2024年2月2日発売予定の『ペルソナ3 リロード』について、先日公開されたテウルギア、リンクエピソードなどの最新情報にまつわるお話や、ゲーム内外の各種アートワークに込めた思いなどを、アトラスの開発者たちに訊いた。主人公たちが対峙することになる、“ストレガ”と呼ばれるペルソナ使いたちについても本作で深掘りされるようだ。
広告
※当記事は、週刊ファミ通2023年10月12日号で掲載したインタビューに加筆したものです。
『ペルソナ3 リロード』(PS5)の購入はこちら (Amazon.co.jp)
『ペルソナ3 リロード』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)
山口拓也(やまぐちたくや)
アトラス・ペルソナチーム ディレクター
嶋田あずさ(しまだあずさ)
アトラス・ペルソナチーム メインキャラクターデザイナー
新妻良太(にいつまりょうた)
アトラス・ペルソナチーム プロデューサー
バトルもキャラクターも、より奥深く
──まずは、バトルの新要素となる“テウルギア”についてお聞きしたいと思います。『ペルソナ3』のオリジナル版にはなかった仕組みですが、導入した狙いは何でしょう。
山口きっかけは、『3』以降のシリーズで搭載してきた“1 MORE”のシステムが、ボス戦においては活かしきれていない部分があると感じていたことでした。通常の敵が相手なら、弱点を突いてダウンさせて総攻撃……といった具合に畳み掛けられるのですが、ボス戦だと往々にして弱点を突きにくかったり、弱点を突いてもダウンさせられなかったりするので、もっとメリハリが欲しいなと。
──そこで、新たな切り札なのですね。
山口はい。『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』で導入された“SHOWTIME”(仲間どうしの特別なコンビ技)が演出面も含めて好評でしたので、ああいった感じで今回も新しいアクションを追加したいと考えました。テウルギアは発動すれば必ず命中するので、ボスに限らず、レアシャドウを確実に仕留める用途にも使えますし、通常の敵相手にもうまく使えばSPの節約などにつながるかもしれません。
──テウルギアの発動に必要なゲージは、その溜まりかたがキャラクターごとに異なるというのもユニークですね。
山口従来ですと、まずは敵の弱点を狙って、それができないときは無難に通常攻撃をするという基本の行動がありました。その点、本作では、たとえば美鶴なら弱点を突けなくてもテウルギアのゲージを溜めたいからバッドステータスの付与を狙ってみようかな……といった具合に、これまでとは違った行動も取りたくなるのではないかと。バトルにおける仲間の個性もより感じていただけると思いますので、ぜひ活用してみてください。
左:主人公のテウルギア選択画面
右:ゆかりのテウルギア発動シーン
──それから、既報ではサイドストーリーという呼びかたで紹介していた、キャラクターとの交流を掘り下げる“リンクエピソード”もファンなら要注目ですね。
新妻女性の仲間キャラクターとはコミュで交流できますが、男性の仲間についてもエピソードが欲しいという考えから追加したのがリンクエピソードです。コミュはいつ進めてもいいのですが、リンクエピソードはメインストーリーの進行に応じて発生し、特定の期間のあいだにそのキャラクターと過ごす機会を作れば、つぎの期間で続きのエピソードが発生します。最初のエピソードを見逃すと以降のエピソードが見られなくなってしまいますので、相手から連絡が来たら早めに会っておくことをおすすめします。
山口時限式になっているぶん、メインストーリーとの関連性が強いエピソードをお楽しみいただけます。『ペルソナ3』はとくに、ストーリーの進行によって各キャラクターの心情が大きく変化していきますから、リンクエピソードではそれぞれの時期における彼らと交流することになるわけで……。そういった観点からも、どうぞお見逃しなく。
──なるほど。自分はサンプルROMで絶賛プレイさせていただいている最中ですが、男性に限らず、女性の仲間といっしょに過ごす新たな機会も追加されているような……?
山口はい。それはリンクエピソードとはまた別の、学生寮での生活を掘り下げる要素ですね。いっしょに勉強したり、料理に付き合ったりと、さまざまな機会がありますので、そちらもぜひ楽しんでほしいです。
左:順平からの誘いでリンクエピソードへ
右:天田と交流するリンクエピソード
──仲間のみならず、ストレガの面々を深掘りするエピソードもあるとは驚きました。
新妻彼らは仲間ではないので、オリジナル版では対立関係を描くシーンがほとんどでした。本作では、主人公たちS.E.E.S.のメンバーとは違う形で能力に目覚めたペルソナ使いならではの苦悩など、ストレガ側の思いが垣間見えるエピソードを追加しています。僕自身、彼らにはオリジナル版をプレイしたときから独自の魅力を感じていましたし、開発チームとしても意識して丁寧に描いています。
──ストレガについては、これもぜひ訊いておきたいのですが、ストレガの一員である●●●は●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、●●●●●●●●●●●●●?(※ネタバレ回避のため伏せています)
山口また直球な質問がきましたね(笑)。
新妻伏せる前提でお話しするならば、本作でも●●●●●●●●●●●●●、ご期待ください。
──よかったです。まだそこまでプレイできていないので、自分の目で確かめます……!
左:ストレガのリーダー、タカヤとの共闘も…!?
右:ストレガのチドリと、順平の出会い
アートワークに込めた思い
――以前のインタビューで、パッケージ用のイラストは完成までにかなり練ったと聞きました。本作のメインキャラクターデザイナーを務めている嶋田さんとして、具体的にはどんな思いを込めたのでしょうか。
関連記事
『ペルソナ3 リロード』独自インタビュー。アイギスの“永劫”コミュは本作にもある! 『3』の決定版として作っているという本作について、気になるあれこれを開発者に訊いてきた
『ペルソナ3 リロード』について、本日公開された最新情報もふまえた開発者インタビューをお届け。
嶋田まずは構図を決める段階で、最近の『ぺルソナ』シリーズと同様にキャラクターの集合絵にするか、『ペルソナ3』のオリジナル版のように主人公がメインの構図にするかで悩みました。そこで、歴代のシリーズ作品やさまざまなゲーム、映画などのパッケージをたくさん集めて、本作はどういう方向性で描くのがふさわしいだろうか……と眺めながら考えてみたんです。そして、『3』はやっぱり主人公を前面に打ち出す構図にしたい、と狙いを絞って、そのつぎにオリジナル版との差別化を考えましたね。
『ペルソナ3 リロード』パッケージ用イラスト
──ぺルソナ“タナトス”を召喚する主人公の姿は、往年のファンからすると原点回帰の構図のように映りつつ、よく見るとポーズなどが違っていて本作らしさも感じられます。
嶋田そのように受け止めてもらえていたらうれしいです。パッケージで本作にどんな印象を持っていただきたいかを考えたとき、耽美で儚すぎるのも、過度にカッコつけすぎるのもちょっと違う。やっぱり表現したいのは、ペルソナを宿した主人公が、避けられない運命に毅然と立ち向かっていく姿だったんです。ペルソナを召喚するシーン、しかも主人公とタナトスというのはまさに本作を象徴していて、映える構図を追求すると最終的にはオリジナル版のオマージュのような形へと固まっていきました。
──そのうえで、塗りのタッチやライティングがより洗練されているように感じます。
嶋田そういった面でも新作としての明確な印象を表現したかったので、最新の技法でリッチな塗りを追求するとどんな表現ができるか、その可能性をいろいろと探って現状の仕上がりにたどり着いています。今回はリアルなライティングも意識的に取り入れていて、たとえば会話中のバストアップイラストは環境によって色味が若干変わるんです。リムライト(背後から光を照らすようにして輪郭を引き立てる効果)が屋外では水色系で、屋内の暖色光のもとでは橙色系になっていたりします。言われてみれば確かに……というくらい、細かな効果かもしれませんが(笑)。
屋外と屋内における会話中のバストアップイラスト。後頭部を見ると分かりやすいが、屋外ではリムライトが水色系、屋内では橙色系になっている。
──本作でデザインが新しくなった戦闘服や腕章も、嶋田さんが手掛けたのですよね。
嶋田はい。『3』のリメイクに臨むにあたって、プレイヤーの気分をビジュアル的にも高めてくれるようなアクセントを盛り込みたいと考えて、副島(オリジナル版でキャラクターデザインを手掛けた副島成記氏)とも相談しながらデザインをリファインしました。オリジナル版では制服に召喚器のホルスターと腕章をつけた軽装備でしたが、今回はCGモデルの頭身が上がってリアルに描いていることもあり、装備をより充実させることで臨場感が出せるのではという狙いもありました。
──仲間ごとに戦闘服も若干違いますね。
嶋田当初は主人公たち全員が同じ新規デザインの戦闘服を身に着ける方向性も考えてみたのですが、彼らはふだんの制服姿からして着こなしに個性が出ていますよね。戦闘服も仲間ごとにカスタマイズされているほうが似合うと思い、こちらも副島や開発チームと相談しながらデザインを固めていきました。
山口皆さんが愛してくださっている作品のリメイクにおいて、まったく新しいデザインを出すというのは僕らにとっても覚悟が要るので、何度もやり取りを重ねましたね。嶋田が全力で応えてくれて、自信をもってお見せできるデザインに仕上がったと思います。
──頭身が上がったキャラクターのCGモデルも、嶋田さんが仕上がりを確認しているのですか?
嶋田そうですね。メインキャラクターなどについては、たとえば「新戦闘服のこの金具をもっと平らにしてほしい」みたいな微調整をお願いしたり、CGモデルのスクリーンショットを送ってもらって私がそこに加筆してイメージを伝えたりと、モデリング担当のスタッフとともに細部までこだわりました。
──ゲーム内やPVで見ると、イラストとCGモデル、2Dと3Dを交互に目にしても違和感がないタッチに仕上がっていますよね。どちらの制作が先に始まったのでしょうか。
嶋田CGモデルの制作に入る前に、まずは私がバストアップのラフ画を描きました。それをもとにモデリングを始めてもらって、バストアップだけでは足りない横顔や後頭部などのディテールを求められたら、臨機応変にラフ画を描いたりしていました。
──欲しい情報が視覚化されて送られてくる、というのはありがたいでしょうね。
新妻ビジュアル関連の細かな質問はだいたい嶋田に寄せられるのですが、いつもわかりやすい答えが返ってくるのですごく助かりました。ゲーム内の要素に限らず、たとえば本作のLIMITED BOXに同梱されるS.E.E.S.制式戦闘服腕章も、もともとは嶋田がグッズ化したいとアイデアを出してくれたんです。腕章の裏側などの細部を作り込むにあたって、ここでも嶋田が設定画を描いていましたね。
嶋田腕章はぜひ作ってほしかったので(笑)。新戦闘服のほうにも、腕章を吊り下げるためのジョイントがあるので、そのあたりも含めてグッズ制作のときに設定画を描きました。
先月の東京ゲームショウで展示されていたS.E.E.S.制式戦闘服腕章の実物サンプル。イラストでは見えない裏側などの構造も作り込まれている。
──プレイ中、新しい戦闘服で初めて出撃するシーンで新規のアニメムービーが挿入されたときにも意気込みを感じました(笑)。
山口ありがとうございます(笑)。戦闘服を新たにして心機一転、ひとつの山場とも言えるシーンなので、ここはアニメで描写したいと思いました。喜多條(サウンドコンポーザーの喜多條敦志氏)にも、このシーン専用の楽曲を用意してもらっています。
──皆さん、気合い入ってますね! サンプルROMで遊んでいるぶんには、明日にでも発売できてしまいそうな感じもしますが……?
山口ゲームの内容自体はほぼ完成していますが、さまざまな機種や言語への対応、そして全世界同時発売ということで、必要なチューニングの量がとても多いんです。もちろん、無事に乗り越えられる見通しは立っていますし、8月のgamescomや9月の東京ゲームショウなどで本作を試遊していただいた皆さんの反応からも元気をもらっています。発売までもう少々、楽しみにお待ちください。
嶋田ゲーム内外のアートワークに対しても、公開したらどんな反応があるだろうかとドキドキしていましたが、SNSなどでご好評の声をたくさん拝見することができてホッとしています。発売日に向けて引き続き、宣伝用のイラストなどを制作していきますので、そちらにもご注目いただけると幸いです。
新妻発売までいよいよ半年を切りましたので、ここから加速的にさまざまな情報をお届けしていければと思っています。本作の内容についてお伝えしたいことはまだまだありますし、宣伝やコラボ展開などにも力を入れていきたいですね。ぜひ、ご期待ください!
...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202310/05319339.html