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『レヱル・ロマネスク origin』開発者インタビュー。現地取材をくり返し鉄道愛を詰め込んだ作品「初めての鉄道旅行へと導く、切符のような物語になれば」 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 2023年12月21日にNintendo Switch、プレイステーション4で発売され、2024年2月22日にPC版が発売された『レヱル・ロマネスク origin』。

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 新交通技術の発達に伴い、鉄道が“大廃線”を迎えた世界で、人工知能搭載の美少女型鉄道制御モジュール・レイルロオドと鉄道復興を目指すノベルアドベンチャー『まいてつ』。2018年発売の『まいてつ pure station』をベースに、多数の新規エピソードなどが追加された続編&完全版が『レヱル・ロマネスク origin』となる。
 本作の発売を記念して、原案・シリーズ構成担当の進行豹氏、原画・キャラクターデザイン担当のcura氏へのインタビューをお届けする。オリジナル版誕生の経緯や、続編&完全版となる本作の魅力などをお聞きした。

進行豹氏(しんこうひょう)

『まいてつ』および本作の企画・原案・シナリオを担当。アニメ『レヱル・ロマネスク』原案・シリーズ構成も手掛ける。
(写真左)

cura氏(くら)

『まいてつ』および本作の原画・キャラクターデザインを担当。ライトノベル『公女殿
下の家庭教師』の挿絵なども手掛ける。
(写真右)

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現地取材をくり返し、鉄道愛を詰め込んだ作品
――まずは、オリジナル版である『まいてつ』の開発経緯を教えてください。
進行豹私は幼いころから鉄道が好きで、誕生日が“鉄道の日(10月14日)という縁もあり、いつかは鉄道を題材にしたお話を書きたいと考えていました。一度、企画を提案したこともあったのですが、車両や背景の制作などがたいへんということで、当時は没となりました。
 そうした中で、私が『まいてつ』以前に手掛けた作品がある程度ヒットしたことで許可をいただき、制作する運びとなりました。
――作品がヒットしたことで、温めていた企画も展開できるようになったのですね。
進行豹はい。その際に、ディレクターから「ファンタジーやSF 要素も入れて拡張現実のような、私たちがいるこの世界から半歩踏み出した作品にしてほしい」と要望がありました。一方で、私は現実の場所を取材して、そこから発想を膨らませていくというスタイルを身上としていました。
 そこでいくつか候補を上げてロケハンしようと考えていたところ、最初に行った熊本県人吉市が気に入ってしまいまして。
――インスピレーションが広がったのですね。
進行豹はい。そこから、熊本県の人吉市周辺を何十回と取材して得た知識やエピソードを通じて、鉄道がほとんど滅んだ世界を舞台に、車両を制御する“レイルロオド“と呼ばれる少女を登場させようと考えました。
 そして、鉄道事故の被害者で鉄道に恨みを持っている青年との交流を通じて、鉄道を復活させ、舞台となる町も復興させる物語を着想したのです。そうしてリリースした『まいてつ』に物語をさらに追加して今回新たに発売するのが、本作となります。

2016年に発売され、多くのユーザーを虜にしたPC 向け美少女ゲーム。その集大成となる作品が、PCはもちろん、家庭用ゲーム機で楽しめる。

――ちなみに、なぜ最初に熊本県人吉市に取材に行こうと思い立ったのですか?
進行豹僕は、国鉄キハ07形気動車がいちばん好きなので、この車両を主役にしたかったんです。丸っこくて、かわいいんです。ただ、気動車だとピンとこない人もいるということで、蒸気機関車を題材にしてほしいとオーダーがありまして。蒸気機関車についてはあまり知識がありませんでしたので、当時走っていた地域をリストアップし、物語の題材になりそうなところをピックアップした結果、熊本県人吉市に決めました。
 熊本県人吉市ですと、首都圏の人たちが旅をして聖地巡礼をする楽しさも味わえますし、実際に訪れてみても素晴らしいところだと感じましたので、この地域を主体に物語を創作することにしました。
――熊本県人吉市のどういったところに惹かれたのですか?
進行豹車両と街、両方ですね。その地域で走っていた国鉄8620形蒸気機関車はスラッとしたフォルムをしているということもあり、僕のお気に入りの車両のひとつでした。curaさんは線の細い、かわいい女の子をデザインするのにとくに長けている方ですので、主軸となるヒロインとして描いていただけるなら、ピッタリなのではないかと考えました。
 そして、街に訪れた際、現地の方に蒸気機関車や地域の魅力についてお聞きしたところ、親切丁寧に教えていただきまして。これだけ温かい人たちがいらっしゃるところなら、ファンの皆さんが訪れてもきっと好意的に迎えてくださるだろうなと思い、決めました。
――そうした取材を経て、世界観や物語を構築されたと。
進行豹当初は、もう少し人間ドラマに振って、鉄道に対する憎しみとその解消の物語をストレートに描こうと考えていました。
 ですが、現地で蒸気機関車の動かしかたを学んだり、実際に体験させていただいた中でそのたいへんさを身に染みて感じましたので、そこをしっかり表現しないといけないなと強く思いました。石炭を投げ込む体験もさせていただいたのですが、焚口戸が予想以上に狭くて、スコップがぶつかったりしたりして苦労しましたので、このエピソードなども盛り込みたいなと。
 そのため、先ほどご説明した物語に加えて、蒸気機関車についての解説と、その当時の運行の模様も深く描くことにしました。本作を遊んでいただくと、蒸気機関車の運転方法がひと通り知れるほど描写しています。専門用語や現地のイントネーションなど、細かな部分も手を抜かずに作り上げました。
――現地には、どれほど取材に赴かれたのですか?
進行豹シナリオを脱稿するまえには、5~6回ほど訪れました。その後、続編を制作するたびに、新たな音声の収録なども兼ねて、40回は行っていると思います。

熊本県の人吉市をモチーフにしている本作。

――音声にはこだわりがあったのですね?
進行豹そうですね。鉄道ファンに喜んでもらえるものをと考えていましたので、現地でリアルな音を収録してお届けしたほうが、より楽しんでいただけるかと思い、収録を重ねました。物語を作るにあたって、鉄道ファンに喜んでいただけるもの、そして鉄道にまったく興味がない人に少しでも好きになってもらいたいと考えていましたので、妥協せず作り込むことにしました。
 いまではテレビアニメの展開など、プロジェクトは広がりを見せることとなりましたが、それが実現できたのには、音声をしっかり収録してことがつながっていたりしますので、がんばった甲斐があったと感じています。
――オーダーとして、現実から半歩踏み出した作品にしてほしいと要望があったとのことですが、それにはどのような意図があったのでしょうか。
進行豹私の前作『ものべの』は、高知県の山奥が舞台となっているのですが、ファンの方が聖地巡礼で訪れてくださっていたようでして。それを受けて、少しだけSF 要素などがあると、聖地巡礼をした際、モチーフとなった景色はもちろん、本作ならではのファンタジー感に想像力を膨らませる楽しみも得られるのではという判断があったようです。

多数のキャラクターが織りなすシナリオが大きな魅力となっている本作。ヒロインたちの交流は、美麗なCGの数々とともに表現されている。

――そこから、curaさんがイラストやキャラクターデザインを行ったのですね。
cura鉄道モノということで、車両を擬人化したキャラクターを“レイルロオド”として生み出そうと考えました。ただ、僕自身鉄道にあまり詳しくなくて、鉄道について詳しくない人でも愛着が持てつつ、鉄道ファンの方も納得できるようなデザインにしようと心掛けました。
――両者に好きになってもらいたかったと?
curaただ、鉄道車両の擬人化となると、どうしても機関士や車掌の服がわかりやすくて採用するのも楽なのですが、それだと同じ服装になってしまうので、各車両の装飾を反映しつつ、ドレススタイルのような、多彩なデザインにすることを大事にしました。
 その中でも、ヒロインのひとりであるハチロクのデザインはかなり試行錯誤を重ねました。“レイルロオド”たちの原点となる子でもありましたので、開発の皆さんにも意見をいただきながら、丁寧にデザインしました。
 その甲斐もあり、彼女を見て『まいてつ』に興味を持ってくださり、プレイ後にはグッズをたくさん購入してくれた方もいらっしゃったとお聞きしました。こだわって制作したのが報われて、とても感慨深かったです。
進行豹ハチロクはもちろん、curaさんがデザインしてくれた“レイルロオド”の子たちはみんなかわいくて、各車両の特徴的な要素もバッチリ入れてくださっていて、文句なしのデキでした。そんな“レイルロオド”の子たちを見たときに、初めての鉄道旅行に連れ出すことができる、切符のような物語にしたいと思いました。
cura僕としては、作品ならではの魅力的なキャラクターを生み出すことを大事にしつつ、ゲームの没入感の阻害にならないデザインにすることを大事にしていますので、改めてそう言っていただけたのはとてもうれしいです。イラストを動かす技術e-moteを利用して、2Dフルアニメーションで本編は楽しめますので、そこも含めて注目していただきたいポイントですね。

レイルロオドは、鉄道車両の運転・整備を助けるための人型・人形型モジュール。作中では女性型が中心に登場し、ハチロクはすべての国産レイルロオドの長姉にあたる存在。一般的な人間と同様の大きさで車両を整備して運航をサポートする“整備体”と、小柄だがほかのレイルロオドや駅との通信を得意とする“運転体”の2種の身体があり、中枢システムであるタブレットを換装して切り換えながら活動する。

追加エピソードでは主人公の物語が完結
―― そんな『まいてつ』は、『まいてつ-pure station-』として家庭用ゲーム機で発売され、その続編&完全版として本作が発売されます。
進行豹本作では、読みやすさをとにかく重視しました。もともと、『まいてつ』の物語はボリューミーで、そこに過去リリースしたDLCのお話と新たなエピソードも追加しています。シナリオ量が膨大となっていますので、全12編のストーリーを、10分程度で読み終わる短編全443話に分割して構成しました。いつでも止めて再開できるシステムも用意していますので、自分のペースで遊んでくださるとうれしいです。
――膨大なシナリオ量ではあるけれど、読みやすく配慮されているのですね。
進行豹読みやすさという点では、コントローラーで操作しやすいようにUIを調整しています。テキストも大きくして読みやすくしましたので、どのハードでも違和感なく遊んでいただけると思います。

家庭用ゲーム機でも違和感なく遊べるように、ユーザインターフェースが進化。長編シナリオを快適に楽しめるシステムも。

――追加されたエピソードはどのような内容に?
進行豹ヒロインたちをさらに深堀りしていますし、オリジナル版では解消しきれていない部分も補完しています。エピソードを追加するにあたって、主人公の右田双鉄くんの物語をきちんと完結させることも目標にしましたので、オリジナル版を遊んだ人も、改めて本作をプレイしていただけると、新しい発見があるかと思います。
――本作では、全12編のシナリオに主題歌や挿入歌などがあり、数多くの楽曲とともに物語が楽しめるようになっています。
進行豹『まいてつ』のころからの全体の主題歌で『レイル・ロマネスク』という楽曲があるのですが、ハチロクちゃんが主軸のヒロインということで、8分の6拍子のリズムになるようにしてくださっているんです『レイル・ロマネスク』を始め、各楽曲ともに本作の世界やヒロインたちの魅力を作詞・作曲家さんたちが詰め込んでくださっているので、物語とともにじっくり楽しんでいただきたいです。

全12編のシナリオそれぞれに、著名歌手による主題歌や挿入歌など、全28曲が用意されているのも本作の特徴のひとつ。ヒロインたちとの交流を美しく彩ってくれる。

――改めて、お二方は鉄道の魅力はどのようなところにあると考えていますか?
進行豹やはり、ここではないどこかに連れていってくれることですね。その歩みひとつひとつが旅となっているのも魅力だなと思います。車窓を眺めたり、自分の時間を楽しんだり。そうして乗り終えたときには、乗車したときとは異なる場所に到着している。鉄道旅行の醍醐味ですね。
cura僕は、車両そのものの見た目に惹かれるのはもちろん、各車両の運行のための内部構造も魅力的に感じます。それと各車両に歴史があるのもロマンが感じられて好きです。
 あとは、進行豹さんがおっしゃったように、未知の場所に連れ出してくれること、そこで自分だけの時間の過ごす、ある種贅沢な旅ができるのが素敵ですね。

プレイ中のセーブとロードはブックマーク機能でまとめられ、いつでも再開可能。好きなタイミングで中断し、再び読み進めることができるので、ちょっとした空き時間にも遊べるのがうれしい。また、作中に登場する鉄道用語など、難解なワードはTIPS 機能から詳細な説明を確認できる。

――それでは最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
cura本作が皆さんの心に残り、特別な体験として受け取っていただけたら、作り手冥利に尽きます。ぜひ遊んでいただけますと幸いです。
進行豹鉄道をあまり知られない方にも楽しんでいただける物語にしましたので、ぜひ、『レヱル・ロマネスク』という切符を買って、鉄道旅行に出掛けてみてください!

...以下引用元参照
引用元:https://www.famitsu.com/news/202402/22331712.html

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