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『聖剣伝説 ヴィジョンズ オブ マナ』小山田Pインタビュー。誰が見ても『聖剣伝説』であると感じられるよう、まずはビジュアル面からアプローチ。開発はネットイース・桜花スタジオとの初タッグ | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 スクウェア・エニックスのアクションRPG『聖剣伝説』シリーズの最新作、『聖剣伝説 VISIONS of MANA』。対応ハードは、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、PC(Windows/Steam)で、2024年夏発売予定となっている。

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 本記事では、『聖剣伝説』シリーズプロデューサーであり、本作においてもプロデューサーを務める小山田将氏にインタビュー。約17年ぶりの完全新作の開発がスタートした経緯や、細かなシステム面について気になることをお聞きした。なお、同作については試遊レビューも行ったので、ぜひ併せてチェックしてほしい。

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小山田 将 氏(おやまだ まさる)

『聖剣伝説』シリーズプロデューサー。(文中は小山田)

『聖剣伝説』への原点回帰を目指して――ビジュアル面からのアプローチ
――『聖剣伝説 VISIONS of MANA』は約17年ぶりの、家庭用ゲーム機向け完全新作です。2021年6月に、公式生放送にて「新作を制作しています」と発表がありましたが、そのころから開発はスタートしていたということでしょうか。
小山田はい。そのころにはすでに『聖剣伝説 ヴィジョンズ オブ マナ』の開発がスタートしていました。とはいえ、まだまだ初期段階でしたが。

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――そのころ、『聖剣伝説』シリーズの完全新作タイトルを制作しようと決めたきっかけは?
小山田これまでリメイクやリマスター作品は発売してきましたが、「やっぱり、新作を作らないとシリーズのリブートとは呼べないな」と思っていました。ただ、私がプロデューサーを担当するようになったころから、「『聖剣伝説』は遊んだタイトルによって、プレイヤーの意見や思い出が大きく違う」と、正直感じていました。
 『聖剣伝説2』がいちばん好きという人もいれば、『聖剣伝説3』がいちばんだという人もいて……作品によって、システムや人気がバラバラなのです。ですので、いきなりシリーズ完全新作を作るよりも、どんな方向性で進化させるべきなのかを検討すべきだと思い、リメイクやリマスター作品を送り出してきました。
 そうする中で進化の方向性が定まってきたこともありますし、何よりきっかけになったのは、『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』です。遊んだプレイヤーの方々から「つぎは新作を遊びたい」といった声を多くいただいたことが、『聖剣伝説 ヴィジョンズ オブ マナ』制作につながりました。
――タイトルを『聖剣伝説5』にはしなかったのですね。
小山田海外ではもともと、『聖剣伝説』シリーズのタイトルにナンバーはつけられていませんでした(※)。いまはグローバル展開が基本となっていることもあり、“○○ オブ マナ”という名前をベースに考えています。シナリオやキャラクターのイメージが固まってきたときに、いままでのタイトルとのスペルが被らないように気を配りつつ、『ヴィジョンズ オブ マナ』という名前に決めました。
※海外におけるタイトル名は、ナンバリング初代は『Final Fantasy Adventure』、2作目は『Secret of Mana』、3作目は『Trials of Mana』、4作目は『Dawn of Mana』。ただし『聖剣伝説3』はオリジナル版は海外展開しておらず、『聖剣伝説コレクション』発売時に海外名が決まった。
 ローカライズスタッフが本作の内容を見たうえで、物語の捉えかたや見えかたによって複数の意味合いが感じ取れるように“VISIONS”を提案してくれたのですが、「頭文字の“V”で“聖剣伝説5”を表しているのではないか?」という反応を見て、むしろ“V”ではなく前の2文字で“VI”にも捉えられるので、「“聖剣伝説6”なのでは」と言われてしまうかもと、いま不安を覚えました(笑)。
――言われてみれば、6に見えますね(笑)。先ほど「『聖剣伝説』シリーズはいろいろなファン層がいるので、方向性を検討した」といったお話がありましたが、そこからどのように本作の内容を決めていったのでしょうか?
小山田まず、何をもってして『聖剣伝説』と言えるのか。そこが大きな課題で、とても難しいところでしたが……『聖剣伝説』と言われて思い浮かぶのは、『聖剣伝説2』のパッケージなどを手掛けられた、磯野宏夫さんのマナの樹ですよね。
――いくつもの緑で描かれた樹が印象的です。
小山田キャラクターに関しては、イラストレーターのHACCANさんと長くお付き合いできていたことが、幸いなことでした。HACCANさんは長く『聖剣伝説』のリメイクに関わっていて、多くのキャラクターを描いています。そしてモンスターとしては、ラビなどがいます。このように『聖剣伝説』からイメージする要素をピックアップしていくと、ビジュアルの方向性が見えてきたので、まずはビジュアル面からアプローチして、ゲームのイメージを固めていきました。磯野宏夫さんが手掛けたような背景アートをゲームのフィールドに落とし込みつつ、HACCANさんが手掛けてきたキャラクタービジュアルが組み合わさるゲームを目指しました。
 そして、ラビの部分では、オリジナルのキャラクターデザインを手掛けた石井浩一さんにお願いしました。「ラビを作り直すので、見てほしいです」と。おかげで、本作のどこを切り取っても「これは『聖剣伝説』だ」と思えるビジュアルになったんじゃないでしょうか。

――キービジュアルをパッと見るだけで、『聖剣伝説』だと伝わりますよね。キャラクターも、過去の『聖剣伝説』シリーズ作品のキャラクターの要素を取り入れているように見えます。
小山田HACCANさんは過去作をリメイクするにあたり、シリーズキャラクターのほとんどを改めて見てきたと思うので、本作においても、『聖剣伝説』らしい要素をうまく落とし込んでくれたと思っています。こちら側から、キャラクター設定やシナリオはもちろんお伝えしていますが、デザインに関して強くお願いした要素はとくになく、基本的にはHACCANさんが提案してくれたデザインです。
 たとえばモートレアは、開発当初はもっと耳の長いバージョンもありましたね。いろいろなデザインを提案してくださって、そこからみんなで議論してキャラクターデザインを決めていきました。
――『聖剣伝説』シリーズは、人間以外の種族との関わりが深い作品ですよね。
小山田そうなんです。主人公のヴァルは人間ですが、仲間キャラクターのカリナは竜のような種族で、モートレアは猫系の種族です。そのあたりは、『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』の要素や世界観を取り込んだ形です。

――システム面は、どのように考えていったのですか?
小山田アクションRPGであることや、武器が多彩に使えることなど、ベースの部分はあらかじめ固めつつ、開発会社の皆さんが出してくれるアイデアも取り入れながら、システムを構築していきました。また、複数人のパーティーであることや、フラミー的なキャラクターなど、『聖剣伝説』定番の要素の登場もリクエストしましたね。そうして、いきいきとしたフィールド体験と、精霊を軸にしたフィールド探索・アクションバトルが生まれていきました。
――本作の開発を担当しているのは、どちらの企業なのですか?
小山田ネットイースの桜花スタジオさんです。
――そうだったのですね。今回、桜花スタジオとタッグを組むことにした理由は?
小山田大きな決め手は、最初に研究開発をしたときの映像と技術デモですね。まだキャラクターデザインを検討中のときだったのですが、「HACCANさんのキャラクターイラストそのまま」と感じられるような、リース(『聖剣伝説3』のキャラクター)の3Dモデル映像を見せてもらって。アクション部分の技術研究も、いろいろな試みをされていたため、遊びに新しい要素を盛り込めるのではと感じ、お願いしました。
――桜花スタジオには海外出身のクリエイターも多くいると思いますが、桜花スタジオスタッフは『聖剣伝説』シリーズをどのように捉えているのでしょうか?
小山田日本の、歴史あるIPだと知ってくれている方が多かった印象ですが、なかにはありがたいことに、昔遊んだことがあるという方もいらっしゃいました。当時は全作品が多言語対応されていたわけではないので、なかなかの熱意だなと感銘を受けたことを覚えています。
精霊器によるアクションとクラス選びによってアクションの幅が広がる
――試遊してみたところ、『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』の方向性で進化したのだなと感じました。
小山田『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』は、「『聖剣伝説』を3DアクションRPGにするなら、きっとこの方向性だろう」と思って挑戦したタイトルです。その好評を受けての本作ですので、『トライアルズ オブ マナ』を発端に、よりアクションRPGとしての進化を目指しています。
 『聖剣伝説3』は、オリジナル版のときからフィールドギミックはほとんど存在していませんでした。ただ、ほかの『聖剣伝説』シリーズ作品ではフィールドギミックが特徴になっていることもあります。たとえば『聖剣伝説2』ではムチを杭に引っかけて移動したりしましたよね。そこで、ゲームは『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』をベースにしつつも、ああいったギミックアクションも盛り込みたいと議論をしながら開発を進めていった結果、いまの精霊を使ってのフィールドギミックになりました。
――なるほど。『聖剣伝説2』では武器を使ったギミックでしたが、今回も武器ギミックにするのではなく、精霊器を新たな試みとして取り入れたんですね。
小山田武器で移動すると言っても形に限りがありますし、『聖剣伝説』らしさを考えると、やはり精霊などから不思議な力を借りていたことが多いと思うんです。それを組み合わせたほうが、より“らしさ”が出るのかなということで、精霊器システムが生まれました。ちなみに登場する精霊は、過去作でおなじみの精霊たちです。

――精霊器は、クラスチェンジにも紐づいています。クラスチェンジが気軽にできて、驚きました。
小山田今回はクラスチェンジでアクションが大きく変わりますので、気軽に変えていただいて、お好みのクラスを探してもらったほうがいいと考えて、いつでも変更できるようにしました。
 遊びの軸である精霊器は、それぞれに固有アクションがあります。それをどうパーティーの中で使い分けていくのかを考慮しつつ、さらにクラスをどうするのか考えるのが楽しいところです。クラスチェンジを引き返せない要素にするのではなく、そこは選択の幅を持たせて、より考える時間を増やしました。
――また、騎乗動物の“ピックル”はとてもかわいらしかったです。やはり、セミオープンワールドを駆け巡るならば乗りものが必要だと考えて登場させたのでしょうか。
小山田今回はオープンワールドを目指していたわけではないんです。地続きの冒険感を出したくて広大なフィールドを用意した結果、オープンワールドほどではないですが、ものすごく広大になったので、“セミオープンワールド”としています。
 広いフィールドにしたところ、やはり移動はたいへんになったので、高速移動できる乗りものが必要だと考えていたとき、石井浩一さんとの会話をふと思い出したんですよ。
――それは、どのような内容の?
小山田『聖剣伝説』シリーズは、空にはフラミー、海にはブースカブーがいますが、陸を移動するパートナーはいませんよね。石井さんがあるとき、「じつは空と海のほかに、陸の案もある」とお話しされていたことがありまして。それを思い出して石井さんに相談しました。ですから、ピックルは石井さんのデザインです。
――“きんこーんベル”というアイテムで呼び出すのが、『聖剣伝説』シリーズらしいと言いますか(笑)。アイテムがベルであることや、その名称も石井さんが考えたのですか?
小山田フラミーの風の太鼓、ブースカブーのぴーひゃら笛ときて、ピックルは何で呼び出すのか石井さんに聞いたところ、「ベル」といった回答でした。そこで僕のほうで、「『聖剣伝説』ならこんな感じの名前かな」と“きんこーんベル”にさせていただきました。ちなみにピックルは冒険の序盤で仲間になるので、移動がストレスになることはないと思います。

――石井浩一さんは今回、モンスターデザイン監修とのことですが、具体的にはどのような関わりかたをしているのでしょうか?
小山田もともと石井さんが作られたモンスターをリファインするにあたり、方向性やモデルの仕上がりなどをチェックしていただきました。過去にモンスターをデザインされた際に、どれくらいのサイズ感を想定していたのかもお聞きしたので、ついに本作で、石井さんの本来のイメージを3Dで再現できたのかなと。
――“セミオープンフィールド”について、もう少し教えてください。フィールドの規模感は、どれくらいのものになるのでしょうか?
小山田マップの純粋な数だけで言えば、『聖剣伝説3 トライアルズ オブ マナ』よりも多いです。その中に、セミオープンフィールドと呼ばれる、大きなマップがいくつか存在しています。また、ある程度広いダンジョンも複数あるので、単純な広さだけで言えば、シリーズ史上最大規模なのは間違いないでしょう。
――マップとマップ間の移動はどうなるのでしょうか。たとえば歩いていったり、船などで移動したりするのでしょうか?
小山田そうなります。
――先ほどのお話にも出てきた、フラミーやブースカブーも登場するのでしょうか?
小山田すみません、まだ言えません(苦笑)。ちなみにカリナの相棒は、フラミーのような見た目ですが、名前は違います。聖獣の子ども・ラムコです。
――つぎに、仲間たちについてうかがいます。今回はパーティーメンバーとしてヴァル、カリナ、モートレアが操作できたほか、火の御子であるヒナも同行していました。ヒナはパーティーメンバーではありませんが、バトルを支援してくれる存在ということでしょうか。
小山田ヒナはプレイアブルキャラクターではないですが、パーティーをサポートしてくれます。ラムコも、カリナが参戦しているときはサポートに入ってくれるので、とてもにぎやかなバトルシーンになっていると思います。
――たしかに、すごくにぎやかに感じました。ところで、キービジュアルを見ると、まだ詳細が明かされていないキャラクターが描かれているように見えるのですが……。
小山田はい、ほかにも仲間は存在します(笑)。そこも続報をお待ちください。

誰でも『聖剣伝説』だと感じられる1作
――試遊して驚いたのは、空中移動などがかなり自由で、移動面のストレスがないことでした。
小山田最初はもっと空中回避に制限がありまして、高いところから落ちるとダメージがあったりもしました。ただ、その制限を付ける意味はあるのかを考えてみると、ないのではないかと。そこで思いきって制限をなくしました。とても自由に動けるようになっているので、フィールド探索に活用してください。
――アクションは『トライアルズ オブ マナ』の正当進化を目指していると感じました。キャラクター固有のアクションがクラス・武器と紐づくことで、よりバリエーションが増えていて。
小山田今回試遊いただいたところでは、ヴァルは3種の武器、ほかのふたりは2種の武器を使用できたと思いますが、製品版ではもっと武器とクラスの数があります。オーソドックスな性能のものあれば、テクニカルなものもあるでしょう。ぜひお好みのクラスを探していただければと思います。
――アクション面では、『トライアルズ オブ マナ』においては“必殺技”として扱われていたものが、より大技……超必殺技のような扱いに変更されていましたが、理由はありますか?
小山田今回のアクションには、ほかにも大技にあたる要素がいくつかあります。いまは明かせないのですが、そういったバトルのアクションをより幅広く使ってほしくて、(必殺技は)ここぞというときの超必殺技的な立ち位置にしています。必殺技メインの仕様にしてしまうと、ほかの要素を使ってもらえなくなってしまうという懸念がありまして。
 また、育成要素もかなり多いです。たとえばクラスを使い込んでいくと、ほかのクラスでも使えるようになる要素があります。解放したアクションは、扱う武器種が同じなら、別のクラスでも使えるようにもなるでしょう。同じ武器種のクラスを育成すると、わかりやすい相乗効果が得られますが、別武器種のクラスで習得したものによって、思いがけない効果が得られることもあるかもしれません。
――ヴァルは戦士系、カリナは魔法系のようなイメージでしたが、クラスによってはカリナを物理アタッカーにしたりもできるのでしょうか?
小山田それぞれのクラスに特性はあって、カリナを物理系で育てたい場合にオススメできるクラスもあります。もちろんキャラクターそれぞれの個性はありますが、クラスである程度の方向性の選択はできます。
――クラスのない状態、いわゆる“すっぴん”的なクラスを育てる意味はありますか?
小山田やり込んでいくと、何かに気づかれるかもしれません。
――そう聞くと、“すっぴん”が最終的に強くなりそうな……(笑)。クラスを育てて習得した要素を、ほかのクラスでも使えるようになるというのは『ファイナルファンタジーV』にもあった要素ですが、Vつながり……!?
小山田初代は『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』ですからね! というのは冗談で、とくに意識はしてないです(笑)。
――(笑)。探索中に素材アイテムを拾えたりもしましたが、あれは何に使うのでしょうか?
小山田こちらもまだ明かせない要素です。ただ、育成の幅がすごくあるので、それがフィールド体験につながっていると考えてもらえればと思います。
――本作は2024年夏発売予定とのことですが、開発状況はいかがでしょうか。
小山田ゲームの要素はひと通り実装されていて、あとはプラットフォームごとの最適化、細部の調整などのブラッシュアップ期間です。
――最後に、小山田さんが考える『聖剣伝説 ヴィジョンズ オブ マナ』のアピールポイントを教えてください。
小山田『聖剣伝説』シリーズの過去作のいずれかを遊んだ人でも、そして初めて遊んだ人でも、しっかり『聖剣伝説』であると感じてもらえる作品であることです。ぜひこの機会に、久しぶりの人も、初体験の人も、『聖剣伝説 ヴィジョンズ オブ マナ』に触れてみてください。

...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202403/28338051.html

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