アトラスから2024年3月12日より第1弾が配信開始となる、『ペルソナ3 リロード』(以下、『P3R』)の“エクスパンションパス”。このDLCについて、開発者に直撃インタビュー。『P3R』本編の後日談にあたる“Episode Aegis”について、リメイクの方針や新要素など、気になるアレコレを質問させていただいた。後日談のネタバレはないので、興味がある人はぜひ当記事をチェックしてほしい。
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『ペルソナ3 リロード』DLC“エクスパンションパス”が発表。3つのコンテンツで構成されており、第1弾は3月12日、第2弾は5月、そして“エピソードアイギス”のフルリメイク版は9月の配信予定。
和田和久(わだ かずひさ)
『ペルソナ3 リロード』ゼネラルプロデューサー
橋爪悠(はしづめ ゆう)
『ペルソナ3 リロード』“Episode Aegis”ディレクター
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高いハードルがあった、後日談のリメイク
リメイク方針は、『P3R』本編から貫いている
後日談だけじゃない、エクスパンションパスの内容
“女性主人公”のこと、“次”のこと
高いハードルがあった、後日談のリメイク
――エクスパンションパスのことをお聞きする前に、まずは『P3R』本編について触れておきたいと思います。本編の発売(2024年2月2日)から1ヵ月ほどが経って、プレイヤーからの反響をどのように受け止めていますか?
和田いまはとても幸せで、感謝の気持ちでいっぱいです。遊んでくださっている方々の声に癒されて、これまでの苦労が報われるような、心が洗われるような思いに包まれています。何より、プレイヤーの皆さんが今回のリメイクを広く受け入れてくださっているようで、安堵しました。
――旧機種向けに発売されたオリジナル版を未プレイの人や、劇場版アニメで『ペルソナ3』を知ったという人も多いと思いますが、そういった新規のプレイヤーからも好評だったのでしょうか。
和田そのように感じています。また、『ペルソナ5』を好きになってくださった方が、そこから遡って『ペルソナ4』や『ペルソナ3』に興味を持ってくださったケースも多いようで、そういった方々がいまの時代に『P3R』を遊んで何を感じるか……というのは、開発者としても大きな関心事でした。今回のリメイクをきっかけに、より多くの方に本作やシリーズのことを知っていただけたら、とてもうれしいです。
――往年の『ペルソナ3』ファンからは、『P3R』の発表直後から「アイギス編もリメイクしてほしい」といった声が多く挙がっていました。今回発表されたエクスパンションパスは、まさにその要望に応えるものかと思いますが、いつごろからこれを企画していたのでしょうか?
和田『ペルソナ3』をリメイクするならば、完結の物語である“Episode Aegis”も欠かせませんので、『P3R』を最初に起案したときから必ずや実現させたいと考えていました。しかし、さまざまな事情により、今回のリメイクを実現させるにあたっては乗り越えねばならない問題が山積みで、『P3R』本編のプロジェクトからして立ち上げるのに相当苦労した経緯があったんです。そんな状況もあり、“Episode Aegis”のリメイクも、いったんは断念せざるを得ませんでした。
――断念とは、よほどの事情だったのですね。
和田それでも、心の底ではどうしても諦めきれなかったので、本編の開発を進めている最中にも方法をずっと探り続けて……。そんななか、いよいよ『P3R』という作品の存在を世に発表してからは、ファンの皆さんからも後日談を望んでくださるお声をたくさんお寄せいただきました。同じ気持ちを抱いていた僕たちにとっては非常に心強かったですし、正直、皆さんから背中を押していただけたことが、実現させるうえで何よりの力になっています。本当に、ありがたかったです。
――では、正式に開発が決定したのは『P3R』本編を発表した後だったのですね。
和田そこも苦労した理由につながるのですが、ディレクターの山口(ペルソナチーム所属の山口拓也氏)を始めとする開発チームは、本編の開発にひたすら注力していたので、後日談にまでリソースを割く余裕がほとんど無かったんです。いざとなったら、僕がディレクター職に舞い戻ってでも進めようと思っていましたが、そんなある日、社内の別チームからディレクター経験のあるスタッフをアサインできるかも、という情報をもらいまして。
――そこで白羽の矢が立ったのが、橋爪さんだったのですね。メディアにご登場いただくのは初めてとのことですので、自己紹介をお願いできますでしょうか。
橋爪“Episode Aegis”の開発ディレクターを務めている、橋爪と申します。アトラスには中途採用で入社しまして、まずは『幻影異聞録♯FE』に関わり、その後は『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』、『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』、『幻影異聞録♯FE Encore』、そして直近では『ソウルハッカーズ2』に参加しました。各タイトルでおもにバトルのプランナーを担当し、『幻影異聞録♯FE Encore』ではディレクターを務めさせていただきました。
――なるほど。いずれもペルソナチームとは別の開発ラインで作られたタイトルですよね。いわゆる異動ではなく、チームの垣根を越えての参加というのは、よくあることなのですか?
和田ディレクター職となると、めったにないですね。そこをこじ開けなくてはいけないくらい、切実に人材が必要だったんです……(笑)。
橋爪ある日とつぜん別チームのトップから声を掛けられたので、私も驚きました(笑)。
――そのときは、どのように返事をしたのでしょう。
橋爪さすがに、ふたつ返事で「やります!」とは言えなかったですね。『ペルソナ3』という重要なタイトルのディレクションを担当することのプレッシャーも想像しましたし……。ですが、純粋にアトラスの開発者として『ペルソナ』シリーズに関わる機会も貴重ではないかと考えまして、チャレンジさせていただくことになりました。
――和田さんから見て、橋爪さんなら任せられると思ったわけですね。
和田期待に応えて、すごくしっかりディレクターを務めてくれています。最初に声を掛けたときは、「ちょっとしたサポートをしてくれないかな?」という感じでフワッと誘ったんですけれど、結果的にはガッツリと関わってもらっています(笑)。
リメイク方針は、『P3R』本編から貫いている
――『P3R』本編は、シナリオやキャラクターの根幹を改変することなく、現行機種向けの『ペルソナ5』や『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』と同等レベルでグラフィックや操作性などを再構築する、というリメイク方針を掲げていました。“Episode Aegis”については、いかがでしょうか。
橋爪『P3R』本編と同じ方針とクオリティーでリメイクするというのが、“Episode Aegis”の大前提になっています。本編ともども楽しんでいただけるよう、丁寧に再構築することを心掛けています。
和田また、(『ペルソナ3 フェス』に収録された)オリジナル版の“Episode Aegis”は、その衝撃的な内容から、プレイヤーの皆さんのあいだで物議を醸した側面もあったかと思いますが、それと同時に『ペルソナ』シリーズにおいて、曲げてはならない史実だと考えています。ここも、根幹を変えるようなことはしていません。
――確かに、自分もオリジナル版で後日談を見届けたときは衝撃を受けました。主人公のことを思うがゆえの仲間たちの言動が、心に突き刺さって……。
和田一部の仲間は、本編では見せなかったような感情を露わにするシーンもありますからね。シナリオの根幹こそ変えていませんが、個々のセリフについては、いまの時代や『P3R』本編にあわせて細やかに調整している部分もあります。仲間たちそれぞれの戦う理由なども、より納得感をもって伝わってくるのではないかと。
――個人的な思い出を言いますと、自分は山岸風花推しなんですけれど、後日談では岳羽ゆかりの言動がとりわけ印象に残っています。とあるシーンでは、「ゆかりっちは僕(主人公)のことをこんな風に思ってくれていたのか……!」と感銘を受けてしまいました。
和田強い印象を残すセリフほど、リメイクでも安易に改変するわけにはいかないですよね。オリジナル版のころはプレイヤーで、いまは開発チームにいるスタッフたちに当時の印象を聞くと、ゆかりの言動について語られることが確かに多かったです。女性陣からは、後日談でゆかりに共感したという声が多く挙がったことも、個人的にはちょっと新鮮な気づきでした。
後日談だけじゃない、エクスパンションパスの内容
――オリジナル版の後日談はけっこうなボリュームがあったと記憶していますが、リメイク版のプレイ時間はどれくらいになりそうでしょうか。
和田ゲームのシステムやテンポも『P3R』本編準拠で作っていて、全体的にテンポ向上を図っていますので、オリジナル版よりも若干だけプレイ時間がコンパクトになる見込みです。
橋爪たとえば、ダンジョン内では本編と同様にダッシュで移動できますし、後日談ではアイギスを操作することになるので、遠距離からオブジェクトや敵を狙撃するなどしてサクサクと探索しやすいかと思います。
――『P3R』本編では、タルタロス内部の様相がだいぶ変わっていましたが、後日談のダンジョンはどうなるのでしょう。
橋爪後日談で挑むことになる“時の狭間”は、タルタロスと同じく自動生成のダンジョンですので遊び心地は似ていますが、様相はまったく新しいものになっています。詳細はまだお伝えできないのですが、探索の遊び要素もいくつか追加しています。
――BGMも、本編と同じくオリジナル版からアレンジなどが行われているのでしょうか。
和田はい。喜多條(『P3R』のサウンドコンポーザーを務める喜多條敦志氏)が全面的にアレンジしており、小塚(喜多條氏と同じくアトラス・サウンドチームに所属する小塚良太氏)による新曲も2曲追加しています。新曲のひとつはオープニングテーマで、もうひとつはダンジョンで敵に先制攻撃を仕掛けたときの戦闘BGMですね。
――喜多條さんによるアレンジは本編でもイカしていましたし、小塚さんも『ペルソナ ダンシング』シリーズなどで手腕を発揮されていたので、楽しみです。
和田喜多條のアレンジは僕もすごく好きですし、小塚の新曲に関して言えば、いわゆる“エモさ”みたいなものを感じました。それを本人に伝えたら「まさにそれを意識してみました」と言われたので、皆さんにもぜひ聴いていただきたいです。
――エクスパンションパスのコンテンツのうち、まずは“ペルソナ5 ザ・ロイヤル EX BGMセット”と“ペルソナ4 ザ・ゴールデン EX BGMセット”が2024年3月12日から配信され、5月に“群青色の衣装&BGMセット”が配信開始予定となっていますね。
和田もともと本編では、戦闘のBGMを変えられてもダンジョン探索のBGMは変えられなかったのですが、エクスパンションパスをお求めいただくことで、本編や後日談でもそれらを変えることが可能になります。衣装のほうも、メティスを含めてパーティーキャラクター全員ぶんを用意していますので、こちらもぜひお楽しみに。
――“Episode Aegis”は9月配信開始予定とのことですが、開発の進行度はいかがでしょうか。
橋爪現状、40~50%くらいでしょうか。全体のベースとなる部分はできているので、これから各要素の制作とクオリティーアップを進めていくところです。9月の全世界同時配信に向けて、引き続きがんばります。
――楽しみにしています!
“女性主人公”のこと、“次”のこと
――ところで、この機会に敢えてお訊きしたいのですが、『ペルソナ3 ポータブル』で追加された“女性主人公”をリメイク版でも実現してほしいというファンの声を、少なからず見かけます。将来的に実現する可能性はあるのでしょうか……?
和田女性主人公については、本当に心苦しいのですが……、その可能性は残念ながら、ありません。もちろん、女性主人公についても同じく企画検討していたのですが、“Episode Aegis”の数倍におよぶ長大な開発期間とコストを要することが予想されまして、そのハードルがあまりにも高く……。また、僕たちペルソナチームとしては、リメイクのみならず“完全新作”にも取り組んでいくという使命もあります。これからの展開にもご期待いただけるようスタッフが一丸となって進めておりますので、ファンの皆様におかれましては、どうかご理解をいただけましたら幸いです。
――わかりました。ぜひ、これからに期待させてください。それでは最後に、エクスパンションパスを楽しみにしている方々に向けて、メッセージをお願いします。
橋爪『ぺルソナ3』の後日談の存在を知っていても、これまでは『ペルソナ3 フェス』でしか遊べませんでしたので、未プレイの方も多かったのではないかと思います。この機会にぜひ、『P3R』の完結の物語を体験していただけたらうれしいです!
和田近年の作品ですと、開発がほぼ完了してから世に発表するケースが多いのですが、“Episode Aegis”に関しては開発の真っ只中です(笑)。それでも、きっと皆さんに楽しんでいただける仕上がりになりそうだという手応えを感じながら、ただいまガンガン作り込んでいます。9月まで少々お待ちいただくことになりますが、これからも応援をどうぞよろしくお願いいたします!
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...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202403/08336894.html