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『FF7 リバース』発売直前インタビュー。原作との違いが気になるメインストーリー、サイドコンテンツにはコンピキャラやあの剣豪も参戦! 開発秘話をたっぷりお届け | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 2024年2月29日にスクウェア・エニックスからプレイステーション5用ソフトとして発売予定の『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、『ファイナルファンタジーVII』は『FFVII』と略しているところがあります)。

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 本作は『FFVII リメイク』に続く、『FFVII』リメイクプロジェクト3部作の第2作目。クラウドたちはセフィロスを追うため、ミッドガルを後にして広大な大地へと旅立つ。
 描かれるのは、ゲームファンのあいだに強烈なインパクトをもたらした“忘らるる都”まで。広大なロケーションではさまざまなメインストーリーを始め、さまざまなサイドコンテンツが用意され、『FFVII』らしい多彩な遊びもさらにパワーアップ。
 そんな本作の発売を控え、プロデューサーの北瀬佳範氏、クリエイティブ・ディレクターの野村哲也氏、ディレクターの浜口直樹氏にインタビュー。開発秘話や気になるポイントについて直撃した。

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 また、本インタビュー記事と同時に序盤プレイレビュー記事も公開。そちらもお見逃しなく。

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北瀬佳範氏(きたせ よしのり)

株式会社スクウェア・エニックス 第一開発事業本部長
『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 プロデューサー
1966年生まれ。アニメーションの制作会社を経て、スクウェア(当時)に入社。「FINAL FANTASY」シリーズには「V」から参加。「VI」では初のディレクターを務め、以降、多数のシリーズ作でディレクターやプロデューサーとして制作を統括する。
代表作FINAL FANTASY V~VIII、X、X-2、XIII、VII REMAKE ほか
(文中は北瀬)

野村哲也氏(のむら てつや)

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 クリエイティブ・ディレクター。
1991年にスクウェア(当時)に入社。「FINAL FANTASY」シリーズには「V」から参加し、「VII」ではキャラクターデザインを担当する。また、ディズニーとの共演作品である「KINGDOM HEARTS」シリーズでもキャラクターデザインをはじめ、ゲームデザイン、ディレクターを担当するなど、数々の作品で中心的役割を担う。
『FINAL FANTASY VII REMAKE』ではディレクターとして参加。
代表作 FINAL FANTASY V~VIII、X、X-2、XIII、XV、VII REMAKE/FINAL FANTASY VIIシリーズ/KINGDOM HEARTSシリーズ/Parasite EVEシリーズ/すばらしきこのせかいシリーズ/DISSIDIA FINAL FANTASYシリーズ
(文中は野村)

浜口直樹氏(はまぐち なおき)

『FINAL FANTASY VII REBIRTH』 ディレクター
2003年にスクウェア・エニックスに入社し『FINAL FANTASY XII』の制作にプログラマーとして参加する。その後、「FINAL FANTASY XIII」シリーズ、スマホアプリ『MOBIUS FINAL FANTASY』など、数々の制作に携わる。
『FINAL FANTASY REMAKE』では、共同ディレクターとしてチームを牽引。
(文中は浜口)

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マスターアップ! あとは発売を待つのみ
世界が待ち望んだ新しい『FFVII』
ローレン・オルレッドさんのボーカルは野村哲也氏の希望で実現
かなりこだわったキャスティング
好感度を可視化することにした理由
原作との違いが気になるメインストーリーと豊富なサイドコンテンツ
サイドコンテンツはいつでも楽しめ、さまざまなキャラクターも登場
『FFVII』にギルガメッシュが初登場
名作揃う『FF』シリーズのカードゲームに新たに“クイーンズ・ブラッド”が加わる
パーティメンバーとの“連携”がバトルのポイント
探索することで強い召喚獣も入手しやすく
3部作の中の第2作目の位置付け

マスターアップ! あとは発売を待つのみ
――『FFVII リバース』もいよいよ発売間近というところで、ファンとしては楽しみでありつつ、物語がどうなるのかを知るのが怖いところもあるような気持ちですが、作り手の皆さんとしては現在(インタビューを行ったのは2024年1月下旬)、どのような心境ですか?
浜口マスターアップはしていますので、いまはもう2月29日の発売日を待っている状況です。
北瀬『FFVII』という作品を現代の形でしっかりと、皆さんの想像を超えるものとして蘇らせることができたと思いますので、ひとりでも多くの方に遊んでほしいですね。
野村ストーリーに関して言えば、今回の結末を見て皆さんがどう思うんだろう、というのはずっと考えていますね。

――どのような結末になるにせよ、さまざまな意見がありそうですね。それを語り合うのも作品の醍醐味ではありますが……。開発期間中はコロナ禍でもあったと思いますが、振り返ってみて苦労などはありましたか?
浜口コロナ禍になった時期は、ちょうど『FFVII リメイク インターグレード』の開発をしていました。リモートでの開発に移行する必要がでてきて、手探りで進めました。ただ、その環境下でマスターアップから発売まで経験できたのは、『FFVII リバース』の開発へ向けチームとして非常にメリットがあったのかな、と思います。
 また、『FFVII リバース』は重視したいゲームデザイン、目指すべきものが早い段階から構想として固まっていたので、一度やってみてからちょっと戻って作り直して……といった工程を踏むことなく、開発期間をダイレクトに作品のクオリティーに変換できたので、納得のいくところまで作り込め、自信を持って皆さんにお届けできるものになっています。
――開発はかなり順調だったと。
北瀬マスターアップのあたりはたいへんでしたけど、そこまでは本当に順調でしたね。
――Blu-ray2枚組ということで、物量だけでも相当、たいへんだったと思うのですが……。
浜口じつは開発の中盤くらいまでは「2枚組にしても収まるかどうか」みたいな話がありました(笑)。
――『FFVII リバース』は最初から2枚組想定で開発されていたのですか?
浜口そうですね。企画の段階で、Blu-ray1枚では無理なので2枚組にさせてください、というお願いはしていましたね。
――原作のようにプレイの途中でディスクを入れ換えるようなことはあるのでしょうか。
浜口PS5自体がゲームデータをインストールしてプレイするスタイルになっているので、最初にディスクからデータをすべてインストールしてしまえば、プレイ中にディスクを入れ換える必要はありません。そこは原作とは異なる部分ですね。
――『FFVII リメイク』をプレイしたユーザーからのフィードバックが本作に反映されている部分はありますか?
浜口ゲーム体験の部分で言えば、『FFVII リメイク』はストーリードリブンで進んでいく作りかたを踏襲しる部分があり、一部のユーザーからはもっと自由度が欲しいという声があることは認識していました。
 そういう意味で、『FFVII リバース』では新しい『FF』を提示できるのではないかと思います。本作はミッドガルという都市が舞台だった『FFVII リメイク』とは異なり、広大なワールドマップで冒険が広がっていきますので、そこに対してどんな反応、評価があるのか楽しみですね。

世界が待ち望んだ新しい『FFVII』
――北瀬さんと浜口さんは東京ゲームショウやアジア各地でのゲームイベントにも参加されていましたが、各国のゲームファンの反応を見ていかがでしたか?
浜口中国やタイのイベントでプレゼンをさせてもらったんですけど、やはり注目度の高さは改めて感じました。私自身、子どものころに原作をプレイしていたので、このタイトルの影響度や知名度というのは理解していたんですけど、ステージイベントではすごく大きな歓声が上がりますし、そういったところでも本当に期待されているんだなというのは感じました。そんなタイトルに関わることができていることを誇りに感じます。
――『FFVII リメイク』の発表から発売、『FFVII リメイク インターグレード』、そして今回の『FFVII リバース』と、つねに注目を浴び続けてプレッシャーも大きかったのでは?
浜口たしかにタイトルの規模も開発チームの規模も大きく、ユーザーの期待度も非常に高いので、プレッシャーはありました。ただ、どちらかというと、子どものころから憧れてきたタイトルのリメイク作品を開発している、ということのモチベーションのほうが高かったですね。
 開発の主体となるメンバーは私と近い世代が多くて、『FFVII』に影響されてクリエイターを目指した、みたいな人もたくさんいるんです。ですので、このIP(知的財産)に対してリスペクトを持ちながら、みんな楽しんで開発に臨んでいるんですよね。それも作品にいい影響を及ぼしているのかなと思います。原作のクリエイターだった北瀬さんとしてはどうですか?
北瀬お客さんもそうなんですけど、海外を回って世界中のメディアの方に会うと、やはり当時『FFVII』をプレイしていた人がいまメディアとして働いている、ということも多いんですよね。
――たしかにファミ通編集部でもそういう部員が多いですね。
北瀬我々はメディアの方を通してゲームの魅力をお客さんに伝えるので、そのメディアの方が原作を知っていて、ある程度のリスペクトを持って対応してくれるというのは、『FFVII』ならではの部分かなと思います。開発もメディアの方もファンの方も、全体がいい雰囲気になってくれているなと感じますね。
ローレン・オルレッドさんのボーカルは野村哲也氏の希望で実現
――2023年12月に開催された“The Game Awards 2023”ではテーマソング『No Promises to Keep』が発表されました(同アワードでは2024年にもっとも期待されるゲームに贈られる“MOST ANTICIPATED GAME”も受賞)。そのテーマソングを歌っているローレン・オルレッドさんはどういった経緯で起用されたのでしょうか。
野村これは自分が映画でローレンさんの歌声を聴いたがキッカケです。劇中のローレンさんの歌声を聴いて、素直に感動して何度も聴いていました。
 前作のテーマソングもそうでしたけど、作曲は植松さん(『FFVII』の楽曲を手掛けた植松伸夫氏)、作詞は野島さん(原作『FFVII』、『FFVII』リメイクプロジェクトのシナリオを担当する野島一成氏)がやるというのは決まっていて、後はもろもろの条件にも合致していたので、『FFVII リバース』のテーマソングの歌い手として打診をさせていただきました。
――“The Game Awards 2023”ではローレンさんが登場し、生歌でのテーマソング披露、という演出も痺れました。あの演出はThe Game Awards側のアイデアですか?
野村そうですね。すでにテーマソング発表のトレーラー映像を納品していたんですが、ギリギリになってThe Game Awards側から生歌でやりたい、というプランが出てきたんですよ。
 ただ、生歌となると、どうしても会場で歌っている映像がメインになってしまって、映像が観たい方のヘイトになるとよくないので、配信上ではトレーラーの映像をそのまま流してもらって、途中から会場の映像に切り換えてもらうなど、配慮してもらいました。
 映像はフレーム単位で歌に合わせて編集しているので、会場の生歌とタイミングが合うのか心配していましたが、途中まで生歌だと気付かず観ていた方もいるくらい完璧な演出にしていただきました。イベントを主催しているジェフさん(ジェフ・キーリー氏)には、毎回要望に対応していただいて感謝しています。

――トレーラーではエアリスがテーマソングを歌っている様子が映っていましたが、もともと作中でエアリスが歌うという想定で?
野村いえ、最初は想定していませんでした。あのシーンを実際プレイしていただければわかるのですが、実際にエアリスが歌っている、というわけでもありません。テーマソングは早い段階で動いていたので、物語に組み込むのはシナリオ制作途中から決まりました。ただ、『FFVII リメイク』は歌詞をクラウドのイメージにして、今回はエアリスのイメージに、というのは決めていたので、それがうまくハマったかなと思います。
――歌詞のイメージをクラウドやエアリスにする、というのは野村さんと野島さんで話し合われて決めたのでしょうか。
野村そこは自分発信で決めさせてもらいました。先に植松さんに曲をお願いして、野島さんに歌詞を乗せてもらうという流れでしたね。
――ちなみに、トレーラーでは『FFVII リメイク』のジェシーらしき人物が踊っている姿がありましたが……あれはジェシーなのですか?
野村ジェシーではありますが、それもプレイしてご自身で確かめてください。

かなりこだわったキャスティング
――ブロードやシロン医師など、原作『FFVII』に登場しなかったキャラクターたちも登場しますが、こちらは物語に厚みを持たせるために追加されたのでしょうか。

カーム宿屋カーム・インのオーナーのブロード(左)。砂漠の監獄コレルプリズンのボス、ロドリー・ゲス(右)。

野村新しいキャラクターを入れよう、という意図で入れているのではなくて、物語として必要なキャラクターが増えた感じです。原作にもいたけれど、名前がついてなかったキャラクターに名前がついたことで、新キャラのように見える、というケースもあるかと思います。
浜口たとえば、原作だと船に乗ったときに船長が出てこなくてもそこまで違和感はなかったと思うんですが、ディティールまで表現するいまの作品だと、そこで何かしら中心となる人物が出てこないと違和感を抱いてしまうんですね。
――連絡船のチトフ船長の登場はまさにその例ですね。

連絡船第八神羅丸のチトフ船長。

浜口はい。そこでキャラを立たせた結果、人が増えているのかなと思います。
――原作にも登場したキャラクターで言うと、いまの技術で表現するとよりクセが強くなっていますよね(笑)。ゴールドソーサーのディオ園長もムキムキで存在感がスゴい。

野村あれはもう、自分がこだわってデザインしました(笑)。
――野村さんみずからあのキャラを?
野村なんでそこをデザインしてるんだと思われるかもしれませんが(笑)。
――しかもボイスは山寺宏一さんという贅沢。
野村キャスティングのときに、音響監督の清水さん(東北新社の音響監督。野村氏が手掛ける作品の多くを担当)に「イメージ的には山寺宏一さんですね。エンターテイメントのドンという感じで」みたいな話しをしていたら、そのまま山寺さんに演じてもらうことになりました。
――ああ、話しを聞いてるだけで楽しそうです(笑)。前半は。先に進めたくなくなりますね……。ずっと楽しいままの世界であってほしい(笑)。
北瀬前半コミカルで物語が進むにつれてシリアスになるのが『FFVII』の特徴ですよね。
――たしかにそうですね。そしてバレットと因縁のあるダインは津田健次郎さん。

野村ダインは今回出てくるシーンの演技を見てもらえれば、津田さんで間違いなかったと皆さんにも思ってもらえるかなと思います。すばらしい仕事をしてくれました。
浜口本当にハマっていますよね。
――試遊した範囲ではブロード役の藤真秀さんも、物腰が柔らかい宿屋の主人、しかも儚げな感じがすごくよかったです。
野村全体的にキャスティングにはかなりこだわっているので、皆さんハマっていると思います。そのあたりも楽しみながらプレイしてほしいですね。
好感度を可視化することにした理由
――原作や『FFVII リメイク』でもキャラクターの好感度がイベントに変化をもたらすという要素がありましたが、その好感度を可視化できるようにしたのはどうしてですか?
浜口そこをどうするかはいろいろ議論したところで、当時、原作を遊んでいたプレイヤーと、いまのプレイヤーとでは感覚が違っていると思うんです。しかも本作はメインストーリーだけでも40時間以上、サイドコンテンツも含めれば100時間を超えるかもしれないボリュームで、たとえば、デートイベントの相手が想像と違った、となったときに許容できるプレイヤーは昔ほど多くないと思うんです。
 ですのである程度、好感度がわかるようにして、安心してプレイできたほうがいまの時代には合っているのかなと思い、好感度の表示を入れています。
 ただ、好感度をデジタルな数値で表してしまうと人間味がなくなってしまうので、あまりデジタルにならないようにしつつ、変化があったかどうかを確認できる程度に留めています。

原作との違いが気になるメインストーリーと豊富なサイドコンテンツ
――『FFVII』のリメイクプロジェクトでは、原作のストーリーに沿った物語が描かれつつも、リメイクによる新しさや変化もあり、そのバランスが原作『FFVII』ファンにとっても大いに気になるポイントのひとつになっています。今回は、オープンワールド的なエリアが広がり、遊びの部分でも大きな変化があるなと感じました。
浜口原作『FFVII』でもワールドマップは存在していましたが、そこにゲーム性があるというよりは、歩いているとエンカウントしてバトルがあって、ロードを挟んで街などに入る……という構成で、ワールドマップ自体ではとくにディティールが描かれていませんでした。
 逆に言えば、今回描いているワールドマップは、当時のクラウドたちは「じつはこんな世界を旅していたんだ」という風に感じてもらえるかと思います。また、『FFVII』ではゴールドソーサーのゲームとして登場していたモグハウスが、本作では複数のエリアに登場するのですが、「『FFVII』のモグハウスはじつはワールドマップ内にあったものがゲーム化されていたのかな?」といった感じで想像力を膨らませていただけるとうれしいですね。
――ゲーム全体の描写力が上がって、原作のころには表現されていなかったものが表現され、プレイヤーの目に映るようになった、みたいなイメージですね。
浜口細かな部分をより詳細に描くことで、原作のときには気付けなかったものに気付いていただけるようになっています。
――原作を知っているからこその楽しみもあると。
浜口はい。前作でフィーラーというキャラクターが登場して、本作ではザックスが要所要所で物語に関わってくることで、原作のファンはストーリーが変わるのか、それとも変わらないのか、その謎を抱えたままプレイしていただけるようになっています。
――今回は探索要素が非常に多岐に渡っていますが、メインストーリーとサイドコンテンツのバランスというのはどのように考えられたのでしょうか。
浜口そのバランスにはかなり気を使っています。ワールドマップがただ広いだけでスカスカだと言われてしまわないように、プレイヤーが空間の広さを感じつつもゲーム体験の密度を保てるギリギリのラインを決めていきました。
――“ライフスポット”(発見することでその土地について深く知ることができる)や“トレジャースポット”(施設や住居跡などでの宝探し)など、チョコボに乗って駆け回っているだけでも、何かしらの発見がありますよね。ついつい探索したくなる仕掛けがたくさん用意されているように感じました。

浜口そう言っていただけるとありがたいです。各ロケーションではワールドレポートとクエストがサイドコンテンツの大きな軸となるのですが、これもそれぞれで立ち位置が違っています。
 ワールドレポートは、通信塔を起動することで何かある場所が把握できて、そのポイントに行けば完結できるようになっています。その場で発生するミニゲームもお手軽なものが多くて、とにかくそれぞれのポイントに向かって、ミッションを埋めていくのが気持ちいいような構成ですね。

浜口それに対してクエストは、その場所に行くだけでは終わらず、そこから派生的にあちこちに向かって、さまざまな要素に巻き込まれるようになっています。
 ここはプレイヤーの好みやプレイスタイルによって好きなコンテンツを楽しんでもらえればと思います。
 ただ、サイドコンテンツがどのくらいあるのか何も指標がないと「どれだけやったらいいの?」と不安になると思いますので、進行状況が確認できるようにしています。ですので、サイドコンテンツを徹底的にやってもいいですし、ある程度進めたらメインストーリーを進めていただいてもいいですし。
サイドコンテンツはいつでも楽しめ、さまざまなキャラクターも登場
――そうしたサイドコンテンツはメインストーリーを進めた後も戻ってプレイすることはできるのですか?
浜口はい。ラストダンジョンに踏み込むまではどこまでも戻れる設計にしています。
 サイドコンテンツはいつ戻ってきても再開できます。さらにメインストーリークリアー後は達成済みクエストをリセットして、再プレイ可能にするオプションが追加されます。
 サイドコンテンツには条件分岐がたくさんあり、「ここまで進めてこちらに戻ると、このクエストだけ挙動がおかしくなる」といった不具合を最後の最後まで潰していきました。
北瀬そのあたりのチェックはたいへんでしたね。
――クエストではキリエが登場したり、チョコボ・サムの名前が出てきたりと、前作に登場したキャラクターも登場するようですね。
浜口クエストはメインストーリーでは語り切れない世界観をフォローできればと思っています。『FFVII リメイク』に出ていたキャラクターだけではなく、『FFVII』のコンピレーション作品のキャラクターたちも登場し、けっこう豪華な構成になっているので、そのあたりもぜひ楽しんでいただければと思います。

『FFVII』にギルガメッシュが初登場
――連続性のあるサイドコンテンツとして“エンシェントマター”の手掛かりを追うクエストもありましたが、4つ目のミッションをクリアーしたときに、ギルガメッシュのようなキャラクターが登場して驚きました。あれは……ギルガメッシュですよね?

浜口あれはギルガメッシュです。
――おお、では源氏シリーズの武具なども……。
浜口詳細はまだお答えできませんが、エンシェントマターのクエストは各ロケーションに行くたびに物語が展開して、調査、収集を進めていくことになります。
 各地でミッションを達成していくとそれがさらに広く波及していき、ギルガメッシュやほかのキャラクターも……。それ以上は、ぜひプレイして確かめてもらえればと思います。
――ギルガメッシュは原作の『FFVII』にも登場していませんでしたが、登場させることにした経緯は?
浜口最初は、『FFVII』の全世界規模で動くクエストのキャラクターとしてギルガメッシュなど、いくつかのキャラクターを提案しました。
野村個人的には、世界観が違うから便利に使うものではない、とは思ったんですけどね。せめて世界観を崩すことはないようにと、いつもよりは『FFVII』寄りの調整をしました。
――『FFV』で初登場するギルガメッシュですが、キャラクターデザインは……野村さんですか?
野村ギルガメッシュは最初、自分がドットで打ったキャラクターだったんですよ。その後、天野さん(天野喜孝氏。『FF』シリーズのキャラクターデザインやイメージイラストなどを手掛ける)さんにイラストを発注しました。当時はそういうことも多かったですね。
名作揃う『FF』シリーズのカードゲームに新たに“クイーンズ・ブラッド”が加わる
――サイドコンテンツと言えば、本作では“クイーンズ・ブラッド”というカードゲームが新たに登場しています。『FF』シリーズのカードゲームといえば、『FFVIII』の“トリプル・トライアド”や『FFIX』の“クアッドミスト”が思い出されますが、“クイーンズ・ブラッド”もやり込めそうなカードゲームですね。

浜口本作では30種類以上のミニゲームを作っているんですが、その中には一部エリアでだけで流行っているものもあれば、特定のクエストでしか登場しないようなものもあります。逆に、ゲーム全体を通して継続的にプレイできるミニゲームもひとつは入れたいなとは開発序盤から考えていました。
 私が『FFVII』や『FFVIII』が好きだったこともあり、中長期的なミニゲームを入れるとなったら、やはりカードゲームを入れたいなと思っていました。そこで弊社のカード系のテーブルゲームが好きな人に集まってもらい、企画を出してもらって……という流れで進めていきました。
――ミッドガルでは“コンドルフォート”(『FFVII リメイク インターグレード』に登場したタワーディフェンス型シミュレーション)が流行っていたように、世界では“クイーンズ・ブラッド”が流行っていると。
浜口“コンドルフォート”に関しても、ジュノンに行くと新しくアレンジされた“コンドルフォート”が体験できますよ。
――おお、本当に遊びが豊富ですね。
浜口そうしたゲームは好きな人もいれば、苦手という方もいらっしゃると思うので、“クイーンズ・ブラッド”をプレイすることで本編のバトルが有利になるような要素は、一切入れていませんのでご安心を。報酬はあくまで新しいカードが手に入ったり、デッキを作りやすくなったりするようなものになっています。
 ただ、“クイーンズ・ブラッド”については全世界を通して継続的に遊べるものになっていて、ただバウター(対戦相手)を倒していくだけではなく、“クイーンズ・ブラッド”のカードがどのようにして生まれたのか、また、クラウドがある事件に巻き込まれていく物語も用意しています。
 また、見覚えのあるキャラクターがバウターとして登場したりしますし、バウターの強さはプレイヤーのレベルに準拠し、メインストーリーのどのタイミングからでも始められるようにとこだわった部分なので、ぜひプレイしてみてほしいですね。
 “クイーンズ・ブラッド”以外にも“エンシェントマター”やモーグリハウスは各地にある要素なのですが、基本的に難度は相対的に上がっていくようになっています。どこからでも始めることができて、必ず同じ結末にたどり着けるように調整してあります。
 ある程度進んでからでも、一度クリアーしてからチャプターセレクトで戻ってサイドコンテンツをプレイするでも大丈夫です。
パーティメンバーとの“連携”がバトルのポイント
――バトルについても伺いたいのですが、新たに追加されたパーティメンバーどうしの連携について、改めてご説明いただけますか?

浜口前作のバトルシステムから、攻略要素としてはアクション部分と原作に近いコマンド戦略の部分とで、ハッキリと立ち位置が分かれています。本作で連携の要素を入れる際にも、連携アクションはアクション面、連携アビリティはコマンド選択面で、それぞれ異なる役割を持っているんです。
 アクションが苦手で、ATBゲージが溜まったらアビリティを発動、というプレイスタイルの方であれば、極端な話、連携アクションは使わなくてもプレイを楽しんでいただけます。
 ただ、ATBゲージが少ない状態だと□ボタンによる攻撃やガードといった選択肢しかなく、しばらく手詰まり感がありました。
 そこで、ATBゲージを必要とせず、溜め攻撃やカウンターなどでATBゲージを溜めやすくするのが連携アクションです。
――本作では空中に打ち上げるような技も多く用意されていますね。
浜口空中に移行できるかどうかはアビリティに属性が付いていて、たとえばラピッドチェインであれば、空中の敵には飛び上がって斬りつけ、そのまま空中での連続攻撃につなげることができます。
 連携アクションであればATBゲージもMPも消費せず、ノーコストで空中戦に移行できるので、そういったアクションを取り入れていただければ、気持ちよく戦えると思います。
――試行錯誤が楽しそうですね。
浜口そう感じていただけるとうれしいです。
探索することで強い召喚獣も入手しやすく
――召喚獣のタイタンはグラスランドエリアのバトルシミュレーターで挑戦することができましたが、召喚獣は基本的にはバトルシミュレーターで手に入れたい召喚獣を倒すとそのマテリアが手に入れるのでしょうか。
浜口基本的にはそうですね。召喚獣のマテリアはバトルレポートで生成する、チャドリーと絡めた設計になっています。
――ワールドレポートで召喚獣の祠のミッションをこなすことで、バトルシミュレーターの召喚獣を弱体化できるのはありがたかったです。

浜口ワールドマップを探索することでやれることが増えていく、という要素はいろいろなところに入れたかったんです。召喚獣についても、探索をすればするほど倒しやすくなるようにしています。
 また、召喚獣バトルについてはバトルディレクターの遠藤(遠藤皓貴氏)のこだわりもあって、召喚獣は強くあるべきだ、という想いを反映している面もあります。多分、最初にタイタンと戦えるタイミングで挑んだら、ボコボコにされると思うんですよ(笑)。
――はい、歯が立ちませんでした(笑)。
浜口そこでパーティメンバーを強化・成長させて再挑戦するのもいいですし、ワールドマップを探索して弱体化させてから挑むという選択もアリです。その両方を提供できるようにしたうえで、今回は召喚獣を強くさせてほしいという強い要望があったので、そこは遠藤のセンスを信じました。

――イフリートやシヴァも使えましたが、前作に登場した召喚獣は使えると考えていいのでしょうか。
浜口すべてではありませんが、前作にいた召喚獣も登場します。前作のセーブデータがあれば特典として召喚マテリアが手に入りますし、そうでない方も標準でいくつかの召喚マテリアを持った状態からスタートします。
――チャプター2の最後にはミドガルズオルムとのバトルも体験できました。原作ではチョコボに乗ってミドガルズオルムから逃げるのが基本的な進めかたでしたが、今回はミスリルマインの前に立ちはだかるボスとして避けられない相手になっていますね。
浜口本作におけるミドガルズオルムはチャプター2の区切りとなるボスなので、必ず倒すべき相手になっています。逆に、原作では串刺しにされたミドガルズオルムは1枚絵で、串刺しになった姿しか確認できませんでしたが、今回は串刺しになる瞬間も描いていますので、ここも原作ユーザーであればまた違った目線で楽しめるかなと思います。

3部作の中の第2作目の位置付け
――3部作の真ん中にあたる第2部ということで、改めてリメイクプロジェクトにおける立ち位置や、全体を通して原作のディレクターを務めた北瀬さんから見た感想を伺えればと思います。
北瀬今回はクラウドの回想シーンを通じてセフィロスの過去から始まるので、セフィロスを中心とした物語という意味では、前作に触れていない初見の方でもしっかり入れるスタートになっているかなと思います。もちろん、3作目に続けていかないといけないので、そこへの期待が持てるような終わりかたについても大切にしています。
 1作目から今回の2作目についてもそうでしたが、ゲーム制作には年単位で時間がかかってしまうので、そのあいだもファンの方たちにストーリーの考察やゲームデザインに関する議論など、いろいろと話し合えるものになっていると思います。
――『FFVII リメイク』発売後もストーリーに関する考察が盛り上がっていましたね。
北瀬そうですね。1作目のエンディングで原作とは違う展開をお見せしたので、さまざまな考察がされているのを見るのはうれしいですね。ただ、作り手としては当てられてしまっても困るんですけど(笑)。そういう面も含め、最後まで盛り上がり続けてほしいですね。
――第3部のシナリオはすでにできあがっているのでしょうか。
野村シナリオはひと通り終わっていますが、まだまだやらないといけないこともあります。ですよね? 北瀬さん。
北瀬野島さんからシナリオはあがってきていて、大枠はできあがっている状態です。そこからゲームにどう落とし込んでいくか、というのが浜口たちの仕事になるのですが、「ここはこうしたほうがいい」みたいな想いが僕や野村にもあるので、そこはまだアイデアを出したりはしていますね。
浜口この『FFVII』のリメイクプロジェクトで個人的なポリシーは、ストーリー部分については原作に関わっていた方々に責任を持ってもらうことなので(笑)、そこに関して私は原作に関わった方々に委ねている状態です。ですので、原作の作り手の人たちにいろいろこだわってもらえるのはありがたいですね。
 ただ、「これでいこう!」というものが決まったら、いまの時代のゲームとして最高のクオリティーで作る、という部分に対して私が責任を持っています。お互いにそれぞれの役割に責任を持ちながら開発を進めていて、それが非常にうまく働いているプロジェクトだなと感じています。
――なるほど、楽しみにしています。では最後に、読者へのひと言お願いできますか?
北瀬原作をプレイされた方は、今回ワールドマップが入ることでどうなるのか、当時のワールドマップがどんな風にリメイクされるのか、いろいろと想像をされているかと思います。本作はそこに真正面からぶつかって、その想像を上回るような体験を提供できると思いますので、期待していただければと思います。
浜口『FFVII』の世界はミッドガルを脱出したタイミングで、原作でも大きく広がっていたので、そのときの解放感みたいなものは、とくに期待されている部分だと思います。北瀬が言う通り、その期待に正面から挑んで、いいものができたと思っています。本当に楽しんでもらいたいタイトルに仕上がっているので、ぜひ手に取ってプレイしていただきたいです。
野村『FFVII リメイク』はミッドガル脱出までを描くことにした時点で、ワールドマップに出ていく2作目のハードルがかなり高くなるというのは、もとからわかったうえで開発に臨みました。そこを覚悟して作ってきたので、きっと皆さんの期待を超えるものに仕上がったと思っています。
 原作をプレイされた方はご存じの通り、この先はさらに、世界規模でとんでもないことになるので、さらにハードルは上がっていくと思います。本作を遊んでいただければ、その先も期待をしていただけると思うので、ぜひご自身で触れて、体験して、いろいろと感じていただきたいと思います。

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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202402/07332735.html

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