例ですからね。
――確かにそうですね。
横山逆もしかりで、これまでは俳優が声をあてると「ゲスト声優だ」なんて言われましたけど、今後はそれも当たり前になっていくんじゃないかな、と。もっと言えば、そういう時流になっていくことに、『龍が如く』はひと役買ったと思っています。
――そうですね、『龍が如く』は俳優さんと声優さんの垣根をかなりなくしてくれたタイトルだと思います。
あの真島吾朗を超える人気になりそうなキャラクターも……!
――RGG SUMMITの情報と試遊を通して、ものすごく『龍が如く8』が楽しみになってきました。今後も続報に期待していいですよね?
横山ひとつお伝えしておくと、今後、ストーリートレーラーを発表するつもりはないです。何回もトレーラーのバージョンを更新していく手法もありますが、今回はそれをしません。各キャラクターにフォーカスするような、別の形のものは発表していくかもしれませんけれど。

――先日公開されたストーリートレーラーは贅沢な内容だったので、ある意味納得なのですが……ちょっと残念な気もします。
横山ストーリーを伝えなければならないので、本作は長いストーリートレーラーを作りましたけど……いまは短い動画のほうがいい時代ですからね。かといってストーリートレーラーを分割して短くするのも違いますし。
――そうかもしれないですね。ただ、TGS2023の会場で流れたスペシャル動画でも、いろいろなことがわかりました。朝倉未来さんも見られましたし。
横山ずいぶん前に発表していましたが、朝倉さんはメインストーリーで登場します。
――まだ発表されていないキャラクターもたくさんいますしね。
横山ええ。古谷徹さんが声を当てているキャラクターとか、子安武人さんが演じている長髪のヤツとか、気になりますよね?

※画像はトレーラーをキャプチャーしたものです。

阪本あの子安さんの演じている人は、すごく熱い、いいキャラクターですよ!
堀井社内では、もしかすると真島吾朗を超える人気になるんじゃないか、なんて言われていますね。
横山ほかにも、大ネタはたくさん用意していますから、期待してほしいですね。ちなみに、あのストーリートレーラーからメインストーリーの大筋を当てられたら天才ですよ(笑)。
――考察がはかどります(笑)。それで言うと、RGG SUMMITを見ていて、桐生が白髪になった画像を見た時点で病気を疑うべきだったな……と思いました。
横山けっこう早い段階でヒントを出していたんですけどね。
阪本単にイメチェンだと思った方も多かったみたいです。
横山かなり痩せさせていますからね。『龍が如く7外伝 名を消した男』の桐生と比べてみると一目瞭然ですよ。顔も胸板もウエストもかなり細くなっていますから。

こちらは『龍が如く7外伝』の桐生。

見比べると顔が細くなっていることがわかる。

――本当だ……!
横山あと、TGS2023の会場にもいろいろな仕掛けを用意してあって。最後の晩餐をオマージュした映像にいろいろなパターンがあったりしたので、それを見ていろいろ考えていただくのも楽しいと思います。

セガアトラスブースの大型ビジョンでは『龍が如く8』も表示されています。よく見ると…?

#龍が如く8 #セガTGS2023 https://t.co/x3xmiTHjsb セガ公式アカウント (@SEGA_OFFICIAL)
2023-09-22 13:39:48

――最後になりますが、『龍が如く7外伝 名を消した男』に『龍が如く8』スペシャル体験版が付くことはすでに発表されているものの、今回のTGS以外で……たとえば店頭で『龍が如く8』の試遊会などを行う予定はありますか。
横山これから検討していきます。まずは『龍が如く7外伝 名を消した男』をクリアーすると遊べる、スペシャル体験版をプレイしていただきたいですが。
――まずは『龍が如く7外伝 名を消した男』の話を楽しんでから、ですね。
横山個人的に『龍が如く7 光と闇の行方』の体験版では、ちょっと後悔があって。ライブコマンドRPGを手触りとして楽しんでほしいという意図で体験版を作りましたし、それはそれで大事なことだったのですが……。『龍が如く7』のときは、RPGとしては初めましてだったので仕方がなかったんですけれど、システムを伝えるだけの体験版はよくなかったんじゃないかな、と。
――なるほど。
横山やっぱりRPGは仲間を集めていく過程が大事だと思うんです。その過程を楽しんでもらいたいがためにRPGのシステムを採用したのに、そこがすっぽかされてしまった。ただ、『龍が如く8』の体験版は、ストーリーが『龍が如く7外伝 名を消した男』からちゃんとつながるようになっているので、物語としても楽しんでいただけると思います。

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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202309/26318477.html

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